日本が抱えている問題は、短期的には物価の高騰であり長期的には実質賃金が上がらないことだ。
長い間物価の上がらない国であった日本の物価が上がることを、うまくプラスにしていかなければならない。
今までなぜ物価が上がらなかったか?
それは日本の産業構造に原因がある。「多段階の下請け構造」だ。
ここがショックアブソーバーの役割をしているわけだ。
大企業はこの構造を上手く利用してがっちりと収益を上げている。
割を食っているのが中小零細企業だ。
2022年11月の企業物価指数は前年比9.3%、消費者物価指数は3.7%だ。
この差額は企業側(主に中小零細企業)が値上げできずに我慢しているということだ。
企業が知恵を絞って生産性を挙げるならまだしも従業員の給与を絞って堪えている可能性が強い。
このマイナスの連環を破るためには、
①下請けからの価格交渉に応じない大手企業への圧力が必要だ。
公正取引委員会が動き始めている。
適切な価格交渉に応じない企業13社を公表した。
優越的地位の乱用にあたる恐れがあるからだ。
②従業員の給与を上げることだ。
5%アップは必要。同時に生産性向上策も必要だ。
日本人は生産性の向上と言うと、長時間労働でカヴァーしようとする。
大きな間違い。
短時間で処理して早く帰った方が生産性は上がる。
つきあい残業など愚の骨頂だ。
物価上昇は、あながち悪いことばかりではない。
価格転嫁が進めば売り上げが上がる。
売り上げが上がると概して前向きの発想が出てくるものだ。
消費者の方も賢くなる必要がある。
少々価格が上がっても中身がよければ買うし、そうでないものは買わないことだ。
そうすれば、便乗値上げらしきものは市場から淘汰されるだろう。