時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮の水爆実験について1

2016-01-07 00:30:08 | 北朝鮮
私のスタンス上、絶対にコメントすべき事件だが、時間がないので、
とりあえず今回は朝鮮新報とイランラジオの関連記事を紹介する程度に留めたい。

また、端的に自分の見解を述べると、北朝鮮の水爆所有は12月の時点で
本人たちの口から語られていたことで、また個人的には、今回の実験は
先月ワシントンで開かれた北朝鮮の核に関する米韓会合へのカウンターではなかったかと思う。


ワシントンで開かれる北朝鮮の核問題に関する会合は北朝鮮を怒らせるか?

上のスプートニク紙の記事は先月(12月)の3日に書かれたものだが、
その1ヵ月後に北朝鮮が水爆実験を行った(本人たちが言うには12月中旬から準備していたらしい)

北朝鮮の核実験は、決まって事前の北朝鮮側からの対話による問題解決の呼びかけが
無視された際に行われてきた。その法則にあてはまれば、事前で北朝鮮を怒らせたものは
ワシントンの会合以外にない。もっとも、まだ情報不足で推量の段階に留まっているが。

ロシア下院議員であり防衛委員会の第一副委員長であるセルゲイ・ジガレフ氏は
北朝鮮を孤立化させたり制裁を加えることは状況を悪化させるだけだと述べているが、
これには私も同意する。北朝鮮が述べるように水爆のターゲットはアメリカであり、
それもアメリカが北朝鮮に対して何らかの侵攻作戦を行わない限り使われる事はない。

その上、水爆は威嚇・抑止が目的のものであり、実際に使用される可能性は極めて低いわけで、
北朝鮮という国がどこぞの国のように他国を空爆したり、テロを育成・支援しているわけでもなく、
防衛に重点を置く現在の北朝鮮の軍事政策を踏まえれば、この国が日本を攻撃することはない。
(あるとすれば、横田などの米軍基地がターゲットになるだろう。)

水爆実験に対して批判を行ったのは私の知る限り、米・仏・露・中・日・韓。

予想通り、核保有国とその手下どもから非難がされてきた。
私は基本的にはロシアや中国に好意的な立場だが、それでも、
自国の核保有を棚に挙げた核批判にはなんともいえないものを感じる。


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朝鮮が初の水爆実験/朝鮮政府が声明発表

朝鮮中央通信によると、朝鮮政府は6日に声明を発表し、
同日午前10時、初の水素爆弾実験が成功裏に行われたと伝えた。

声明は、「われわれの技術、われわれの力に100%依拠した今回の実験を通じて、
われわれは新たに開発した実験用水素爆弾の技術的諸元が正確であるということを
完全に確認し、小型化された水素爆弾の威力を科学的に解明した」と指摘した。

声明は、今回の水素爆弾実験について、
米国をはじめとする敵対勢力による核威嚇と恐喝から国の自主権と民族の生存権を守り、
朝鮮半島の平和と地域の安定を担保するための自衛的措置であると指摘した。

そのうえで、朝鮮は責任ある核保有国として、侵略的な敵対勢力が
朝鮮の自主権を侵害しない限り、すでに明らかにしてきた通り、
先に核兵器を使用せず、どのような場合にも関連手段と技術を移転することはないと述べた。

また、米国の対朝鮮敵視政策が根絶されない限り、
朝鮮の核開発中断や核放棄は絶対にありえないと強調。
正義の核抑止力を質、量ともに絶え間なく強化していくと明らかにした。

朝鮮中央通信は同日、金正恩第1書記が昨年12月15日、
朝鮮労働党を代表して初の水素爆弾実験を行うことに関する命令を下し、
今年1月3日に最終命令書にサインしたと伝えた。

また、今回の核実験が朝鮮労働党の戦略的決心に沿って行われたと指摘した。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/01/20160106riyo/
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北朝鮮の水爆実験

北朝鮮のメディアが、北朝鮮は6日水曜、水爆実験に成功したと発表しました。
この発表の前には、韓国の気象庁が、北朝鮮北部、咸鏡北道吉州(ハムギョンブクトキルジュ)
郡から49キロの地点で マグニチュード4.1の人工地震を感知していました。
この北朝鮮の水爆実験は、地域、世界、国連安保理で多くの反応を引き起こしました。

日本はすぐさま、この北朝鮮の行動に反応を示しました。
これに順じて、韓国の国防省も、直ちに北朝鮮の水爆実験の実施を確認し、
それを危険で緊張を生じさせる行為だとしました。アメリカも国連安保理の関係者に対して、
緊急会議を開催することでこの問題に対応するよう求めました。

北朝鮮は2006年、2009年、2013年に核実験を行っており、
その後、5つの核弾頭が発射準備を整えていると発表しました。

北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記は、
ここ数ヶ月、水爆実験に歩みを進めると表明していました。

西側に近い核兵器に関する一部アナリストは、2週間前、
北朝鮮は核兵器製造技術を保有していることから、
アメリカなど近隣諸国を脅迫するために虚言を吐いていると述べていましたが、
今回の水爆実験は北朝鮮が有言実行したことを示しています。

明らかに北朝鮮の反対者は、この国に制裁を加えるため、
安保理で新しい隊列を作ることになるでしょう。とはいえ、
かつての安保理とアメリカの北朝鮮への圧力行使は、期待ほど効力を発揮しませんでした。

実際、大量破壊兵器は支持されるものではありません。

なぜなら、その製造と使用は人道的に反する行為だからです。
評論家の多くは、北朝鮮の水爆実験は安全をもたらす以上に安全を脅かすものだと考えています。

こうした中、キムジョンウン第1書記を、
21世紀の核の緊張を激化させている要因と見なすことはできないのでしょうか?

