時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

LITERAさん、松尾匡はアベノミクスを絶賛していましたよ?

2017-01-05 23:42:08 | アベノミクス批判


鮫島伝次郎

原爆投下前は町内会長を務めていた俗物な戦争支持者で、
市内の竹槍訓練の際に大吉が戦争反対を訴えた事を契機に、
戦争に反対する中岡家を非国民として忌み嫌い、大吉を危険思想の持ち主だとして警察に突き出したり、
徒党を組んで中岡家が大切に育てた麦畑を荒らすなど多くの嫌がらせ行為を行った。

~中略~

9巻では自らを戦時中からの戦争反対派・平和の戦士であったと偽り、
その後市会議員を経て県会議員となっている看板で登場し、
それに憤ったゲンは隆太とムスビと共に看板を破壊した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%
81%97%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9






反戦漫画、『はだしのゲン』には鮫島伝次郎という人物が登場する。

戦前は熱烈な戦争支持者だったくせに、敗戦後は態度は急変、
いかにも自分が前から戦争に反対していたかのように偽り、他人を欺こうとする正真正銘の卑劣漢だが、
世渡りが上手いというか、上手く責任を逃れて自分の地位を守ることが上手い人物は
いつの時代にもいるようである。





リテラの記事より

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野党が安倍政権に勝てないのは経済政策のせいだ!
民進党は緊縮財政路線を捨て庶民のために金を使う政策を




白紙領収書や違法献金、暴言失言など閣僚の不祥事が続出しようが、
就任前の米大統領にノコノコ会いに行くという醜態を晒したうえ、
北方領土もロシアにやられっぱなしといった外交失策を繰り返そうが、
安倍政権の支持率は一向に下がる気配がなく、対する最大野党の民進党は
一向に上向かず調査によってはむしろ下がっているくらいだ。



これはいったいどういうことなのか。
もちろん、その背後には、安倍政権がメディアを牛耳って、自分たちへの批判、
都合の悪い報道を封じ込む一方、ありもしない危機を次々に煽っているという問題が大きいだろう。



しかし、安倍政権がのさばり続けている背景には、もうひとつ大きな問題が横たわっている。
それは、民進党をはじめとする野党があまりにだらしなく、
国民の求めているものにまったく応えられていないという問題だ。



とくに、最大の原因は経済政策だ、

というのが『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)などの著書で知られる
立命館大学経済学部教授の松尾匤氏だ。月刊誌「世界」(岩波書店)2016年11月号でも
「なぜ日本の野党は勝てないのか? 反緊縮の世界標準スローガン」という論文を発表。



数々の失政と横暴にもかかわらず安倍政権の支持率が一向に下がらず、
民進党の支持が上がらない背景に、その経済政策があることを指摘している。


~中略~


「反緊縮」。要は政府が民衆のためにお金を使う――有権者はそんな政策こそ求めているというのだ。



~中略~



答えは実に簡単なのだ。野党の中心を担う民進党が政権交代時の原点に立ち返り、
政府のお金を国民のために使う政策を打ち出すだけでいいのである。


財源についても、「足りなければ刷ればいい」というのが松尾氏の主張だ。
それが世界の潮流であると、実例をあげつつ説いている。



ヨーロッパでは、コービン英労働党党首が掲げる「人民の量的緩和」をはじめ、
EUの共産党や左翼党の連合である欧州左翼党、スペインのポデモス、
欧州の労働組合の連合である欧州労連などが、中央銀行が財政を直接支えることを主張し、
ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏やクルーグマン氏らもコービン支持を表明しているという。




昨年6月には、欧州議会の左翼党系、社会党系、緑の党系の左派三会派(11カ国、18議員)が
欧州中央銀行に書簡を送り、欧州中銀がつくった資金を「ヘリコプターマネー」として直接、
市民に配当するよう要求した。また同じ月に欧州左翼党とイタリア共産党再建派がコンファレンスを開いた。


そこでも、

「もっとおカネを刷って、雇用を創出するプランに投資せよ」とか

インフレはまったく問題ではない。
 価値を失うことを恐れて誰もおカネをポケットに入れたままにしなくなるので、
 おカネが回るようになるからだ」

「欧州中銀はおカネを刷って公共サービスに融資すべきだ」といった発言が相次いだ。



詳細は松尾氏の著書(前掲書)を読んでもらいたいが、
中央銀行の緩和マネーで財政ファイナンスして民衆のために使えという主張は、
欧州左派勢力にとってはほぼ常態化していると言ってもいいようだ。

