ブランド米は定着している。なのにブランド小麦粉が広まらないのは何故か。調査を開始しようとした所、「そういやパールライスってどうなったのか」が気になったので寄り道したら面白かったので、そっちで話を進めたい。まずパールライスとは、1973年に全農が定めた「精米ブランド」である。米穀通帳が無ければ米を買えなかった飢餓の時代から、日本史上初の「コメ余り」の飽食の時代への転換点でもあった。また政府が安定的に購入して消費者に適価で販売すると云う構造が「逆ザヤ」で崩壊し、米の流通が自由化する時代でもあった。そうなると食べる側としては、美味しい米を選ぶのが自然である。ブランド米がもてはやされ普通米が敬遠される中で誕生した農家希望の星なのだが、その後の新ブランドラッシュに押され、現在では一部地域を除き組織名に名を残すのみである。売り手の論理でのブランド化が失敗する好例であり、図らずも冒頭の疑問は解決したのである。