店で、開店早々とても心外な事件があった。
私は、定期購読の雑誌の仕分けをしていたし、
ネーチャンは、たぶん新刊コミックを袋詰めしていた。
そこへ、偉そうなじーさんが現れ、
「おい!」と私に言う。
「おい!」って何よ、と思ったが一応、
「いらっしゃいませ」と言う。
彼 「キミマロの本あるか」
私 「綾小路きみまろですね」
私が、こう話している間にも、
素早くネーチャンが、パソコンで検索を始めている。
素晴らしきコンビネーション。
無言でツーカーの連携プレー。
「今、お調べしておりますので、少々お待ちいただけますか」
そう言って、私は自分の仕事を続けた。
わずか数秒後(朝のうちだったのでパソコンも軽かった)、
何か1冊だけ在庫があることがわかり、
それを告げようと、ネーチャンが振り向いた瞬間。
じーさんは、
「もういいや、対応悪いから・・・」
と、小さくつぶやくように、
怒りのこもった捨て台詞を残して出て行ってしまった。
さて、ここで問題です。
この店の店員の、どこがどう対応が悪かったのでしょうか。
1.「今、お調べしております」と言ったこと
2.すぐにパソコンで検索したこと
3.ほとんど待たせずに結果がわかったこと
4、レジを飛び出して、店中の棚を探して歩かなかったこと
5.二人そろって検索しなかったこと
6.パソコンで在庫を調べられるとは思わなかった
たぶん、じーさんにとっては、4番と5番と6番が正解でしょう。
(これも推察に過ぎないので、
実際のところ、何が気に入らなかったのかわかりません)
4番への言い分。
あるかないか、わからない本を、
やみくもに、店内を探し歩くより、
まず在庫の有無を確認した方が、ずっと早いんです。
5番への言い分。
二人でパソコンの前に立っていても結果は同じです。
それぞれ別の仕事をするのは当然のことです。
6番への言い分。
「今、お調べしております」と現在進行形で言ってるんだから、
信用してくださいよ。
これが捨て台詞なんかじゃなくって、
ちゃんとしたクレームだったら、
きちんと、納得のいく説明をできるんだけど、
わけがわからないまま怒られて、ストレスたまった。
うちの店の従業員は、全員、対応がきちんとしている、
とまでは言いません。
でも少なくとも私とネーチャンは、
できるだけ短時間でお客さんの要望に沿えるよう、
いつも最善の方法をチョイスしています。
ちゃんと検索して、在庫を見つけて、
探している本を今まさに持って来ようとしていたのに、
「対応が悪い」と言われるぐらいなら、
最初から何もせずに、
「ありません、申し訳ありません」
と言った方が、じーさんにとってはいい対応ということになる。
ほんの数秒、待てないのなら、
人に、ものなんか尋ねない方がいいですよ。
よほど売れ筋の本でない限り、誰も即答なんかできませんから。