 

ところが、日本では肝心の民進党が財務官僚に洗脳された
元財務相の野田佳彦氏が幹事長を務めているから大胆な方針転換ができない。



一方、新自由主義政策の“ご本尊”だった自民党は、
第2次安倍政権発足後から「アベノミクス」などという言葉の目くらましを使って
かたちだけの方針転換を演出し、景気刺激を展開した。これが功を奏して民衆の支持を集めた。


しかも、自民党の場合は本来、批判勢力となるはずの“極右”を取り込んでしまっているため、
「右」からの異議申し立てが起きない構造になっている。

さらに、欧米と違って「左」からの批判の声もほとんど聞かれない。



だが、アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。


一方、有権者の側もアベノミクスの有効性に疑問を覚えつつも他に有効な選択肢がないから、
ダラダラと支持を続けている。これが、現在の「1強」の正体なのだ。



こうなると、勝つための処方箋は明快だ。

「反緊縮」「反新自由主義」の旗を掲げ、「政府が庶民のためにお金を使う」
「大きな政府」という目標を明確にした本格的な左翼・社会主義的政策を示せばいいのだ。


「政府が庶民のためにお金を使う国」がいいのか、
「企業が世界でいちばん活躍する国」がいいのかを、有権者に選んでもらうというわけだ。


http://lite-ra.com/2017/01/post-2830.html
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松尾匡が熱烈なアベノミクス支持者だった
という事実をリテラは知らないのだろうか?



以下の文章は2015年12月に投稿した当サイトの記事を再掲したものである。



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まず、このエントリー、アベノミクスで正規雇用者も増え始めた!!
では、「生産年齢人口」(15歳~65歳人口)に対する割合で、
正規雇用、非正規雇用の推移が計算されていて、正規雇用の比率の増加が示されています。

これによれば、非正規雇用の率は、民主党政権下から引き続き、一貫して増えています。

他方、正規雇用の率は、民主党政権下では2009年の40.4%から
2012年の40.5%へと0.1%ポイント上昇しただけだったのに対して、
その後、2014年(10月までの平均)の41.1%にまで、2年で0.6%ポイント増えています。
とても見やすい折れ線グラフにされていますので、リンク先をご覧下さい。

さらに、もう「非正規雇用がー」は通用しない
というエントリーでは、率ではなく絶対数で見ても、
2014年に入って「正規社員は4-6月期、7-9月期と連続して前期比で増加している。
しかも、7-9月期は前年同期比でも10万人増加している。」という指摘がなされています。
これもグラフ入り。
データ、グラフ元は「労働力調査(詳細集計)平成26年(2014年)7~9月期平均(速報)」

また、
正規雇用を希望する人 非正規のほうがいい人というエントリーでは、
上記「労働力調査」から、正社員の仕事がないから不本意ながら
非正社員に甘んじている人の数と、その人たちの非正社員に占める割合をグラフにされています。
これも2013年、2014年の間で傾向的に下がっていて、特に2014年に入ってからは、
データのある第3四半期まで下がり続けていることが見て取れます。

そもそも、雇用が増えているのが非正社員だったとしても、
今まで職がなかった人が職にありついたならば、
「ありがたい、この職をまた逃したくない」という気持ちが真っ先にくるのは当然ですから、
言葉の使い方を慎重にしないと、「非正規が増えているのはいけません」的な
言い方だけしていたのではこうした層の人たちから反発を買う恐れがあります。



気がついたら、こうした層の人々がこぞって
自民党の支持者になって日の丸を振っていることになりかねません。




それに、「総雇用者所得」で見ると増えているとする
安倍さんの言い訳もあながち無視はできません。消費需要につながるのは、
一人当たり賃金ではなくて、総雇用者所得だからです。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html
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上のページでは、正規雇用者数が増えているとか倒産件数が減っているとか、
アベノミクスの恩恵は、こんなにもあるのだと熱弁を振るっているのだが、
雇用を創出したという主張はアベノミクスの生みの親の一人である浜田宏一氏も唱えている。


なぜアベノミクスで庶民の給料は上がらなかったのか?


伊藤元重教授「これから創造的破壊が起きる」
――アベノミクスと働き方変革の因果関係とは?



