ここ連日、ウクライナの軍隊は他ならぬ自国の民衆へ向かって空爆を繰り返しており、
これをアムネスティをはじめとした欧米および日本の人権団体、メディアが静観しています。
そういう中で、やはりというか当然というか、
南東部からロシアやクリミアへ避難する民が急増しているようです。
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ロストフ州政府(ロシア南部の黒海沿岸の州)が、
ウクライナから大量の難民が押し寄せているとして、非常事態宣言を行った
と、「コメルサント」紙は伝えている。
難民は爆撃や軍事攻撃から逃れてきた人々。
ここ数日だけでも、ロシアに入国したウクライナ市民は、7000人以上を記録している。
ボランティアや社会的な支援グループは、
軍事攻撃が行われているウクライナ南東部のスロヴャンシク、クラマトルシク、
ルハンシク、ドネツィクから、住民を避難させている。
90~100人の各集団は、主に女性と子どもからなる。
難民が急増したのは、ウクライナ軍がいわゆる反テロ作戦を活発化させた先週末頃からで、
今後も増え続ける見込み。ロシア捜査委員会は、「ウクライナ南東部での対人犯罪」事件を
立件すると伝えている。捜査にあたるのは特殊捜査集団。
http://jp.rbth.com/politics/2014/06/05/6/5_48607.html
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下手をすれば20日には容認されるかもしれない集団的自衛権。
やはり、メディアは容認された後になって騒ぐ算段のようで、
まったく取り上げていません。
軍については色々意見があると思うのですが、
まず軍とは基本的に他国への防衛…ではなくて、
自国の民を弾圧するために歴史的に作られてきました。
日本史を例にとっても、日清戦争や日露戦争の前に
政府軍が行ったのは西南戦争や会津若松戦争、函館戦争。
すべて同じ日本人に対して銃口を向けています。
もっとも、明治初期はまだ「日本人」という意識が希薄で、
藩を主体とした国家観が主流でしたが(だからこそ廃藩置県が求められた)、
現在のウクライナにせよ、イラクにせよ、アフガンにせよ、リビアにせよ、
すべて政府軍は自国の民を殺害しているわけで、本質的には変わっていません。
次の記事も読んでみましょう。
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ウクライナ南東部の州からロシアへ殺到したウクライナ人の数は日に日に増しており、
状況の悪化に関連して一日に約7~8千人が国境を越えている。
ロストフ州を経由して親類や知人のもとへ向かう人もいるが、
まったく身寄りのない人もおり、そうした人々のためにペンションや
保養キャンプが提供され、そこで彼らは部屋や食事や日用品や医療援助を施されている。
たとえば、「ドミトリアドフスキー」だけでもすでに300人ほどが安息の地を見いだし、
ロシア非常事態省はその隣に追加のテント村を開設した。
ロストフ・ナ・ドヌ市には、隣国の市民のために全部で49ヶ所の収容所が用意された。
17歳のロジオン・プラホチンさんと11歳の弟のダニイルくんは、
ルガンスクから逃れてきたが、両親は、目に涙を浮かべて
二人をロシア行きの避難バスに乗せたという。二人はこう振り返る。
「むこうはとても怖かったです。とくに夜は。
ウクライナの軍用機が低く飛んでいて爆発が起こり、
そんなときは地下へ隠れました」
~中略~
小柄で痩せていて乙女のように見えるナジェージダ・ペトロワさんは、
あのスラヴャンスクから11歳の息子イリヤくんを連れて文字通り逃げてきた。
ナジェージダさんは、ついこのあいだまで幸せいっぱいだった。
法律家として成功し、ローンで住宅を手に入れた。町外れだが、自分の城だ。
ローンを返済しながら生活するお金に困ることもなく、
息子は追加で外国語を学んでスポーツもやっていた。
ところが、今回の惨事により、この小さな家族の夢は水泡に帰し、
彼らは隣国に身を寄せることになった。ナジェージダさんはこう嘆く。
「ウクライナはまさに内戦状態です。
国家親衛隊は一般市民を敵に回しており、
男たちは自分の家族を守るために自警団に加わっています。
以前はこれから爆撃するという警告が
サイレンや半鐘などで事前にありましたが、
今ではいきなり砲撃するようになりました。
幼稚園や学校や病院や住宅も戦火に見舞われ、
医薬品は高くなり在庫も無くなりつつあります。
うちの地区で爆発が起きるようになると、私たちは両親の家へ移りましたが、
夕食の最中に中庭で爆発があり、ガラスが砕け悲鳴があがりました。
窓の外を見ると、一階の玄関先に隣人が血まみれで倒れていて
すでに息を引き取っていました。ある女性は傷を負い、別の女性は
片足を失って救急車で搬送中に亡くなりました」
その数日後、スラヴャンスクの町外れの彼女の自宅も爆破され、止めが刺された。
ペトロワ家の人々は、ロシアへ避難する女性と子供を乗せるバスがあることを噂で知り、
すぐに問合せ先へ電話をした。バスは数分後に発ったので、
パスポートと出生証明書だけをもって家を飛び出し、何とかバスに間に合ったという。
http://jp.rbth.com/society/2014/06/09/48653.html
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このように、状況次第では簡単に軍は国民を殺す。
ですから、仮に集団的自衛権を容認するとしても、
それは徹底的に国民が監視し、軍の行動の決定権を握っている限りにおいて
成り立つべきであり、そうでない限りは暴力の解放とも言えます。
認めろ・認めないという単純な議論ではなく、もっと具体的な問題に
ついて話し合いたいところですが、そういう土壌が形成されていないのが