アメリカのロバート・オッペンハイマーだけが核爆弾製造の道に足を踏み入れたのではなく、
北朝鮮も核技術と爆弾製造の道で歩みを進める可能性がある、という理解もなされています。

一方で、北朝鮮の指導者はアメリカとの朝鮮半島での争いを終わらせるために
核爆弾を使用しようとしているようです。キムジョンウン第1書記は何度となく、
「アメリカはあらゆる契約に違反しており、自らが言ったことや書いたことも守っていない。
 このため、核の抑止力は、アメリカの敵対政策や脅迫の継続に対して、
 北朝鮮が存続する唯一の道だ」と述べています。

歴史によれば、オッペンハイマーはアメリカで2つの核爆弾を製造しましたが、
彼の一番の理解者であった妻は、「広島と長崎への原爆投下の後、彼はひどく落ち込んでいた」
と述べています。彼の妻は、「日本で起こった出来事の大きさは、オッペンハイマーに
深い影響を及ぼした」と証言しています。

北朝鮮は自分たちの行動はすべて、アメリカの行動に対する反応であり、
それはアメリカが世界での軍国主義的、覇権主義的な政策を改めようとしていないばかりか、
世界の独立した主権を奪おうとしているからだ、と述べています。

一部の政治問題の専門家は、アメリカにもし北朝鮮に歩み寄ろうという気があったのなら、
2007年2月の合意を遵守していただろうとしています。

しかしながらアメリカは北朝鮮の政治体制の転覆を狙っているようです。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/61274
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本気で北朝鮮から核をなくしたいなら北朝鮮の安全を他国が保障すること、
つまり、アメリカが攻めてこないという保障を得させることが必要になるだろう。

北朝鮮の核だけを戒め、自国の軍拡や他国への武器売買、核保有を不問とする
六カ国協議形式が功を奏するとは思えない。実際、北朝鮮は今も核を放棄しようとはしない。

北朝鮮には一時期、本気で核を放棄しようとしていた時期があり、
その条件の中には米韓の軍事演習の中止が含まれていた。これは今も変わらない。

それを思えば、朝鮮半島から核を追い出すには、在韓米軍基地や在日米軍基地、
米韓合同軍事演習など、実のところ、制裁や孤立化よりも軍縮のほうが効果が期待される。

その意味では北朝鮮の非核化など、その気になればいつでも容易に達成できるが、
その気になることが永遠に来そうもないために、ここまでややこしいことになっていると言えよう。

古市憲寿氏、安倍晋三主導の歴史改竄プロジェクトのメンバーに

2016-01-06 23:50:47 | 読書
当サイトで以前から批判していた古市氏が、
とうとう安倍晋三が直々に設立した歴史改竄運動団体のメンバーに抜擢された。

御年31歳、そろそろ「若者」の看板で商売するのも苦しいのではないかと心配していた
筆者としては、彼にふさわしい働き口が見つかり、非常に安堵した次第である。


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先日も本サイトで取り上げたが、
この「歴史を学び未来を考える本部」は安倍首相が肝いりでつくらせた総裁直属の組織。

しかも、実質的な仕切り役はあの稲田朋美政調会長だ。稲田は弁護士時代、
戦時中の南京大虐殺で「百人斬り」で処刑された元少尉2人の名誉毀損訴訟を担当。

初当選翌年の06年に議員連盟「伝統と創造の会」 を結成すると、みずから会長に就任する。
野党時代のいまから5年前には、竹島に近い韓国領の「鬱陵島」を視察しようとして入国拒否された。
安倍の肝いりで閣僚に就任したのちも、毎年靖国参拝を欠かさない。

そんな人物が本部長代理として仕切っているのだから、この組織が狙っているものは明らかだ。
事実、「歴史を学び未来を考える本部」発足に先立つ11月28日、安倍首相は
「憲法改正をはじめ占領時代につくられた仕組みを変えることが(自民党)立党の原点だ」
との演説をぶち、同本部長である谷垣禎一幹事長は、先の大戦後のGHQによる占領政策や
現行憲法の制定過程、慰安婦問題や南京事件を検証するという方針を明かした。

しかし、だとしたら不可解なのは、偏向した議論がおこなわれるのが
明らかなこんな会のなかに、古市のような若手学者が入っている理由、だろう。
古市は前述のように、無自覚な差別意識がだだ漏れすることはあっても、
頭の悪い歴史修正主義に与するという印象はなかったはずだが……。

http://lite-ra.com/2016/01/post-1867.html
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ハーフ差別で炎上の社会学者・古市憲寿が自民党の「歴史修正主義」運動に参加!
背後に稲田朋美との近すぎる関係


詳細は、ライターの小杉みすず氏が書いた記事を読んで頂くとして、私としては、
むしろ「なぜ古市が抜擢されたことにそこまで驚くのか」という点のほうが気になる。

古市氏は研究者という肩書きを使っているが、正確には大学院生であり、
しかも博士課程においては、これといった論文を執筆してもいない。

要するに学者と呼ぶには片腹痛い実績の持ち主なのだが、
修士論文が高く評価されたことをきっかけに田原総一朗の「朝まで生テレビ!」に出演、
そこからテレビのコメンテーターや雑誌のコラム執筆などに勤しむことになる。

田原総一朗本人は、やしきたかじんの捏造ノンフィクションで顰蹙を買った
極右作家の百田尚樹と仲良く対談本を出したり、山野車輪や小林よしのりなどの
ネット以前の言わば「元祖・ネトウヨ」をテレビに呼び活躍の機会を与えてきた人物。