伊藤教授は直接には雇用情勢が改善されたとは述べないが、今後、アベノミクス効果で
労働力が不足する(売り手市場になる)と語るそれは、松尾・浜田両教授に通じるスタンスだろう。

松尾氏はエッセーの末文に
安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
 そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を
 反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。2016年に好況の熱狂の中で、
 安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!」
と記しているが、同氏によると来年の選挙時には日本は好況になっているらしい。


「足下では景気回復の恩恵を感じる人が確かに増えていて、
 それが内閣支持率の増加に結びついていることは間違いない」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__150218.html)

「マスコミなどでは、「景気回復の実感はない」と
 決まり文句のように言っていますけど、そんなふうにおっしゃる人はたいてい、
 もともと安定して、比較的まともな賃金の職の人なんですよね。
 過去20年の「改革」不況で最も苦しんできた層の人たちの間では、明らかに事態が動いています。
 
実感はない派の人たちは
景気回復がコケて安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から目をそむけているのかもしれません

が、今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、私たちが最も依拠すべき
こうした層の人たちを、かえって安倍さんの側に追いやる結果になる
でしょう。」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__140503.html)

とまぁ、自信満々に述べていた松尾氏だが、その後、日本経済はどうなったのだろうか?
スプートニク紙は次のように伝える。

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アベノミクスは死んだ、経済蘇生は失敗
(2015年12月28日)

日本政府のあらゆる尽力にも関わらず、日本経済は全く蘇生する気配を見せていない。

大規模支援の甲斐なく状況はますます下降線をたどっており、
先週発表された統計は二重のショックを国民に与えた。

先週、日本の失業率が今までの3.1%から3.3%に上昇したことが明らかにされた。
この数値は今年1月からの間で最高で、これにより主婦の財布の紐が引き締められた。

ところが今、明らかにされていることはそれよりも更にひどい。
小売業の売り上げも当初の予測の0.6%ダウンを上回り、
最新の調査では1%減少していることが明らかになった。


2014年に行われた消費税増税による、その前後の影響を考慮しない場合
この売り上げダウンは2011年の東日本大震災以来、最大となっている。


工業生産の景気もいまひとつ。11月、指標は3ヶ月間で初めて落ちたが、これは
世界第3位の経済大国の復興は少なくとも2016年の初めに持ち越されたことを示している。

メーカーは近い将来にも生産拡大を考慮しているものの、
弱弱しいデーターは期待された輸出と需要の増加で経済は押し上げられ、
2%の目標レベルまでインフレを速めるという日本銀行の予測に疑問を呈すものとなった。

個々の指標が物語るのは、異常高温気象による冬物の被服販売に大きな損失が出て、
これにより小売販売が年間で1%落ちこんだ事実。

エコノミストらは輸出における再生の兆候はすでにあることから、
工業に方向転換が起きることは期待できると指摘している。

一方で需要は依然として低いままで、とても経済復興に力を貸すどころではない。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20151228/1380251.html#ixzz3vcpLtgAj
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・・・景気回復ねぇ

最近、アベノミクスの宣伝があまりされないからおかしいと思っていたら、
いつのまにか、こういう事態になっていたという笑えない話。

そもそも、この経済政策は経済史の視点から見れば安倍オリジナルのものではなく、
むしろ、小泉純一郎の経済政策をそのまま踏襲したものである。
それを説明するために、中国の人民網の解説記事を提示しよう。



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「アベノミクス」は日本を損なう

~中略~

「アベノミクス」は何も新しいものではなく、金融緩和とその関連政策の総称に過ぎない。
経済の遅れた国では、紙幣の無闇な発行は、壊滅的な悪性のインフレを引き起こす可能性が高い。
経済の発達した国では、政府が紙幣を増刷しても財産を作り出したことにはならなず、
資源の間違った配置をもたらし、内部の危機を引き起こす。

日本は貨幣の潤沢な先進国であり、貨幣増刷によって引き起こされる
物価上昇の効果は明らかでなく、やはり厳しい問題が生まれている。

「アベノミクス」は物価の下落を恐れ、消費を奨励しており、
 民間の貯蓄は減り、政府の負債率は世界一に達している。

インフレで利益を得ているのは大企業である。

大企業は市場に障壁を形成し、小さい企業のチャンスを減らしている。
日本企業には年功序列の習慣があり、年齢の高い社員が高い地位を占め、
若い社員はなかなか昇進できず、会社の人材コストは高い。