日本社会なわけで……フラストレーションがたまる一方です。
これをアムネスティをはじめとした欧米および日本の人権団体、メディアが静観しています。
そういう中で、やはりというか当然というか、
南東部からロシアやクリミアへ避難する民が急増しているようです。
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ロストフ州政府(ロシア南部の黒海沿岸の州)が、
ウクライナから大量の難民が押し寄せているとして、非常事態宣言を行った
と、「コメルサント」紙は伝えている。
難民は爆撃や軍事攻撃から逃れてきた人々。
ここ数日だけでも、ロシアに入国したウクライナ市民は、7000人以上を記録している。
ボランティアや社会的な支援グループは、
軍事攻撃が行われているウクライナ南東部のスロヴャンシク、クラマトルシク、
ルハンシク、ドネツィクから、住民を避難させている。
90~100人の各集団は、主に女性と子どもからなる。
難民が急増したのは、ウクライナ軍がいわゆる反テロ作戦を活発化させた先週末頃からで、
今後も増え続ける見込み。ロシア捜査委員会は、「ウクライナ南東部での対人犯罪」事件を
立件すると伝えている。捜査にあたるのは特殊捜査集団。
http://jp.rbth.com/politics/2014/06/05/6/5_48607.html
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下手をすれば20日には容認されるかもしれない集団的自衛権。
やはり、メディアは容認された後になって騒ぐ算段のようで、
まったく取り上げていません。
軍については色々意見があると思うのですが、
まず軍とは基本的に他国への防衛…ではなくて、
自国の民を弾圧するために歴史的に作られてきました。
日本史を例にとっても、日清戦争や日露戦争の前に
政府軍が行ったのは西南戦争や会津若松戦争、函館戦争。
すべて同じ日本人に対して銃口を向けています。
もっとも、明治初期はまだ「日本人」という意識が希薄で、
藩を主体とした国家観が主流でしたが(だからこそ廃藩置県が求められた)、
現在のウクライナにせよ、イラクにせよ、アフガンにせよ、リビアにせよ、
すべて政府軍は自国の民を殺害しているわけで、本質的には変わっていません。
次の記事も読んでみましょう。
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ウクライナ南東部の州からロシアへ殺到したウクライナ人の数は日に日に増しており、
状況の悪化に関連して一日に約7~8千人が国境を越えている。
ロストフ州を経由して親類や知人のもとへ向かう人もいるが、
まったく身寄りのない人もおり、そうした人々のためにペンションや
保養キャンプが提供され、そこで彼らは部屋や食事や日用品や医療援助を施されている。
たとえば、「ドミトリアドフスキー」だけでもすでに300人ほどが安息の地を見いだし、
ロシア非常事態省はその隣に追加のテント村を開設した。
ロストフ・ナ・ドヌ市には、隣国の市民のために全部で49ヶ所の収容所が用意された。
17歳のロジオン・プラホチンさんと11歳の弟のダニイルくんは、
ルガンスクから逃れてきたが、両親は、目に涙を浮かべて
二人をロシア行きの避難バスに乗せたという。二人はこう振り返る。
「むこうはとても怖かったです。とくに夜は。
ウクライナの軍用機が低く飛んでいて爆発が起こり、
そんなときは地下へ隠れました」
~中略~
小柄で痩せていて乙女のように見えるナジェージダ・ペトロワさんは、
あのスラヴャンスクから11歳の息子イリヤくんを連れて文字通り逃げてきた。
ナジェージダさんは、ついこのあいだまで幸せいっぱいだった。
法律家として成功し、ローンで住宅を手に入れた。町外れだが、自分の城だ。
ローンを返済しながら生活するお金に困ることもなく、
息子は追加で外国語を学んでスポーツもやっていた。
ところが、今回の惨事により、この小さな家族の夢は水泡に帰し、
彼らは隣国に身を寄せることになった。ナジェージダさんはこう嘆く。
「ウクライナはまさに内戦状態です。
国家親衛隊は一般市民を敵に回しており、
男たちは自分の家族を守るために自警団に加わっています。
以前はこれから爆撃するという警告が
サイレンや半鐘などで事前にありましたが、
今ではいきなり砲撃するようになりました。
幼稚園や学校や病院や住宅も戦火に見舞われ、
医薬品は高くなり在庫も無くなりつつあります。
うちの地区で爆発が起きるようになると、私たちは両親の家へ移りましたが、
夕食の最中に中庭で爆発があり、ガラスが砕け悲鳴があがりました。
窓の外を見ると、一階の玄関先に隣人が血まみれで倒れていて
すでに息を引き取っていました。ある女性は傷を負い、別の女性は
片足を失って救急車で搬送中に亡くなりました」
その数日後、スラヴャンスクの町外れの彼女の自宅も爆破され、止めが刺された。
ペトロワ家の人々は、ロシアへ避難する女性と子供を乗せるバスがあることを噂で知り、
すぐに問合せ先へ電話をした。バスは数分後に発ったので、
パスポートと出生証明書だけをもって家を飛び出し、何とかバスに間に合ったという。
http://jp.rbth.com/society/2014/06/09/48653.html
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このように、状況次第では簡単に軍は国民を殺す。
ですから、仮に集団的自衛権を容認するとしても、
それは徹底的に国民が監視し、軍の行動の決定権を握っている限りにおいて
成り立つべきであり、そうでない限りは暴力の解放とも言えます。
認めろ・認めないという単純な議論ではなく、もっと具体的な問題に
ついて話し合いたいところですが、そういう土壌が形成されていないのが
日本社会なわけで……フラストレーションがたまる一方です。