そして、古市氏がコラムを執筆する雑誌は保守系雑誌の『新潮45』、
そもそも新潮社自体が保守系の出版社で、古市も著者の一人になっている新潮社新書からは
藤原正彦の『国家の品格』や百田の『大方言』、室谷克実の『日韓がタブーにする半島の歴史』
など、数々のトンデモ本が生まれており、これらを見れば、古市が右翼だと思われても
左翼あるいは中道と思われる要素など、ひとかけらもないことは誰でもわかることである。

実際、古市氏本人も右翼よりのスタンスであることを述べているし、
『文芸春秋』に収められた対談では百田の『永遠のゼロ』を絶賛している。

唯一の功績である論文にしたところで、皇族が直々に設立したという
極めて政治色の強い賞を受賞しているわけで、その内容は権力者に煙たがれるようなものではない。

むしろ、「格差社会でも若者はそれなりに幸せを享受できる」という主張は、
「格差社会で若者の幸せが失われつつある」という左翼の主張に対するカウンターとして
このうえなく効くものであり、筆者は彼のことを知った当初から、その問題性を気にしていた。


とはいえ、書き手が固定化・高齢化し、若手の人材に不足している保守系論壇において
彼は佐藤優以来の期待のニュー・フェイスだったのかな程度の認識で、それ以上でもなかったが。

むしろ、古市本人がどう生きようと本人の勝手なわけで、私としては、
古市よりも彼を持ち上げる左翼連中のほうに危機感を抱いていた。

上野千鶴子とか加藤典洋とか。

あまり言いたくはないが、古市が台頭できたのも、彼を応援する後ろ盾があってこそであり、
対談本を出したり、推薦文を書いたり、何かと面倒を見てきた上野らのほうが問題があると思う。

特に上野は岩波系文化人の一人でフェミニズム研究の権威にして、
つい最近も右翼とつるんでパク・ユハのトンデモ本を擁護・絶賛する愚行に走った人物で、
ある意味、こういう人物だからこそということもあるが、彼女が教え子でもある古市に対して
「お前のような右翼とは絶交だ!」とするどころか彼の宣伝役の一人になったことは、
こういう人物がもてはやされる現在の左派系論壇やフェミ界のヤバさを如実に示してはいないか?


もちろん、上野も加藤も保守を自称し活動しているのならば、私もそこまで気にしないが、
彼らは一応、左翼のつもりで評論を書くなり運動に参加するなりしているわけで、
しかも「仰るとおり、あなたたちは左翼でございます!」と左翼連中が認めているわけだ。

「一部の」とは信じたいが、私が個人的に知る左翼の方々も、なぜか古市を自分たちの
味方であるかのように評価しているわけで、「おいおい大丈夫か?」と不安に思ったものである。


高市早苗氏や稲田朋美氏、ネオナチ団体代表とのツーショット写真で波紋


今回の安倍が立ち上げ、稲田が実質的にとりまとめる歴史改竄プロジェクトに
稲田とのコネクションで古市が抜擢されたのは、当然かつ必然の結果である。


繰り返すが、私は古市氏本人がどのように活動しようと本人の自由であり、
そのことを「やめろ」という権利は誰にもないと思う。思う存分働いて欲しい。

むしろ、私が「いい加減にしろ」と怒りたいのは、
かような以前から大変、保守的な思想と活動をしていた人物を高評価し、
彼に評論家としての活動の機会を与えた左派系知識人の無思慮さと無責任さである。


改憲や歴史改竄を望む右翼がそれをやるならわかるが、仮にも
反戦やジェンダー平等、日本の戦争責任を追及する立場の人間がやるかという話である。

とはいえ、上野も元々、左翼でありながら吉見義彦氏などの慰安婦研究者と対立し、
過去にはあの宮台真司とつるんで売春を肯定しようとしていたし、
加藤も既存の右翼からも左翼からも批判される戦争責任論を展開したりしていた。

そういう意味では「右でもなく左でもなく」といいながら、
限りなく保守的な方向へ動こうとする最近の左翼の元祖とも言うべき方々で、
私がここまで目くじらを立てるのも過剰な反応なのかもしれない。


最後に、加藤典洋と個人的に仲の良い人物の中に、
最近、SEALDsのパトロンとして有名になっている高橋源一郎氏がいるが、
彼はイスラム差別につながると多くのムスリムに非難されている
ミシェル・ウェルベックの『服従』を絶賛していたりする人物
で、
先のパク・ユハの『帝国の慰安婦』にも擁護する立場を取っており
こういう人間が主張する民主主義や平和っていったい何なのかなと思わざるを得ない。

最近の左翼運動を見て思うのは
あまりにもカーニヴァル化、ビジネス化しており、
運動内容の検討が疎かになってはいないかということである。


本来なら高橋など「お前などあっちに行け」とそっぽをむかれそうな人物だ。
それが「平和の使者、高橋!よっ!」と騒がれているわけで、
逆を言えば、彼らの平和運動というのは思想的に底が浅いのではと不安になるのである。

歴史的に見ると、イデオロギーが甘い左翼志向の人物は高確率で保守化する。
いわゆる転向というヤツである。去年の反戦運動は、それなりに意義があったはずだが、
長期的に見れば、どう見ても失敗しているわけで、もう少し反省というか見直しが必要なはずだ。

それを彼らが自分からできるかという話だが、
正直、それは無理ではないかと思うし、実際に今のところ、そのような兆候は見られない。

そういう意味では古市憲寿氏の「予想外」(笑)の転向よりも、
彼をアイドル化させた平和主義者のほうに大きな問題があると私は思うのである。

サウジアラビアとイスラム国の関係

2016-01-06 00:01:20 | 中東
サウジアラビアはイランをテロ支援国家とみなし非難したが、
実際には、サウジアラビアのほうがイスラム過激派を支援している。