これは労働法の保護によるものであると同時に、インフレ政策の擁護とも関係がある。
日本人は極度に勤勉な労働なしには、生活水準の低下を防ぐことができないのである。

だが日本の物価上昇は明らかでなく、政府のデフレへの恐れを呼び、
量的緩和の推進を促している。生活水準がなかなか上がらないのもインフレによる悪影響である。


政府による刺激を過度に信じ、紙幣増刷によって
成長を促進できると考えたことは、日本の過去20年の最大の間違いだった。


市場化改革が大々的に進められた小泉時代にあっても、この考えは転換されなかった。

2001年に小泉純一郎が首相に就任すると、民営化と自由化の改革が始められ、
中でも難題となっていた郵政改革の実現が旗印とされた。

この改革において、
小泉首相は自らの政治生命を賭けることも厭わず、郵政系統の民営化を推進した。
通貨政策の分野では、小泉首相とそのブレインは掛け値なしの「インフレ派」であり、
日銀に通貨政策の緩和を繰り返し求め、「デフレ」と対決しようとした。


でたらめな通貨政策は小泉改革の寿命を縮め、
いくつかの民営化改革を行ったほかは、日本に持続的な活力を与えることはできなかった。


~中略~

経済発展に対するインフレのマイナス影響は、
短期的に大きく現れるものがあるだけでなく、長期的にゆっくりと出てくるものもある。


その道理は多くの経済学者の古くからの関心となってきた。
ハイエクはかつて、インフレは、政府が紙幣を増刷し過ぎた時だけに起こるもので、
それ以外にはあり得ないと指摘している。インフレの危害は、
オーストリア学派の経済学者によってとうの昔に研究されていたのである。

それにもかかわらず今日の日本政府が(そのほかの多くの国の政府も)
デフレへの対決姿勢を崩さず、インフレを頑強に追求しているのには、ため息を禁じ得ない。

http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94476-8950183-2.html
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http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/cbad3fa50f777b271af360287af35a0f
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リテラは、いかにも松尾の主張とアベノミクスの内容が異なるものであるかのように語っているが、
実際には「安易なアベノミクス批判はやめろ」
「実感はない派の人たちは
景気回復がコケて安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から目をそむけているのかもしれません」


「今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、私たちが最も依拠すべき
こうした層の人たちを、かえって安倍さんの側に追いやる結果になる」




「今後、追加的な財政、金融の拡大政策がとられることで、
 来年一年間かけて、それなりに好況が実感されるところまでいくのではないかと思います。」


といった文章を平気で書いていたのが松尾匡だったのである。



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アベノミクスは大震災以上に庶民の暮らしを破壊している
=民主党政権下かつ東日本大震災下の2011年より勤労者世帯実収入も
 家計消費支出も減少させているアベノミクス


まぁ、実質賃金が下がる一方で非正規社員が4割に達した今、
「景気はよくなってるでー」とは言いづらいのではないだろうか?

「民主党政権下かつ東日本大震災下の2011年よりも
 アベノミクスは勤労者世帯の実収入も家計消費支出も落ち込んでいるのです。
 勤労者庶民にとってアベノミクスで「実感できる」のは家計の苦しさだけです。」
 (上記記事より)

という言葉は全くもってそのとおりとしか言いようがない。



4~6月期の実質GDP、年率1.6%減 消費と輸出が低迷



ただし、アベノミクス支持派が消えたわけではない。

“反アベノミクス”に反論。「雇用の質は改善していない」のウソ
なぜアベノミクスで庶民の給料は上がらなかったのか?
「株価急落=アベノミクス失敗」は正しいか 金融緩和の効果を素直に認めない残念な人達


彼らの言い分をまとめると、
①景気は良くなっている。実感できないだけだ
②アベノミクスは失業者を救っているのだ
③成功は「そのうち」実感できる
の3点に絞られるかと思う。


そこで①に関して言えば、下関市立大学教授である関野秀明氏が
政府の公的統計をもとに作成した資料を見てみると、

2012年には1.8%であった実質GDP成長率が2014年には0%になっている。
この期間、実質賃金は連続して低下し、非正規社員も全体の4割に達した。

ちなみに浜田氏は雇用者報酬は増えたと言っているのだが、
彼の場合、名目賃金を指しており、実質賃金ではない。

つまり、野党をはじめアベノミクス批判者は実質賃金の下降を問題にしているのに、
浜田氏は名目賃金の上昇に触れて反論を行っている。この点、かなり巧妙だなと感じる。

②に関して言えば、
立命館大学のm尾匡教授は有効求人倍率の上昇をもって、
アベノミクス成功を主張していたが、そもそも有効求人倍率とは
求人数をハローワークに登録済みの求職者数(有効求人者数)で割った率なので、

