時事解説「ディストピア」

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新左翼っていったい・・・

2013-07-08 22:22:20 | 反共左翼
チリの詩人パブロ・ネルーダが書いた『2000年』という詩をご存知でしょうか?

この詩は2000年の近未来を舞台にしたものですが、
この中では、元は左翼だったけれど、今では資本家として
弱国を搾取してたんまり儲けている卑怯者のことが描かれています。


ネルーダがこの詩を書いたのは1960年代末でしたが、
どうも2013年の今、ネルーダの不安は的中しているようです。

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本書はドキュメンタリー・タッチで描き、「ロシア革命の真相」をあぶり出してゆく。
手段であったはずの「革命」と「権力奪取」が自己目的化した姿は、
日本における著者自身が関わった学生運動、ひいては
1970年代のセクト間の内ゲバを彷彿とさせる。
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上の文は、経済学者の高本茂が書いた『忘れられた革命』の紹介文ですが、
彼は1947年生まれのいわゆる全共闘世代、つまり新左翼と自称し、
既存の共産主義者を旧左翼と罵倒し、暴力主義に走った連中の一人です。

紹介文にも学生運動に関わったって書いてあるでしょう?

この年代の人たちの中には、転向……と言いますか、当時あれだけ自分は
スターリン主義者の共産党とは違うんだと大口を叩いておきながら、
いざ失敗したとたんに「俺たちは……悪しき思想に染まっていたんだ……」
と失敗の原因を共産主義そのものに求め、自分たちに問題が
まるでなかったかのように片付けようとする無責任な連中が結構な数でいます。

高木氏もその中の一人らしく、なんでも経歴を見たら
郵政省電機・通信産業審議会の「専門委員」だったらしいです。
ようするに、御用学者ですよね。よーやるわー。

で、その高木が御親切にもロシア革命そのものに初めから
問題があったんだーと真実を教えてくれるのが本書らしいです()

ロシア革命については聴濤弘氏の『レーニンの再検証』でも
読んでくれれば、世間の偏執的なソ連バッシングが如何に
間違っているかが十二分に理解できると思いますので、
こんな本を読む暇があるなら同書の購読を推薦します。


それにしても、この手の輩ってどうしてソ連や中国を中心に考えるんでしょうね?
どちらかというと、共産主義というのはアフリカや東南アジア、
中南米などの途上国でパワーを持っている考え方です。

実際、今もっとも左翼が頑張っているのはこれらの国々の人間です。

ですから、共産主義は衰えているどころか、
先進国が搾取をやめない限り、死ぬことなく存在し続けるわけです。

我々が共産主義が終わったつもりになっているのは、
単に大国中心(冷戦中心)に歴史を考えているからに他なりません。

こんな本をド素人が描く暇があったら、少しでも南米や
アフリカにおける欧米勢力の搾取っぷりを書いてほしいんですが、
定年退職後の趣味で売り出した奴なんでしょうね…無理そうです。

浅間山荘でつかまった犯人といい、こいつといい、
どうして全共闘って自分とボリシェビキとを同類にしたがるんでしょうか。
昔は、まさにこのボリシェビキと違うことを強調して得意がっていたのに。

で、反共左翼にありがちですけれど、やっぱりロシア革命
そのものを全否定するのはおかしいと言いながら、思いっきり
全否定する内容を書いてしまう(左翼を自称しながら
極右と大差ない言動に走る)んですよね。

こいつらの主張に従えば、搾取される民衆はそのまま黙って死ね
という話になる
んですが、反共左翼に限らず今の日本のほとんどの
知識人は大差ないレベルで、表では反対しながら裏ではゴーサインを
送っている信じられないモラルの人間がうじゃうじゃいます。

ネルーダの詩では、現状がどうであっても希望を持って生きていくことを
訴えていますが、老いて安定した収入と地位を得た文化人がどれだけ
若いころの反抗精神を保っていくかというのを、
さらに厳しく言えば戦後日本の文化人が行った過ちを
考えなくてはいけない時期が来ている
と思います。