そもそも、サウジアラビアの国教であるワッハーブ派自体が極めて原理主義的な教義を持つ宗派で、
サウジが国外に建てた同一派の養成学校からアルカイダやタリバンなどの原理主義者が輩出されている。
(ワッハーブ派を原理主義(近代化に対するカウンター運動という意味で定義されている)
 ではないと主張する大塚和夫氏ですら、その思想が原理主義と共通することを認めざるを得ない)

シリアにしても同国の反政府武装組織を支援してきたのはサウジアラビアであり、
その中にはあのダーイシュ(ISIS、イスラム国)も含まれていたのである。

ダーイシュが占領した区域の学校ではサウジの教科書が使われているし、
ダーイシュの捕虜が言うには、彼らの食料はトルコとサウジを経由して運ばれてくる。

「スプートニク」が「ダーイシュ(IS)」戦闘員に独占インタビュー


加えて、ダーイシュが占領区内で定めた法の内容はサウジのそれと酷似しており、
たとえば、処刑方法はサウジと同じく罪人の首を切ることを主なものとしている。

サウジではシャリア法というイスラム法に則った統治が行われているが、
さすがにワッハーブ派が認めた法律だけあって、相当過激なことが書かれている。

一例を挙げれば、2010年から2011年までにサウジで配布された副読本には、
女性は貧弱で無責任であり、盗みや犯罪を犯すと手足を切断されると図で説明されたり、
ホモセクシャルは社会悪なので死刑に値すると書かれていたりする。

こういう法律がサウジから過激派が輩出される背景ではないかと疑う人間も少なくないが、
ワッハーブ派の指導を受けたタリバンの厳格すぎる法治を思い起こせば、大いに頷ける話だ。

サウジアラビア王子、2トンの麻薬所持でベイルート空港にて逮捕

ダーイシュは戦闘員らに麻薬を提供しているのだが、先月、
ダーイシュ側に麻薬を密売しようとしたサウジアラビアの王子が逮捕された。

サウジから食料や麻薬、資金が調達され、なぜかダーイシュはサウジを攻撃しない。
もう決定的だろう。探せば探すほどサウジとダーイシュとの結びつきが見えてくる。


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トルコからイエメンに到着した複数の航空機には、テロ集団「IS(イスラム国)」の
戦闘員500人が乗っていた。シリア軍スポークスマンのアリ・マイフブ准将が伝えた。

マイフブ准将は、次のように指摘した―

「26日火曜日、諜報機関の情報によればイエメンのアデン空港にトルコから4機の航空機が到着した。
 そのうちの2機はトルコ、1機はカタール、もう1機はアラブ首長国連邦の航空会社ものだった。
 これらには、テロ組織『IS』の戦闘員500人以上が乗っていた。
 戦闘員らは、ロシアの空爆を逃れ、シリアから避難してきた者達だった。


戦闘員らを迎えたのは、サウジアラビアが率いる連合国の将校らで、
彼らは戦闘員を、3つのグループに分け、空港から連れて行った。


第一グループは、マンデブ県のエリ-バブへ、第二グループはマアリブへ、
そして第三グループはサウジアラビアのジャザン、アスィルに送られた。

彼らは、フーシ派とのここ最近の戦闘で非常に大きな損失を被った地上作戦に参加する事になる。
手元の情報では、シリアから移動した『IS』戦闘員を加えて、近く作戦は続けられる。」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/20151028/1087672.html#ixzz3wO3eUwLp
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イランの最高指導者ハーメネイー師はサウジアラビアを非難するために上の風刺画を紹介した。

イスラム国に抵抗する人間を処刑することと
イスラム国の支持者に抵抗する人間を処刑することに何の違いがある?という意味が込められている。



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サウジアラビアで間もなく3人の未成年者が
抗議行動への参加のかどで受けた判決に従い、処刑される。
伝統に従い、処刑は断頭という形で行われる。independent.co.ukが伝えた。


人権擁護団体Reprieveによれば、一番若い同団体のメンバーである
アブドゥラ・アル・ザヒル氏は国内のシーア派により大きな権限を与えるよう
求める抗議行動に参加したために死刑を宣告された。
逮捕時点で年齢は15歳だった。
ほかの二人、アリ・アル・ニムル氏とダウド・アル・マルン氏は17歳だった。

同国の政権はスンニ派が握っている。シーア派の行動は厳しく弾圧される。

ニムル氏に対する容疑は抗議行動に参加し、活動家らを支援するために携帯電話を使用した、
というもの。他に武器庫を管理していたとの容疑もかけられているが、本人はこれを否認している。

国際社会の抗議にも関わらず、当局は減刑する気はない。

サウジアラビアは現在国連人権理事会の理事国である。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/20151219/1344002.html#ixzz3wO7ANuUh
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Saudi Arabia - a monster of the West's creation

‘A Wahhabi Muslim Brotherhood’: More escalation ahead in Saudi-Iran crisis


上記2本の記事を読めば、サウジアラビアがこういう国になった国際的背景として
欧米諸国のサウジアラビアへの支援と国内の弾圧に対する黙認があったこと、
サウジが欧米を後ろ盾にワッハーブ派の支配権を広げようとしていること、
その最大の障壁としてシリアとイランが存在することがわかると思う。

これだけサウジと過激派の結びつきが強く、またサウジ政府の国内や国外に対して行う暴力、
ワッハーブ派の教義を思えば、サウジアラビアそのものが過激派の一派ではないかと感じるほどだが、
なぜか日本の論壇にしゃしゃりでてくる知識人は、
サウジが普通の国であるかのように語り、中東のテロに責任が無いかのように説明しようとする。

先月に白水社から発売された『ふらんす』特別号は、パリの同時多発テロを特集したが、
誰とは言わないが、サウジがテロに関与していないかのように力説する中東研究者がいたり、
パリのテロだけ集中的に扱う報道について批判することは、根本の部分で
テロリストを擁護していると主張する学者がいたりと、随分と非道い内容だった。