例えば、100件の求人があったとしても求職者数が200人から100人に減れば、
それだけで倍率は0.5から1.0に増える。まさに数字のマジック。

実際に、HWに登録した人間の就職者数を見ると2013年の1-3月で約18.5万であるのに対して、
その2年後の2015年1-3月では約16.5万に減っている。それも徐々に減っている。
この数はリーマン・ショック時の水準と同じ値である。

ゴチャゴチャしてわかりずらいが、要するに求人倍率が上がっているのに
実際に就職できた人間が減り続けている
という現象が起きている。

この原因として挙げられるのが労働条件であり、要するに働く意思はあるが、
賃金などの問題で応募を控える人間が増えたということではないだろうか?
ちなみに正社員のみの求人倍率は1.0を越えたことがない

アベノミクス支持者の中には非正規雇用が増えた事態をもって
「失業よりはマシ」と答えるのだが、面白いことにこの意見を唱えるものは
 正規に雇用されている人間だったりする
(松尾氏しかり浜田氏しかり)。


1千5百万円の借金まみれで「高学歴ワーキングプア」の仕事さえ失う若手研究者、
世界一高い高額費・奨学金という名のローン地獄・高学歴ワーキングプアという
貧困三重苦の将来不安抱える日本の大学院生


彼らの職場である大学では、上のような事態になっているのだが、
あまり気にならないらしい。ちなみに大学の非常勤講師は凄まじい薄給で、
それだけでは食っていけないので兼業している人間がかなり多い。

理系が有名だが、10年以上も非常勤講師を務めるワーキングプア研究者も少なくない。
そんなに非正規が問題ないのなら、あんたら辞職して非常勤講師になってよと言いたくもなる。


ちなみに不本意非正規雇用の割合が低いことを理由にアベノミクスを支持する人間もいるが、
不本意非正規雇用の割合は女性や高齢者も含めた全体的評価であり、年齢別・男女別に見ると、
一家の稼ぎ手となる25-34歳、35-44歳、45-54歳の非正規雇用の男性において、
不本意非正雇用の割合はいずれも半数に達し、最も高い。

逆に女性は割合が低く、その大半は既婚者である。
(http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2014/04/075.pdf)


完全失業者を基準にすると、
2014年で正規雇用を探している各月の平均男性失業者は25-34歳で24万に対して、
非正規を探している同年代の男性は5万、つまり6人いるうち5人は正規職を求めている。

この比率は年齢の上昇と共に、4対1(35-44歳)、3対1(45-55歳)と下降するが、
働き盛りの年代の男性が総じて正規雇用を求めていることはよくわかるはずだ。
(逆に女性は子育て等の影響か、比率が早い時期で逆転している)

http://www.stat.go.jp/info/today/097.htm#k7

こうしてみると、いかに「失業よりはマシだ!最も弱い立場の意見を考えろ!」論は
そいつ自身が全く現実を見ようとしていないことを如実に示していると思われる。

(ちなみに、アベノミクス支持者はアベノミクスが失業者を救ったと豪語するが、
いわゆる完全失業者と半失業者(現在求職中の就業者)の率は逆に増えている。)


安倍首相「雇用100万人増、2年連続賃上げ」→政府統計で
「正規雇用74万人減、実質賃金2年2カ月連続マイナス、
GDP2年連続マイナス(年率換算)、貧困激増させ戦後最大の大企業・富裕層だけ豊かさ享受」


総じて言える事だが、アベノミクス支持者は賃金が減っても「問題ない」、
ワーキングプアが増えても「問題ない」、実質GDPが減っても「問題ない」とし、
そのうち効果は実感できるから、その時を待てと言っている。

「そのうち」とは「どのうち」なのか、いつその日が来るのかを聞いてみたい。


今冬の「ボーナス過去最高」報道にみんな困惑している

そもそも、一般市民が景気向上を「実感」できないのは
彼らの実生活において恩恵が全くと言っていいほどないからである。
それどころか物価の上昇でかえって消費支出が減っている。

