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時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮と人権2

2014-12-13 23:37:29 | 北朝鮮
アメリカは近年、「人権侵害」を口実に他国の政権を転覆させる工作を
行っており、イラク、アフガン戦争、アラブの春やウクライナ内乱でも、
いかにその国の指導者が悪魔的であり、国内で弾圧を行っているかを強調した。


実際には、テロ支援や暗殺者要請、市民の拉致・拷問などを継続して
行っていたのは、ほかならぬアメリカ合衆国であり、前述の諸国家は
NATO(親NATOも含む)に破壊された結果、未だに戦闘が続く危険地帯と化している。


大事なのは、悪を懲らしめるためなら、その国を滅ぼしても良いのか、
もし良いとしても、それを行う権利がNATOにあるのかということである。


マンキューとならび、経済入門の決定版の著者として、
またグローバリゼーションの反対論者として有名なスティグリッツは、
その著作を通じて、いかにアメリカがIMFを利用して経済的に
他国を植民地化している(現在進行形の問題だ!)かを力説しているが、

まさにイラクといいアフガンといいリビアといい、
見事にアメリカの植民地になっているのである。

こういう実態を知った上でアメリカの人権批判を改めて考えてみてほしい。

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今週EUと日本は金正恩氏ほか北朝鮮の指導者らを
人権侵害を理由に裁判にかけようしたが、この試みは失敗に終わった。


国連の社会人権問題委員会は、北朝鮮指導部は大規模な人権侵害を行ったとして、
これを国際刑事裁判所に訴えるというEUと日本の提案を投票の結果、否決した。

この決議案の土台になったのは国連人権侵害調査委員会が北朝鮮で行ったレポートだった。
レポートには食料剥奪、拷問、堕胎の無理強い、労働搾取、大量殺害といった
処罰は北朝鮮の刑務所では普通の光景だと書かれていた。


決議を支持したのは111カ国。
ロシア、ベラルーシ、中国、シリアをはじめとする
19カ国が不支持を示し、55カ国が棄権した。こうして決議案は採択されなかった。


北朝鮮は当然のことながら、この非難を否定した。
ロシア人専門家らの間でもこのレポートの信憑性について懐疑的な声が上げられている



ロシア科学アカデミー東洋学研究所コリア科の
アレクサンドル・ヴォロンツォフ科長は次のように述べている。


「北朝鮮が非民主主義的国家であることを疑う人はいない。
 北朝鮮には刑務所に収監された人間がいるし、収容所もある。
 ここ数年、北朝鮮では軍部、政界のエリートの粛清が行われたが、
 一般市民に対する弾圧はここ数年は私は耳にしていない。

 国連委員会のレポートは、作成者らは北朝鮮を訪れておらず、
 脱北者の話を基に作られているが、脱北者らの情報、
 その客観性には多少懐疑的にならざるをえない。」


北朝鮮はもちろん、レポートに書かれた人権侵害に憤りを表し、これを否定した。
北朝鮮はレポートを、北朝鮮政界エリートを破壊しようとする
米国の計画の一部だと名指しで非難している。


ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学、
東アジアおよび上海協力機構調査センターの上級研究員、
アンドレイ・イヴァノフ氏は、北朝鮮の人々の憤慨は理解できるとして、
次のように語っている。


