ご下命の段、相承った。全身全霊で引き籠る所存である。その前に、そろそろ「不要不急」を定義しておこうか。そうとだけ言っておけば弾力的に責任転嫁出来ると思ったら大間違いである事を、国民の共通認識としておくべきである。不要は比較的分かり易い。日用品の買い出しや通勤通学通院、運動や散歩あたりまでは不要には当たらない様である。娯楽や遊興、趣味性の強い外出が不要の候補に挙がるのだが、それをやらないと禁断症状を起こす場合は判断が難しい。ただこう云うのは個々の事情よりも大多数の雰囲気で決まるものであり、それを踏まえればイングレスとポケGOは控えた方が良さそうである。さて不急である。「今日出来る事は何時でも出来る」が座右の銘の私には、理論上急用が存在しない(締切は存在する)。この状況下で急いでやらなくてはならない仕事とは何なのか、と徒然なる儘に熟考するのも、将来的な生産性向上には有益なのかも知れないのである。
未曽有の事態にも慣れ、大抵の事には驚かない心算だった。しかしインドが国をまるっとロックダウンしたのには、流石に仰天した。約13億人が3週間、果たして家で大人しくしているかどうか。インドの国内事情に詳しくないので確証は無いが、その命令が伝わるのに1か月掛かる地域も有る様な気がする。医療インフラが脆弱で爆発的感染を抑えられないと云う危機感は十分伝わってはくるのだが、ニンニクが有効と云う流言飛語がインドでも飛び交っている現状からすると、その意識の共有には暫く時間が掛かりそうである。なお、ニンニクを2個食べると誰も近寄って来なくなるから感染防止に有効と云うジョークを真に受ける人は全世界に万遍無く存在している様であり、変な形で人類の連帯を感じているのであるがそれはどうでもいい。衛生環境の劣悪さに起因する強い免疫力と、実はターメリックが効くかも知れないと云う奇跡に期待するしか出来ないのが悲しいのである。
欧米では政府首脳の周辺にも感染が広がっている様である。それにしても「3人以上の集まりを禁止する」と云うのは、随分と思い切ったものである。やる時は徹底するお国柄が表れているとは思うが、もう少し守り易い命令にした方がいいんじゃないかな、と勝手に思っている。IOCもようやく折れた事だし、後は経済を回しながら移らない移さないを心掛け、なし崩しに免疫を獲得するのをアマビエ様に祈るとしたい。問題はどうやって実現するかである。現在一番苦しんでいるのは客商売であり、特に濃厚接触を伴うサービス業は惨憺たる有様である。職を失い食い詰めてマスク着払い商法に手を染める人が続出する前に、手厚い生活支援が求められると思うのだが、社会不安の予防的措置に公費を用いる施策は評判が今一つである。症状が顕在化し拡散してから手を打つより遥かに安上がりなのであるが、影響が我が身に及ばないと納得出来ないのも、人の性には違いないのである。
「そこらへんの草でも食わせておけ」が現実化しそうである。都市封鎖も有り得るとの都知事の発言を憂慮している。ラッシュ時の湘南新宿ラインの乗客を池袋で丹念に検査したら、多分クラスタは見つかるだろう。後はそれをやるかやらないかの政治判断である。取り敢えず「陽性になったら問答無用で入院」と云うアホな法律をとっとと撤廃し、箱根温泉を接収・国有化してそこを待機施設とするヒト型最終決戦対応を国が取った後でないと、色々と面倒である。スタンドプレーが好きな人だから、都内の温泉に拘って対処を誤る前に先手を打って欲しいと思う。そもそも都市封鎖をやるとして、その境界を何処にするのかで一悶着ありそうである。23区内への人の移動を止めるのが現実的ではあるが他の市町村の反発は免れないし、全都に広げると町田市が詰む。強硬手段をチラつかせて自粛を促し、一切の責任を民間に押し付ける日本お得意のパターンが落し所に思えるのである。
矢張りアメリカは偉大である。国内での感染拡大を受け、経済対策として1兆ドルをばら撒くと発表した。より正確には株価暴落で選挙戦に悪影響が出そうだから、なのだろうが深く追及はしない。打撃を受けている内需型産業、及びそこをクビになった労働者には幾許かの助けにはなろうが、それで株価が上昇するとは思えないし、ましてや感染拡大が収まる訳でもない。ただ籠城を命じるにしても兵糧は必要なので、現金給付が一番手っ取り早いし分かり易いと思う。そこら辺の匙加減と云うか人心収攬術と云うか損得勘定がとびきり上手いのが、あの大統領の不思議な所である。ただ1兆ドルを即座に用意するのは偉大なアメリカであっても容易ではないだろう。累積債務は既に23兆ドルである。それが24兆になっても大して変わらんと云うのが大統領の感覚だろうが全ての閣僚がそれに同意するとは思えないのであり、乱世の奸雄の偉大なる暴れっぷりが今後も楽しみなのである。