アベノミクス支持者は全体では「効果がある」と評価するが、
ほとんどの人間が感じない効果とは要するに富裕者にのみ恩恵のある効果である。

大企業や富裕者には実感できるが、一般人には実感できない状況。それを人は格差と呼ぶ。

結局、連中がやっているのは名目賃金のそれにせよ不本意非正規雇用率にせよ、
データや用語を巧妙に利用して実態を歪めているだけにすぎない。

http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/f71a725501a171c706d45c70032103eb
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ちなみにリテラは記事の中で
「ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏やクルーグマン氏らもコービン支持を表明しているという。」
と書いているが、この2名はアベノミクスを絶賛していたことを忘れてはならない。

スティグリッツに関して言えば、彼はアベノミクスを支持すると表明し、表敬訪問まで行った。
クルーグマンについては次の記事を読めば十分だろう。


ポール・クルーグマン ― アベノミクスが日本経済を復活させる!


そもそも、松尾の言い分は安倍晋三と不愉快な仲間たちと全く同じ内容だったし、
スティグリッツにせよクルーグマンにせよ、「アベノミクス凄い!!!」と褒めちぎっていたのだ。


それが何だ?今更になって
「アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
 政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。」か?勝手なものである。
(直接、彼らが発した言葉ではないが、それでも態度はそういう類のものである)


取り繕ったのは松尾であることを忘れてはならない。



今後、追加的な財政、金融の拡大政策がとられることで、
来年一年間かけて、それなりに好況が実感されるところまでいくのではないかと思います。

これは、「楽観」で言っているのではなくて、
改憲に向けた安倍スケジュールが着実に進むことを警告して言っているのだ
ということを間違えないようにお願いします。


それゆえ安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。

2016年に好況の熱狂の中で、
安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!




ここまで書いた人物をさも、アベノミクスに反対しているかのように語るのはやめてほしいし、
アベノミクスと違う経済政策を述べているかのように勘違いしてもらうのもやめてほしい。


リテラはどうもケインズ的な政策を松尾が語っていると勘違いしているような気がするが、
松尾は完全なインフレ・ターゲット論者であり、リフレ派の学者だ。


松尾の関心出来る点として、「金融緩和せよ」という主張そのものは変えていないことが挙げられる。
この点では鮫島とは大きく異なる。だが、彼の主張とアベノミクスの主張が違うかのように語るのは合法詐欺だ。


極力、好意的に弁護すれば、松尾の主張自体は変わっておらず、むしろ松尾を期待の星、
知恵ある有識者、傾聴に値する言葉を語る男であるかのように語るリテラのほうがおかしい。


そして、よりによって彼のような人物に評論を書かせてしまう岩波書店が一番大問題である。





私の最近取り組んでいる研究では「知識人の責任」というものを重点的に扱っている。

位置づけ的にはサイードを元祖としたポストコロニアリズムや植民地主義批判、
そしてずいぶん前から流行になっている「差別における民衆の責任」に着眼しているといったところか。

(詳しく描くと正体がばれるので書かない)




いずれにせよ、まっとうな人間であるはずの学者が歪んだオリエント像を生み出し、
アメリカの親イスラエル政策を擁護する強力な武器として作用していることを看破したサイードの著作に
しびれた人間としては、専門家が言うことだからという理由で安易に受け入れるわけにはいかない。


ましてや、かつてアベノミクスを熱烈に支持し、反対論者を攻撃した人物を礼賛するわけにもいかない。

松尾の言葉にはファシズムを感じる。

つまり、敗戦が濃厚となった時点でも
「今までの戦略が悪かっただけ。作戦を立て直せば戦争に勝てる!」と言い張った軍人を想起させる。


そして、それは「アベノミクスは効いている、時間がかかるだけ」と語っている人間と大差ない。
アベノミクスの基本路線を支持していることには変わりない。徹底せよと言っているだけに過ぎない。



アベノミクスが実施される直前に『リフレはやばい』という新書が発刊された。
いわゆる「安易なアベノミクス失敗論者」である経済学者の小幡績氏が書き下ろしたものだが、
ここに書かれたものはその後の歴史でピタリ、ピタリと的中していた。まさに予言の書であるが、
そこにはこういう文章が書かれている。



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リフレ派の主張する政策では、日本経済をよくするどころか、
破たんの危機に追い込んでしまう可能性があることをお話してきました。