白水社は海外の小説やノンフィクションの翻訳をメインとする出版社で、
わりと真面目な出版社というイメージが強いが、
この出版社ほど西側視点で歴史や社会を語ろうとする出版社はいないだろう。

私は今ここに「西側視点」と書いたが、正確には西側の「保守視点」と念を押したい。
青土社から出版される『現代思想』が以前、シャルリエブドの事件を取り上げたことが
あったが、その特集号はフランスの知識人の評論が中心的に収録されていて、
同書を読むと、彼らフランス左翼も、安易にシャルリエブドを支持する動き、
表現の自由に対する挑戦としてみる動きに対して危惧していることがわかる。

逆を言えば、向こうの知識人の言い分すらろくに読まない、
あるいは無視・軽視をする連中が新聞・テレビ・出版で闊歩しているということなのだろう。

サウジアラビア、突然イランとの国交断絶を宣言

2016-01-04 23:50:09 | 中東
何を血迷ったか、サウジアラビアが突然イランとの外交断絶を宣言してきた。

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サウジアラビアは3日深夜、地域の最大のライバル国であるイランとの外交関係の断絶を宣言。
サウジアラビアのアデリ・アリ・ジュベイル外相は次のような声明を表した。

「サウジアラビアはイランとの外交関係を断絶し、
 イラン人外交官が48時間以内に出国することを要請する。」

「我々はイランが我々の安全および安定に脅威を与え、
 我々の国ないし連合諸国の領域にテロの温床を作ることを許さない。
 我々は外交関係を断絶することが我々にとって最良であると決定した。
 なぜならばイランはテロの拡散を促し続けているからだ。」

外交断絶の原因と前提条件

2日、サウジアラビアは急進主義グループに関与し、
テロを実行したとして多数の死刑を執行した。死刑が執行されたのは47人。

大多数が国際テロ組織「アルカイダ」(ロシアで活動が禁止)と関与しており、
2003年から2006年にかけてサウジアラビア領内で発生した襲撃の実行犯。

ところが最大の反響を呼んだのはシーア派の有名な指導者であったニムル師の死刑だった。
ニムル師は2012年7月、大規模抗議行動を扇動した罪で逮捕されていた。
イランはニムル師の死刑に対し、迅速に反応した。

2日、イラン外務省のホセイン・ジャベル・アンサリ報道官は声明を表し、
「サウジアラビアが支持するテロリストが平穏と安全を壊し、
 この地域に暮らす市民に脅威を与えている間に、サウジアラビア政権は
 アン=ニムル師のようなシャイフ(イスラム教の知識人)を自国の政敵として処刑している」
と抗議した。

これに対しサウジアラビア外務省はイラン大使を呼び出し、抗議の通牒を渡している。

処刑のニュースはイラン社会に大きな不満の波を呼び、
テヘランにあるサウジアラビア大使館、メシェヘドの総領事館周辺では大規模なデモ、
襲撃が展開されたため、イラン政府は沈静化を余儀なくされた。

イランの反応

イランはサウジアラビアが外交断絶を宣言したことに対し、
「サウジアラビアはシーア派の神学者の死刑という戦略的な誤算を単に深刻化させている」
と警告し、イラン外務省中東アフリカ問題担当ホセイン・アミル・アブドラヒア次官は
「サウジアラビアはイランとの外交関係断絶の決定を宣言することでは、
 宗教活動家を死刑に処して犯した大きな間違いを隠すことはできない。」という声明を表した。

アブドラヒア外務次官はさらに、サウジアラビアの行為は
「この地域の安全の脅威を一層深刻化させ、テロや急進主義の一層の拡大を招く」と警告している。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160104/1401987.html#ixzz3wHvddJij
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ニムル師の処刑に対しては、イラン人だけでなく他のムスリムも抗議している。

インドネシアが、サウジによるシーア派指導者の死刑を強く非難

米・ニューヨークで、活動家やイスラム教徒数百名が対サウジ集会を実施


ニューヨークのデモでは、サウジを無制限に支持するアメリカ政府への非難も行われている。


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ドイツ紙、「サウジは石油とテロ以外に世界に輸出するものはない」



サウジアラビアでの集団処刑と、同国政府に対する強い非難を受け、ドイツの新聞ビルドが、
ドイツの旧来からの同盟国サウジは、石油やナツメヤシ、テロ以外に世界に輸出するものはない
と報じました。

ビルト紙は4日月曜、最近ドイツのガブリエル副首相のサウジ訪問と、
同国政府関係者との会談の様子を撮影した写真付きの詳細な記事の中で、
サウジとの関係継続に努めるドイツ政府を批判しています。

ドイツの左派や緑の党、社会民主党といった野党はしばらく前から、
ドイツ政府とサウジアラビアとの武器取引の発覚を受け、
現在のメルケル政権を強く批判していましたが、最近の出来事に注目し、
批判の高まりとともにサウジとの武器取引の見直しを求めています。

緑の党や左派勢力は、こうした立場表明に加えて、サウジの政策を対ISIS政策と比較しています。

また、ドイツ社会民主党も同国政府に対し、
サウジとの政治的な関係を経済的な利益よりも優先させるよう求めています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61216
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E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8D

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豪外相、サウジでの集団処刑に懸念を表明


オーストラリアのビショップ外務大臣が、
サウジアラビアのシーア派の有力な指導者ナムル師が処刑されたことに懸念を表明しました。

イルナー通信によりますと、ビショップ大臣は4日月曜、オーストラリア政府は、
聖職者ナムル師を含む数十名の活動家の集団処刑に動揺していると語りました。

こうした中、オーストラリアのニューイングランド大学で
サウジアラビアの政治を研究するベン・リッチ氏は、
オーストラリアはサウジでの人権侵害に目をつぶるべきではない。
なぜなら、サウジにおける人権の侵害は、長期間にわたり無視されているからだ
」と述べています。

サウジは2日土曜、同国のシーア派の指導者ナムル師の処刑執行を発表しました。

サウジアラビアが、有名なイスラムの有名の聖職者を不公平に処刑した一方で、
イエメンを攻撃し、バーレーンの国民を激しく弾圧、殺害しており、また、
シリアやイラクでISISとヌスラ戦線といったテロ組織を支援していることは誰の目にも明らかです。

サウジによるナムル師の処刑は、世界のイスラム教徒の怒りを引き起こしています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61217-
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アメリカ大統領選の共和党候補、「中東危機の責任者はサウジ」

2016年アメリカ大統領選挙のロン・ポール共和党候補が、
「中東地域での緊張や戦争の発生の責任はサウジアラビアにある」と語りました。

イスナー通信によりますと、ロン・ポール候補はあるテレビ局のインタビューで、
中東における緊張や戦火の責任がサウジにありながら、我々は同国に武器を売却している
と述べています。

また、アメリカのオバマ政権や、民主党候補のクリントン前国務長官に責任があるとし、
「これらの人物は、シリアの反体制派の武装化を支援している」としました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61220-

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どうもサウジはイランの脅威を煽れば何とかなるだろうと考えていたらしいが、
さすがに今回の処刑は、今までサウジの悪行を黙認していた国からも非難されている。

上に列挙した記事を読む限り、ドイツやアメリカ、イギリスなどの国にも
サウジが文字通りのテロ支援国家であることに気づいていた人間がいたようで安心した。

とはいえ、彼ら批判者が向こうの論壇でどのようなポジションを占めているかはわからない。
案外、日本と同じで発言権を事実上剥奪されている人間なのかもしれない。


日本に目を向ければ、サウジアラビアに対する知識人の腰が引けた姿勢に驚きを隠しえない。
私の知る限りでは日本の中東研究者もサウジアラビアがどういう国かは理解しているはずなのだが、
そのわりには、まるでサウジアラビア政府がテロ支援に関与していないかのような書き方をする。

「なぜサウジからビンラディンや9・11の実行犯が多数生まれたか、にある。
 政治の矛盾に敏感な若者が、その「不満や不安をどう表現していいかわからない」環境に
 長く置かれてきたサウジ。国内の改革運動もあるが、その歩みは遅い。
 政治参加の術(すべ)のない怒れる若者たちは、国外に出て世界に刃(やいば)を突きつけるのだ。
(http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011072700624.html)

下線部の言葉は素直に読めば、サウジ出身のテロはサウジ政府とは無関係だという意味だろう。
しかし、実際にはサウジの国教であるワッハーブ派はイギリスやアメリカの支援を受けながら
パキスタンにイスラム原理主義者のための学校を建設し、アルカイダなどのテロ集団を育ててきた。

ダーイシュ(ISIS、イスラム国)にしてもサウジが前から支援してきた集団で、事実、
彼らがシリアやイラクで占領した地域の宗教学校ではサウジの教科書が使われている。


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残念ながら、偉大なる神の預言者たちの信者は、預言者が亡くなった後、
次第に神の教えの代わりに、自らの個人的な解釈を据え、その宗教の歴史を捻じ曲げました。
ムーサー、イーサー、その他の神の預言者の道はこうした信者たちによって逸れていってしまいました。
こうした逸脱がなければ、人類は違った運命をたどっていたことでしょう。

イスラム教も、その例外ではありません。
預言者ムハンマドが亡くなった後、イスラムも個人や集団に都合のよい解釈や逸脱に陥りました。
預言者ムハンマドの後継者として、シーア派初代イマーム、アリーが為政者となったとき、
イスラム社会の3つのグループが、アリーとの戦いに立ち上がりました。

そうしたグループの一つが、ナフラヴァーンという戦いで出てきたハワーリジュ派です。
彼らは預言者と聖典コーランに関する勝手な解釈によりイマームアリーに対して反乱を起こしました。
現在の一連の過激派の流れは、このハワーリジュ派として捉えることができます。

ハワーリジュ派やタクフィール主義の根には、彼らが宗教を暴力的に解釈していることがあり、
イスラム教徒が彼らと同じ考えを持たないことを、不信心の罪と見なし、殺害します。

また、ハワーリジュ派とタクフィール主義に存在する民族的な偏った考え方では、
彼らに近い人々でさえ敵対されます。そのため、過激派の模範は
全てのイスラムのすべての宗派を非難するハワーリジュ派の行動にあると言えるでしょう。

現代の暴力的で偏った行動は、イスラム初期のハワーリジュ派の行動の結果と同じように、
イスラム教徒の弱体化につながることでしょう。

ISISは、サラフィー主義のタクフィール思想を持つグループであり、
彼らの思想は、ムハンマド・イブン・アブドルワッハーブらの思想に根差したもので、
その最大の支持者は、中東地域やそれ以外の地域の一部の政府、
つまり、現在、中東でISISとの戦いを謳っている政府です。

ISISの誕生の経緯を見れば、サウジアラビアと
一部のアラブ・西側諸国の政府の関与が、より明らかになるでしょう。

http://japanese.irib.ir/component/k2/item/
52348-%E3%83%86%E3%83%AD%E7%B5%84%E7%B9%94isis%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F

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サウジアラビアは2015年3月から継続してイエメンに空爆を行っており、
また、例の処刑後には国内のシーア派居住区を包囲、3日には抗議者に銃撃を加え、
1名が死亡、数名が負傷している。この中には8歳の児童も含まれる。

欧米のメディアを見る限り、今回のサウジの処刑と理解不能な反応は、
今まで黙認されてきた同国の悪行が国際社会で非難される契機になるかもしれない。
あくまで「かもしれない」ではあるが。

日ごろ、中国やシリアに対して烈火のごとく怒る日本の知識人は今後、どう反応するのだろうか?
当然、出版社と協力してサウジをテーマにした新書や雑誌、単行本を出版すべきだろうが、
果たして、イスラム国に対してあそこまで熱心に批判していた連中が、
それに劣らぬ情熱を持ってサウジアラビアのテロ支援とシーア派弾圧を非難できるのだろうか?

