みちのく童話会スタッフブログ

第3回を持ちまして、みちのく童話賞は終了ました。これからはみちのく童話会として、活動をしていきます。

みちのく童話会

 東日本大震災から10年のくぎりの2021年、東北地方の皆様から第1回みちのく童話賞を開催し、第3回まで、たくさんの作品、作家との出会いがありました。  童話賞終了後は、みちのく童話会として、活動を続けています。

野泉マヤの妖怪現地調査①「狐の嫁入りがもたらした美味しいお米?」

2020-04-15 | スタッフ便り
野泉マヤさんは、宮城県在住。みちのく童話賞HPのスタッフブログをごらんただくと、《東北妖怪文化研究センター宮城オフィス代表》ともあります。妖怪にまつわる文献を調べ、実地調査という活動をやってらっしゃいます。
 
今年は、河北新報に「妖怪ラボ」という作品を連載しました。
 
みなさんも、身近な妖怪、地元に伝わっている妖怪の話を見直してみませんか? そこから新しい童話が生まれるかもしれません。(お)
 
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野泉マヤの妖怪現地調査「狐の嫁入りがもたらした美味しいお米?」
 
*妖怪(地域の伝承)を調べていくと、古の人々の姿を垣間見ることができます。
今回は、狐の嫁入りから見えたものをご報告いたします。
 
【狐の嫁入り】
怪火が列になって連なり、嫁入り行列の提灯のように見えるもの。
(晴れているのに雨が降る天気のことも、狐の嫁入りと言いますが、今回は提灯行列のほうをクローズアップします)
 
全国あちこちに伝わる「狐の嫁入り」ですが、宮城県大崎市伊場野にはこんな話が伝わっています。
 
 
昔、伊場野という地域の上の方と下の方の両方に狐が棲み、村人たちと慣れ親しんでいた。
ある年、上の方に棲むオスの狐と下の方に棲むメスの狐が結婚することになり、嫁入り行列を行った。
その様子は、山裾の田んぼ一帯に連なる提灯の大行列で、
これを見た村人たちは、まことに不思議な光景であると、夜を徹して見送った。
 
 
さて、その現地へ行ってみました。
 
そこで気づいたことは、山裾に見られたと言われる狐の嫁入り行列と、
江戸時代に人力で掘られた水路(荒川用水)の場所が重なるということです。
 
現在のように精密な測量器具のない時代、土地の傾斜を測るためには提灯が使われたと言われています。
昼間は視覚情報の量が多すぎて誤差を招くため、
夜間の暗がりの中に灯りをともすことで、正確な高低差を割り出すという方法です。
昔の人って、賢いですね~。
その方法を、新潟県の糸魚川市では再現したことがあります。
 
なるほど、「提灯測量」→「提灯行列」→「狐の嫁入り」に見えるかも!
 
提灯測量のようすを遠くからながめた当時の人々は、「ありゃあ、狐の嫁入りだなあ」なんて言ったのでしょうね。
もちろん、測量であることを知っていた人もいたでしょうけれど、
子どもや孫に「あれは何?」と尋ねられたとき、「狐の嫁入りだぞ」と答えた大人もいたかもしれませんね。
その方が、ウイットに富んでいる気もします。
 
それにしても、昔の人の知恵はすごい。
そうやって作られた水路によって、豊かな田園、そして美味しいお米がつくられるようになったのですね。
 
ちなみに、この伊場野地区には「伊場野芋」という伝統野菜があります。
とってもねっとりとして美味しい里芋で、サンドイッチマンのお二人も絶賛したそうです。
 
以上。妖怪レポーターの野泉マヤでした。
 
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うちの舅も、狐の嫁入りを見たことがあると言ってました。北上川の対岸の男山に点々と。もしかしたら、測量だったのかもしれませんね。
 
野泉さんの妖怪レポート、まだ続くことを願って①とさせていただきました。(お)