リフレ派の政策が人気がある理由のひとつに、一挙解決願望があるのだと思います。



白馬の王子様に憧れる女性と同じと言ってもいいですし、
神風が吹くのを願うのが大好きな国民性と言ってもいいですし、
政治家の大好きな、ガラガラポンが必要という意味不明の幼児言葉で語られる焼け野原願望、
ゼロからやり直すことに対する憧れ、あるいは、破滅の美学かもしれません。



日本経済と日本政治における議論に対する閉塞感。
それらが一気にスカッと解決するというリフレ・ロジックに、
無理な話かもしれないが、ここまで閉塞しているなら、いっそ試してみたらどうか、
という感情を生み出しているのかもしれません。


これに乗じて、リフレ派は喜んで自己主張をしているわけですが、やはり、何事も、
一挙解決の実現は安っぽいドラマのなかだけの話で、
現実には、困難な問題は地道に解決するしかないのです。
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リテラの記事では、ヨーロッパの左翼は金融緩和を主張するのが当たり前だ、
それなのに日本は・・・といった論調が取られているが、ヨーロッパと日本では事情が異なる。


経済大国である日本とヨーロッパ諸国の経済・労働事情を一緒にしてはいけない。
ヨーロッパがやってるから日本もやれというのは福沢諭吉以来の西洋中心主義であろう。


「世界の潮流である」と書いているが、世界はヨーロッパだけで出来てはいない。
 (仮に金融緩和に固執したら中国は経済大国になれなかっただろう)



クルーグマンたちを見ると、
 ヨーロッパ式に文明化すれば、アフリカやアジアの途上国は豊かになるはずだと信じ、
 現地の風習や文化をないがしろにした植民地主義国の知識人を思いだす。



アメリカの言語学者にして社会活動家、ノーム・チョムスキー氏は
「教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である」
と語った。


かつてアベノミクスを讃えた人間たちには責任があるはずだ。

それなのに、実際に彼らがやっていることは、
かつての自己の言動への忘却と、野党への責任転嫁だ(しかもかなり激しい語調で)


共産党のような以前からアベノミクスを否定し、反自由主義をモットーにしている政党を
意図的に存在しないかのように扱い、野党がだらしないと書くのはペテンである。

それは非常に卑劣で、かつ間接的に自民党を支持しているような行為だ。






松尾がやっていることは、
「日本は勝つ!反戦などけしからん!」とほざき、反対者を攻撃していた人物が
敗戦後、「この作戦がまずかった!(こうすれば勝てた!)」
と語っているようなものだ



後からはいくらでも言えるのである。


重要なのは、過去の自分の発言に責任を持てるかということだ。
それが出来ないうちは、私は松尾教授の言い分を信じることが出来ない。
(実際、外したわけだし)



・追記

そもそもリテラが言うように、アベノミクスが民衆の支持を集めたことなどただの1度もない。
世論は一貫して「景気回復を感じない」と答え続けた。

そういう人々の声を無視して「インフレは問題ない」「紙幣を擦り続けよ」という
事情が異なる欧米の言葉を持ち出してきて「これが世界の常識だ!」と語っているのがリフレ派である。


そこにはリフレ政策を否定する中国の言葉は含まれない。なぜなら中国は世界の一員ではないからだ。
(皮肉にも、ここ10年はリフレを否定した中国が上昇し、肯定した日本は逆に追い越されてしまった)


遠くの声の言葉には反応するが、
今、この国を生きる民衆には見向きもしない。



こういう反対者を装った支持者の言葉を真に受けて状況が改善されると本当に思うのだろうか?

松尾やスティグリッツやクルーグマンの言葉を信じてアベノミクスを支持した人々にとって、
彼らの態度は非道い裏切りにしか見えないだろう。


というより、別に松尾の主張など昔と変わっていないわけだから、
繰り返すが、本当に問題があるのは新自由主義的政策をそうではないかのように
まさに「神風が吹くかのような」一発逆転、起死回生の秘策であるかのように宣伝する岩波やリテラである。


別に松尾に進歩がないのは当たり前だから驚きはしないが、
よりによって松尾を信頼してしまう左翼系のメディアに驚きあきれるのである。


安倍が跋扈しているのは他ならぬ、彼らリベラルを気取っている反対者が
与党と大差ないことしか言わなくなったからだ。主張が同じなら、そのまま与党を支持すればよい。


実に単純明快な話なのだが、彼らは自分たちに責任はないと思い込み、
逆に与党の対立者を執拗に攻撃し続ける。凄まじいものである。


斯様な有様では、日本の経済は今よりもっと悪化するし、改憲だって時間の問題だろう。