どうも怪しいなと思えてならない。むしろ、連中は今回の国交断絶や
サウジのイエメン・シリアへの干渉政策をイランとサウジアラビアの二国家間の争いとして語り、
「イランもサウジもどっちも悪い!」という解釈をして済ませてしまうのではないだろうか?
(少なくとも冷戦に関しては「アメリカもソ連もどっちも悪い!」という解釈が主流である)

イランが未だに実質的な悪の枢軸国扱いを受けている国際情勢を鑑みるに、
どうもそういう「中立的な」受け止め方をするような気がするのだが・・・

戦後71年をむかえて(慰安婦問題における左翼の右傾化について)

2016-01-04 00:05:54 | 浅学なる道(コラム)

去年は戦後70年だったせいか、歴史・軍事問題について精力的な議論がされた年だったが、
1945年以来、常に日本では戦争を美化する人間とそれに抗う人間のせめぎあいがあったと思う。

70年が過ぎたからといって気を抜かず、今後も歴史の番人として戦わなくてはならないだろうが、
近年の日本では、左派系文化人が右傾化の一途を辿っており、
対抗者として資格を失いつつあり、非常に深刻な状況にあると思われる。


簡単に言えば、右翼も左翼も自国中心に物事を考える点では大差なく、
そのため、自国の体制を揺るがす思想、例えば典型的な共産主義やイスラム原理主義においては
驚くほど同じ反応を示し、反共・反イスラムに奔走し、結果的に西側の軍事行為を肯定する傾向がある。


アラブの春やウクライナ内戦、シリア動乱、中国・北朝鮮に対する左右の見解はまさにそれで、
面白いほど、どちらも同じ見解を述べ、結果的に米英仏の空爆や他国の体制転覆を支持している。

慰安婦問題に目を向けてみれば、
右翼も左翼も日本政府の責任を徹底的に追及するよりも、
安易な「和解」を望み、「対決」を避けようとする姿勢があり、
状況次第では簡単に馴れ合い、反対者を糾弾しさえする。


「右翼と左翼の境界線がなくなりつつある」という指摘は以前からされていることだが、
 それは右翼あるいは左翼というイデオロギーが消滅しているわけではなく、
 左翼が右翼にすりよることで、両者の違いが見えなくなっていることを意味するのだと思う。

例えば、先の慰安婦に訴えられた韓国人研究者、パク・ユハ氏を
日本の保守系学者と革新系学者が一緒になって応援している現象などはまさにそれだ。



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朴裕河氏の起訴に対する抗議声明

『帝国の慰安婦』の著者である朴裕河氏をソウル東部検察庁が
「名誉毀損罪」で起訴したことに、私たちは強い驚きと深い憂慮の念を禁じえません。

昨年11月に日本でも刊行された『帝国の慰安婦』には、「従軍慰安婦問題」について
一面的な見方を排し、その多様性を示すことで事態の複雑さと背景の奥行きをとらえ、
真の解決の可能性を探ろうという強いメッセージが込められていたと判断するからです。

検察庁の起訴文は同書の韓国語版について「虚偽の事実」を記していると断じ、
その具体例を列挙していますが、それは朴氏の意図を虚心に理解しようとせず、
予断と誤解に基づいて下された判断だと考えざるを得ません。

何よりも、この本によって元慰安婦の方々の名誉が傷ついたとは思えず、
むしろ慰安婦の方々の哀しみの深さと複雑さが、韓国民のみならず
日本の読者にも伝わったと感じています。

~中略~

今回の起訴をきっかけにして、韓国の健全な世論がふたたび動き出すことを、
強く期待したいと思います。日本の民主主義もいま多くの問題にさらされていますが、
日韓の市民社会が共鳴し合うことによって、お互いの民主主義、そして自由な議論を
尊重する空気を永久に持続させることを願ってやみません。

今回の起訴に対しては、民主主義の常識と良識に恥じない裁判所の判断を強く求めるとともに、
両国の言論空間における議論の活発化を切に望むものです。

http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/26/park-yuha-charge-remonstrance_n_8659272.html
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この声明は櫻井よし子や藤岡信勝、西岡力などの極右の言論人と一緒になってアメリカの教科書から慰安婦の強制連行に関する記述を削除させようとした大沼保昭氏
北朝鮮バッシングを精力的に行っている小此木政夫氏、李相哲氏、平井久志氏、
アメリカのイラク戦争を開戦時から支持し続けてきた田中明彦氏などの保守系言論人、
村山富一氏などのアジア女性基金の関係者も賛同者に混ざっている非常に政治的なものである。


すでに指摘していることだが、中国・ロシア・北朝鮮などのアジアの反米国家に対抗するために、
アメリカはアジア圏において、自国を枢軸国とした軍事同盟の強化を狙っており、
その障害となる従属国間のいざこざ、つまり日韓の歴史問題の「穏便な解決」を望んでいる。

比ゆ的に表現すれば、アメリカという王将は日本と韓国を飛車と銀として利用したいのであり、
どちらが飛車か銀かで揉めている日韓に対しては苛立ちを感じているということだ。

そして、その苛立ちは実のところ、自国の軍拡を進めたい日韓の政治家にも通じるものである。
日米韓いずれの権力者も慰安婦問題をさっさと解決させて、しかる後に軍拡・同盟強化を望んでいる。

慰安婦合意の裏で「均衡外交」の代わりに韓米日同盟強化

声明の中に親米派の田中明彦氏がいること、反米国家である北朝鮮を攻撃する言論人が多くいること、
安倍晋三の腰ぎんちゃくである山田孝男(毎日新聞特別編集委員)がいることは、
そういう日米軍事同盟強化派の意図および国際情勢に反映されたものだと解釈して良いだろう。

ちなみに山田は7月にも『帝国の慰安婦』を弁護する文を毎日新聞に載せている。

逆を言えば『帝国の慰安婦』など、しょせん、その程度の内容だったということである。
現に慰安婦本人からもパク・ユハは非難されていたし、この本が書かれる前から
表面的な和解を期待する同氏の態度には日韓両国から多くの批判がされていたのだ。

特に大金と月並みな謝罪文で水に流そうとしたアジア女性基金プロジェクトに否定的な
元慰安婦女性は当初から否定的だったし、その支援団体も同じ見解を有していた。

韓国の元慰安婦が日韓合意に抗議デモ

慰安婦ハルモニ「最終合意という言葉は私たちを何度も殺すこと」

日韓の合意に抗議、韓国の若者がデモ

今回の日韓合意およびアジア女性基金型の解決に対しても元慰安婦は同様の態度を示している。
他方、元慰安婦の心情を代弁しているかのように語るパク・ユハや彼女を支持する日本の全国紙が
日韓合意に対して好意的な反応を示しているのは何と言うか、笑えるようで笑えない話だ。

日韓三項目「合意」と異論封じ込め「外注」の構造

問題は、そのような政治的な声明の中に日本の代表的左翼が多く名を連ねていることで、
特に成田龍一氏や小森陽一氏などの極右の歴史改竄行為に対抗している中心人物が
こうもあっさりと右翼とつるんで『帝国の慰安婦』を褒め称えるのには恐怖を感じる。

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北朝鮮が、慰安婦問題をめぐる日韓の合意を批判

北朝鮮が、従軍慰安婦をめぐる日本と韓国の合意を「侮辱的だ」としました。

韓国・ヨンハプ通信によりますと、
北朝鮮は29日火曜、慰安婦問題をめぐる日韓の合意を非難しました。

北朝鮮は、この合意を侮辱的だとし、
「この合意によって、日本政府はこうした冷酷な行為の責任を負わなくなるだろう」としました。

こうした中、日本の元慰安婦支援団体の代表は、
「すべての在日朝鮮人の女性が、過去の過ちを永久に水に流すことで、
 日本に屈したとして、韓国を非難した」と語りました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61120-
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日韓の「進歩的」知識人が極右とつるんで慰安婦問題を無理に解決しようとする一方で、
悪の帝国、人権侵害国家であるはずの北朝鮮が今回の合意を冷静に批判している。


北朝鮮政府のほうが日本の進歩的知識人より
元慰安婦の心情に沿った見解を述べるという凄まじい矛盾を前にして、
私は改めて戦後日本の民主主義とはいったい何だったのだろうか
という激しい疑問を抱かずにはいられない。



思うに、戦後の知識人は表面的な冷戦終結をきっかけに、それまで多少なりとも残していた
アフリカやアジア、東欧などの非欧米圏から自国や欧米の内政・外交を照射し、
比較検討するという手段を自発的に嬉々として捨ててしまったのではないだろうか?

あるいは戦前から主流左翼の中に存在していた反共思想から
ついに脱却することができず、それどころか主軸にして今に至ってしまったのではないだろうか?


そう思わざるを得ないほど、近年の日本の左派系論壇における見解は、
民主主義至上主義で、非西洋型国家への常軌を逸する嫌悪と非難、否定にまみれており、
その言動が結果的に西側諸国の他国への軍事・政治・経済干渉を支持していることに気づいていない。

ロシアや中国、北朝鮮を非民主主義国家として徹底的に糾弾するわりには、
慰安婦問題ひとつを例にしても、こうまでもあっさり右翼とつるんで元慰安婦を傷つける。

どうも彼らの描く世界観と実際の世界には大きな食い違いが生じているのではないだろうか?
そういう疑問は年々増していくし、実際、他国のメディアに接すると、新聞やテレビはもちろん、
書籍や雑誌、つまり左派系論壇においても意図的に語られないものがあるように感じる。

シリアを人権侵害国家として執拗に糾弾する一方で、
文字通りのテロ支援国家であるサウジアラビアについては特に何も非難しない。

仮にも選挙で選ばれたアサド大統領とシリア政府に対しては武装勢力を支援してまでも
その崩壊を望む一方で、王族に支配されるサウジアラビアに対しては
その典型的な文字通りの独裁体制を非難したりは決してせず、場合によっては擁護すらする。

こういう実に西側寄りの見解が空気を吸うかのように当たり前に示されるために、
特定の意見が最初から疎外されているのは言うまでもない。言論の自由は彼ら自身が侵している。

こういう状況を目の前にして、その対策として個人ができることは、
非常に微弱ながら、彼らがはじき出してしまった情報や主張をもう一度拾いなおすこと、
それらをヒントにしながら、国際情勢を捉えなおすことだと私は思う。

そのような小さな運動は組織を必要としないし、エドワード・サイードや
ノーム・チョムスキーのような先駆者を見る限り、むしろ個人によって行われてきた感すらする。

このサイトも日本語で読めるものを中心に、外国のニュースサイトを紹介し、
あわせて私の見解と解説を列挙するスタイルをとってきたが、
こういう運動は今後も続ける意義はあるのではないかなと思う次第である。

そこまで大したことを書いているサイトではないが、
今年もまた、ささやかな抵抗としてブログの運営を続けてゆきたい。