「亡命してきたんですか。たしかに貴殿の言葉遣いも道行く人と違うなと
思っていました。」
私は窓の外をみてまた久米さんをみた。
「おう。何も今の時代は關東だけが日本じゃないからだ。」
久米さんは安心したような顏をした。
「そういう人間がゲリラ的に出版していれば、關東の出版界に皮肉が言えるかも。」
私は苦笑した。
「出来杉という人はつくづく、甘チャンだねぇ。暗殺されるとは思っては井内だからな。
もし、暗殺されるような敵を沢山作っている人間は用心深くなる物だ。
彼の暗殺の首謀者は、発作的に彼を暗殺したなと俺っちは思っているよ。」
久米さんの言葉に私は一瞬凍り付いた。
「でも、何のために文章を持ってきたのか・・・。」
私はいたたまれない氣持ちになっていた。
「まあ、あんたの話題も話題だ。あんたの証言をみれば、それこそ出来杉英才暗殺計画
が立体的に見えてくる。」
と、言って、久米さんは電話をかけ始めた。
「誰に電話ですか?」
私は久米さんに聞く。
「俺が念頃にしている富山県の印刷業者だ。今夜印刷に回す。」
久米さんは受話器を置いた跡、そう告げた。
「解りました。私の本が無事出版されることに安堵感があります。」
私はそう言った。これまで福岡に住んでいたときも本は沢山出版してきたのだから。
かくして、私の書物「出来杉英才暗殺計画」は世に出ることになった。
おわり
思っていました。」
私は窓の外をみてまた久米さんをみた。
「おう。何も今の時代は關東だけが日本じゃないからだ。」
久米さんは安心したような顏をした。
「そういう人間がゲリラ的に出版していれば、關東の出版界に皮肉が言えるかも。」
私は苦笑した。
「出来杉という人はつくづく、甘チャンだねぇ。暗殺されるとは思っては井内だからな。
もし、暗殺されるような敵を沢山作っている人間は用心深くなる物だ。
彼の暗殺の首謀者は、発作的に彼を暗殺したなと俺っちは思っているよ。」
久米さんの言葉に私は一瞬凍り付いた。
「でも、何のために文章を持ってきたのか・・・。」
私はいたたまれない氣持ちになっていた。
「まあ、あんたの話題も話題だ。あんたの証言をみれば、それこそ出来杉英才暗殺計画
が立体的に見えてくる。」
と、言って、久米さんは電話をかけ始めた。
「誰に電話ですか?」
私は久米さんに聞く。
「俺が念頃にしている富山県の印刷業者だ。今夜印刷に回す。」
久米さんは受話器を置いた跡、そう告げた。
「解りました。私の本が無事出版されることに安堵感があります。」
私はそう言った。これまで福岡に住んでいたときも本は沢山出版してきたのだから。
かくして、私の書物「出来杉英才暗殺計画」は世に出ることになった。
おわり