ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

シーサーと桜島_1

2010-08-08 18:23:32 | 信・どんど晴れ
「雨か・・・。」
憂鬱な時間のなか、松本佳奈は目が覚めた。
關東の大学に進学して、はや、一クールがすぎた
7月のある日である。
郷里の奄美大島から半ば勘当された感じで
關東は神奈川縣の三浦金沢市の大学に進学した
なぜだか、英文学部に彼女は在籍していた。
ほとんどまぐれで、大学に補欠合格した。
大学が駄目であれば大阪にGet Jobすることを考えていた矢先、
補欠合格の葉書が神奈川縣のその大学からやってきた。
「まあ關東を見てみたいし。」
ただ、それだけだった。そして、郷里である加計呂麻島を捨てるために
彼女ははめっぱなしにしていた時計を見る。
「05:00」
とデジタル時計は時刻を示していた。
「午前中から授業だ。まあこんなのサトウキビの収穫の時期を考えると
もっと早く起きるときがあるからまあこれでよしと。」
洗面所にいって歯を磨く。
彼女の同居人は、まだ寝ているようである。
「淡雪の奴は車で大船まで行くからねているのだろう。」
歯ブラシを加えながら、ぶつくさ言う。
トースターに麺麭を入れて焼いて、Rawsuger味のスプレッドを塗る。
「私にとって故郷の味覚だな。誰も私のシマのことを關東の人間は
しらん・・。だが、それがいい・・。」
机の上に、フリーペーパーが乗っているのだが、
ちらりと、シーサーが見えた。
おそらく沖繩が舞台のパチンコか何かの広告だ。
「關東の人間にとって沖繩は理解しやすいのだろう。」
もう一人の同居人高槻久留美が先日近所の圖書館から借りてきた
沖縄戦や琉球王国の本の背を思い出していた。
「私にはパンクしそうな内容だった・・・。」
久留美が専攻している経済学の本とともに、その本も見えた。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする