時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮はソウルを攻撃するのか?

2016-12-13 22:13:23 | 北朝鮮
朴槿恵大統領の政治生命が虫の息になっているが、
日本の一部のマスメディア様は「朴槿恵が辞任すれば北朝鮮の思うつぼだ!!!」と騒いでいる。


朴槿恵が非難されたのは、彼女の身内贔屓が露見されたからであり、
さらに言えば、歴史教科書の検閲制度の復活、新自由主義的な経済政策の強行、
対北朝鮮を口実にした更なる軍拡、米軍の駐留維持、慰安婦問題の形式的解決(実際は忘却)、
統合進歩党の強制解散(証拠は偽造されたことが判明したにも関わらず)、労働組合への文字通りの弾圧など、
父親とそっくりの政治を行ってきたことに対するここ数年の抗議が今回の事件を契機に全国化したに過ぎない。



「北朝鮮の思うつぼだ!」と語る人間は、国民を顧みない寡頭政治がどれだけ行われようと
 北朝鮮を倒すために韓国市民は支持を続けよと言いたいようだ。



さて、先日、労働新聞では次のような論説記事が掲載された。



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【平壌12月12日発朝鮮中央通信】12日付の「労働新聞」は署名入りの論説で、


先日行われた朝鮮人民軍前線砲兵部隊の砲兵隊集中火力打撃演習と
「朝鮮人民軍航空・対空軍飛行指揮メンバーの戦闘飛行術競技大会―2016」は、
米国と南朝鮮のかいらい逆賊一味に送った峻(しゅん)厳な警告であると明らかにした。




論説は、われわれの正々堂々たる自衛的権利である核抑止力強化措置に
かこつけて強行する敵対勢力の暴悪非道な政治的・経済的制裁と
封鎖、軍事的圧迫騒動は極に達していると糾弾した。


かいらい逆賊一味は、
米国上司のヒステリックな反共和国圧殺策動に無分別に便乗していると糾弾した。

論説は、しかしそれはとても及ばないことであるとし、次のように強調した。


白頭山の天が賜った名将を最高司令官として高くいただいた朝鮮人民軍は、
百勝のチュチェ戦法を身につけて空と地、海上と水中などすべての作戦空間で
侵略と挑発の本拠地を生存不可能に破壊し、
壊滅させられる強力かつ威力ある打撃手段を完璧(ぺき)に備えた天下無敵の最精鋭強兵である。



われわれの尊厳と自主権、生存権を少しでも害しようとするいかなる挑発者も、
無慈悲な懲罰を免れられない。白頭山の銃剣は、いささかの慈悲も施さない。


今、最大の臨戦状態を維持している
わが軍隊と威力ある打撃手段は、最後の攻撃の信号弾を待っている。





かいらい逆賊一味の滅亡は時間の問題であり、
わが民族は遠からず祖国統一の燦(さん)然たる明日を迎えるであろう。---

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例によって、大仰な文体であるが、少なくとも、この文章からは

1・核の脅威を口実に行われている米韓の政治的・経済的・軍事的圧迫は許しがたい
2・一連の軍事訓練は、米韓にむけた警告である
3・米韓が攻撃の姿勢を見せれば、容赦なく反撃し、撃滅する

の3点を北朝鮮が主張していることが伺える(ある意味、いつも言われていることでもある)


これが韓国メディア(正確には韓国メディアの情報を軸にした記事)が語るとこうなる。





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北朝鮮は、韓国の朴大統領の弾劾訴追案が先週可決されたのを背景に、
近いうちにもソウルを攻撃する準備を整えておくよう発表した。


北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の記事の中で述べられている。


朝鮮労働党中央委員会は、
「我々の軍と強力な戦略的手段は、最終攻撃のための狼煙を待っている」と強調している。


記事の中では、北朝鮮の忍耐は、
北朝鮮の核・ミサイルプログラムの中止を目的とする
米国と韓国側からの軍事・政治的圧力によって限界に達したと述べられている。


韓国のテレビ局KBSによると、北朝鮮メディアは11日、
朝鮮人民軍の第525特殊部隊がソウルの大統領官邸を占拠する訓練を実施し、
演習場には大統領官邸の模型が設置されたと報じた。


続きを読む: https://jp.sputniknews.com/politics/201612123117494/
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スプートニク紙は、時々、北朝鮮に関して間抜けな記事を掲載することがあるが、
これは、久々のスマッシュヒットである。

なにせ、どこにも書かれていない内容が書き足されているのだから。


NHKでもやはり韓国経由の情報をもとに
北朝鮮 韓国大統領府襲撃の想定で訓練」と報道したが、
日本の場合、過去に偽の文書や映像を本物として扱った挙句、
とうとう最後の最後まで誤報だったと訂正しない事例が数多くある。

決めつけは良くないが、問題の映像が確かにKCTVのものであるかどうか、確認したかどうか・・・



加えて、NHKには次のような前科がある。




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当日、ウクライナ軍がいくつかの投票所を占拠し、投票を妨害する事件が発生しました。
特に、クラスノアルメイスクでは、占拠した兵士が抗議する市民に発砲、2名が死亡しました。


映像をクリックしてご覧ください。撃たれた市民は無防備の状態でした。
無抵抗の市民に対して軍が発砲し、投票を妨害した。

これは、非常に重大な事実で、投票が物理的な妨害を受けつつ、
軍隊が国民を殺している中で敢行されたことを物語っています。


このような事件こそ、ウクライナ騒乱の本質を知るのに欠かせない情報であるはずです。
にもかかわらず、NHKは、これを隠匿して報道しました。


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しかし、一部のメディアは、1人の有権者が2人分の投票を行ったと不正を伝えるなど、
投票率が実態を反映しているかどうか疑問視されています。

また、地元のメディアによりますとドネツク州西部のクラスノアルメイスクでは、
投票所の近くで発砲事件が起き1人が死亡したということで、
一部で混乱がみられるなかでの住民投票となりました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140512/k10014371381000.html

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なぜ主語を書かないのでしょうか?


私は以前からNHKを批判していますが、今回ばかりは本当に失望しました。
私が見たNHKのニュースでも、誰が撃ったのか、そもそも軍隊がそこにいたのかも
わからない映像が流され、「投票の最中に混乱があった」とだけ説明されていました。

先に挙げたYouTubeの映像のうち、
兵士が発砲しているシーンだけ削除して報道していたのです。


なぜ、ウクライナ暫定政権が派遣した兵隊に
無抵抗の市民が撃たれたことを知らせないのでしょうか?

なぜ、NHK(をはじめとした日本のメディア)は代わりに、
不正があった可能性があると、住民投票の信ぴょう性に注目するのでしょうか?


不正が気になるならば、暫定政権が軍を使って
物理的に投票を妨害した事実に着目するはずです。
(まさか、結果が気に入らなくて難癖をつけているわけではなかろう)


これを解くカギは、安倍政権の住民投票に対するコメントです。
菅官房長官は、住民投票の結果について、次のように述べています。


「ウクライナ住民投票、民主的な正当性欠く」
「ウクライナ住民投票、事態の悪化につながりかねず懸念」



つまり、安倍政権の意向に合わせた形で報道したのではないか
と私はにらんでいます。TPPしかり、アベノミクスしかり、
万事が安倍政権を礼賛する内容なのですから。

http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/8c91907e0d19c62d65ea1a9a434edb2d
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このような編集による偏向・・・というよりねつ造をさりげなく行っているので、
問題の映像も確かにKCTVのものであるかどうか、非常に疑わしい。


いずれにせよ、労働新聞にはソウルを攻撃する準備を始めたなどとはどこにも書いていない。
彼らが主張しているのは次のようなものだ。



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【平壌12月13日発朝鮮中央通信】


国防部の長官、合同参謀本部の議長をはじめとする南朝鮮のかいらい軍部上層は
毎日のように軍事境界線一帯の前方部隊に現れて「奇襲的挑発恣行」だの、
何のと言ってわれわれにとんでもない言い掛かりをつけながら、
「強力かつ断固とよう懲」しろという戦争暴言を吐いている。


一方、西海のホットスポット水域で大規模な砲実弾射撃訓練を強行したかいらい好戦狂らは、
先日には誰それの「大規模の奇襲攻撃状況」に備えるとけん伝しながら、
米帝侵略軍の空軍武力と共に「ビジロント・エース」合同軍事演習をヒステリックに強行した。

13日付の「労働新聞」は署名入りの論評で、

これは「安保危機」「安保不安」づくりで民心の耳目をよそにそらし、
活路を開いてみようとする哀れな身もだえである
と嘲(ちょう)笑した。



論評は、「挑発への備え」の看板を掲げて北侵戦争策動を強めながら、
任意の時刻に新たな戦争の導火線に火をつけようとするのが
米国とかいらい一味の腹黒い下心であると暴露した。



また、日を追ってひどくなる危機免れを狙ったかいらい好戦狂らの無分別な空威張りが
どの瞬間に北侵戦争につながるか知れないとし、次のように強調した。


今、白頭山革命強兵は外部勢力のそそのかしの下で
北侵戦争策動に血眼になって狂奔するかいらい逆賊一味を
敵撃滅の照準鏡内に入れて敵の蠢(しゅん)動を鋭く注視している。



いささかの慈悲も施さないわが軍隊の断固たる焦土化によって懲罰を受けるのはほかならぬかいらい自身である。

かいらいは、「安保危機」騒動で世論をまどわし、
外部勢力と共に北侵戦争策動にヒステリックに執着するのが、
むしろ自分らの終局的滅亡を招く愚行であるということを銘じて、むやみにのさばってはいけない。---


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「安保危機」「安保不安」づくりで民心の耳目をよそにそらし、
活路を開いてみようとする哀れな身もだえ



まさに「北朝鮮(中国)の脅威」を口実に歴史を顧みず
軍拡と米軍追従に固執する日本政府そのものではないか。


そもそも、安倍内閣の重要な役職に日本会議という極右グループの人間が就いていることは
少なからずの日本人が気づいていることだし、平成天皇の生前退位にせよ集団的自衛権の是非にせよ、
公聴会に呼ばれるのは安倍政権とベッタリの極右評論家ばかりではないか。

(彼らは新聞やテレビでは「専門家」として紹介されている)


朴槿恵も朴槿恵だが、「おともだち内閣」と揶揄されたほど、
自分の思想に同調する人間のみを抜擢する安倍晋三と不愉快な仲間たちも大概である。


誇り高き家畜人たちは「頭の上のハエを追え」という日本の美しいことわざを思いだすべきではないだろうか。