北朝鮮の指導者らを国際刑事裁判所に引き出そうと提案したのが
 EUと日本であるということは、混乱を招かざるを得ない。


新たな 反北朝鮮キャンペーンの発案者はおそらく米国だろう。

まさに今、北朝鮮の評判に打撃を加えようという試みがなされたのは偶然のことではない。

北朝鮮はつい先日、国内の収容所に収監されていた2人の米国籍人を解放し、
対米関係を正常化する構えであるところを見せたばかりだったはずだ。

このふたりの行動は北朝鮮の法律では反国家的活動とされるものだ。

また金正恩氏が中国の例に倣って市場改革を活発化させていることを示す明確な証拠もある。

だが、米国がいたく気に入らないのは、北朝鮮指導部があつかましくも核兵器、
長距離弾道ミサイルの製造を止めようとしないことだ。

北朝鮮は、西側の約束を信じたがために、
大量破壊兵器を破棄したイラク、リビアの指導者とは、
なんとしても同じ運命を分かち合いたくないと思っている。


米国が気に入らないのはもうひとつ、北朝鮮がなんとしても
韓国との関係改善の道をあきらめようとしないだ。

韓国も、李明博前大統領の犯した過ちを修正する必要性を真剣に考え、
北との協力を再現したいと考えている。


韓国は米国の同盟国の中では唯一、対露制裁に支持を表明していない。
ロシアはこれを評価し、今、両方の南北朝鮮国家との協力を活発化させる意向をもっている。
これは朝鮮半島の状況を著しく正常化へと向かわせるかもしれない。

こうした将来性をどうやら米国はあまり好まないらしい。
それでEUと日本に、金正恩氏を裁判にかけるよう頼み、
暴君に対して「人道的干渉」を行うための正当性を得ようとしているのだろう。

またはせめて、北朝鮮を孤立状態から引き出し、
改革の道へ押し出そうというロシア、韓国の試みを
国際社会の目の前で失墜させようとしているのではないだろうか。」

イヴァノフ氏は、こうした西側のやり方は
北朝鮮内の人権状況の悪化を招くのみならず、
朝鮮半島、東アジア全体の情勢緊張化を招くとの確信を示している。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_21/280322969/

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繰り返すが、私も収容所では、それなりに非人道的な行為がされていると思う。

ただ、冷静に考えれば、収容にせよ強制労働にせよ、
人間を生かすというのはそれなりに金と食い物がかかる行為であり、
何十万も収容所に人がいるというのは、話を盛りすぎだと思う。


大体、レポートの言う通りなら、2,3年で収容所は死屍累々、
囚人が全滅しているはずであり、そうなると次から次へと
「容疑者」を連行していることになる。だが、日本の朝鮮人強制連行でさえ、
きちんと各地の工場や炭鉱に派遣し、仕事をさせているのであり、
強制労働が目的なら、収容所に入れるより、各地で働かせたほうが
はるかに効率的だし、単に殺すなら軍隊なり警察を派遣したほうが簡単だ。


さらに、北朝鮮の人権侵害というのは情報があやふやなものが多く、
例えば、去年処刑されたキム・ジョンウンの叔父の妻も、
一緒に殺されたのだとつい最近まで言われていたのに、ここにきて
CNNが心臓まひで死んだという説を提唱しだしたりしていて、
いったいどっちなんだよと思うことがよくある。


EUはどうだか知らないが、韓国と日本に至っては極右が
この問題について脱北者の証言をもとに北朝鮮を論じているのだが、
その割には近年の経済回復や同国の選挙制度、食料問題への対策について
無知な人間が多い。誤報も多い(キム・ジョンウンの元恋人が処刑された
という記事を思いっきり信じた上に、本人がひょっこり顔を出してきても
訂正記事を書かずにシレッとしている。そういう所が信用ならないのだ)。


この前、私が批判した
「北部北朝鮮の半分の住民が麻薬中毒者なら、とっくの昔に北部の
 経済システムがマヒして、住民が全滅しているだろ」というのも
 脱北者の証言をもとに主張された言説に反対するものだった。


いろいろあると思うが、まず最初にすべきなのは、
満州事変のそれとよろしく、またキューバも提案しているように
調査委員会を現地に派遣して、しかるべき調査をさせることだ。


しかるべき制裁は、事実が確定された後にすべきであり、
そうでない限り(なぜかNATO陣営はキューバの提案を拒否したが)、
ロシアの学者が述べているように、北朝鮮への制裁は
アメリカ(NATO)のアジア植民地化政策の枠から抜け出ることができないだろう。


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