「雨か・・・。」
憂鬱な時間のなか、松本佳奈は目が覚めた。
關東の大学に進学して、はや、一クールがすぎた
7月のある日である。
郷里の奄美大島から半ば勘当された感じで
關東は神奈川縣の三浦金沢市の大学に進学した
なぜだか、英文学部に彼女は在籍していた。
ほとんどまぐれで、大学に補欠合格した。
大学が駄目であれば大阪にGet Jobすることを考えていた矢先、
補欠合格の葉書が神奈川縣のその大学からやってきた。
「まあ關東を見てみたいし。」
ただ、それだけだった。そして、郷里である加計呂麻島を捨てるために
彼女ははめっぱなしにしていた時計を見る。
「05:00」
とデジタル時計は時刻を示していた。
「午前中から授業だ。まあこんなのサトウキビの収穫の時期を考えると
もっと早く起きるときがあるからまあこれでよしと。」
洗面所にいって歯を磨く。
彼女の同居人は、まだ寝ているようである。
「淡雪の奴は車で大船まで行くからねているのだろう。」
歯ブラシを加えながら、ぶつくさ言う。
トースターに麺麭を入れて焼いて、Rawsuger味のスプレッドを塗る。
「私にとって故郷の味覚だな。誰も私のシマのことを關東の人間は
しらん・・。だが、それがいい・・。」
机の上に、フリーペーパーが乗っているのだが、
ちらりと、シーサーが見えた。
おそらく沖繩が舞台のパチンコか何かの広告だ。
「關東の人間にとって沖繩は理解しやすいのだろう。」
もう一人の同居人高槻久留美が先日近所の圖書館から借りてきた
沖縄戦や琉球王国の本の背を思い出していた。
「私にはパンクしそうな内容だった・・・。」
久留美が専攻している経済学の本とともに、その本も見えた。
つづく
憂鬱な時間のなか、松本佳奈は目が覚めた。
關東の大学に進学して、はや、一クールがすぎた
7月のある日である。
郷里の奄美大島から半ば勘当された感じで
關東は神奈川縣の三浦金沢市の大学に進学した
なぜだか、英文学部に彼女は在籍していた。
ほとんどまぐれで、大学に補欠合格した。
大学が駄目であれば大阪にGet Jobすることを考えていた矢先、
補欠合格の葉書が神奈川縣のその大学からやってきた。
「まあ關東を見てみたいし。」
ただ、それだけだった。そして、郷里である加計呂麻島を捨てるために
彼女ははめっぱなしにしていた時計を見る。
「05:00」
とデジタル時計は時刻を示していた。
「午前中から授業だ。まあこんなのサトウキビの収穫の時期を考えると
もっと早く起きるときがあるからまあこれでよしと。」
洗面所にいって歯を磨く。
彼女の同居人は、まだ寝ているようである。
「淡雪の奴は車で大船まで行くからねているのだろう。」
歯ブラシを加えながら、ぶつくさ言う。
トースターに麺麭を入れて焼いて、Rawsuger味のスプレッドを塗る。
「私にとって故郷の味覚だな。誰も私のシマのことを關東の人間は
しらん・・。だが、それがいい・・。」
机の上に、フリーペーパーが乗っているのだが、
ちらりと、シーサーが見えた。
おそらく沖繩が舞台のパチンコか何かの広告だ。
「關東の人間にとって沖繩は理解しやすいのだろう。」
もう一人の同居人高槻久留美が先日近所の圖書館から借りてきた
沖縄戦や琉球王国の本の背を思い出していた。
「私にはパンクしそうな内容だった・・・。」
久留美が専攻している経済学の本とともに、その本も見えた。
つづく