ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

シーサーと桜島_11

2010-08-08 18:33:26 | 信・どんど晴れ
さて、佳奈の同居人横手淡雪と高槻久留美は元町に来ていた。
買い物の帰りがけ、有るお店でスイーツを食べていた。
この店は、佛蘭西帰りの店主が数年前に開いた店で
シヴーストが得意なスイーツとしてマスコミや市井の人には
知られていた。
「得意な物だけ合って、味が確乎りしている。」
大学で料理などを専攻する淡雪はスプーンをつけながら総評した。
「そうだね。」
久留実もそれに同意する。
「確か佳奈ちゃんは小禄さんと鶴見に買い出しに行った。なんでも
2人で山羊汁を作るとか言って。」
淡雪は、かの2人が余りにもとんちんかんなので、少し心配してはいた。
小禄さんというのは、淡雪のクラスメートの女性である。
「山羊汁?想像も付かないよ。」
久留実が少し気持ち悪がった。
「どうだね。お嬢さん方?」
此處の店のOwnerである男性が淡雪と久留美を見た
「見事でした。このシブースト絶品ですわね。」
淡雪がこの店とOwnerに最高の讃辞を言った。
「ありがとう。實はね此處だけの話しなんだけれども、徳島の和三盆の業者が
私の所に来て、和三盆を使ってくれと言って・・・。」
とOwnerは悩みながら答えた。
「へぇ。和三盆ですか?和菓子によく使いますよね。私の実家は石川ですけれども
そこの名物の和菓子でも使いますけれども、それが此處のスイーツに・・・。」
久留実は首をかしげた。
Ownerは久留実を見て。
「お嬢さんの一人は石川出身なんだ。たしかに此處のスイーツには合わない感じがするね。
まあ、徳島の製糖業者の倉橋さんに申し訳ない・・。まあ開発してみるか・・・。」
と、言いつつ厨房に消えていった。
「私も少し言いますけれども、黒砂糖を使ったスイーツって有りますよね。
それの応用で和三盆を使えるかもしれません。」
Ownerが厨房に消える寸前に淡雪は声をかけた。
「考えておくよ。」
Ownerは名刺を持っていた。
「本当に上手くいくかな。」
久留実は半信半疑であった。
「うまくいかないから。其れを捜索すのが人間だと思ってOwnerに言ったわけ。」
淡雪は店のドアを閉めながら久留実を見た。
久留実は黙って頷いた。
今出て行った店の名前は「ル・ヴィサージュ」という店であった・・・。
これでいったん物語は終わる。
今話した沖繩の小禄さんの物語は日を置いて話したいと筆者は考えている。
つづく








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シーサーと桜島_10

2010-08-08 18:32:33 | 信・どんど晴れ
「沖繩といえば、もともと私の島は沖繩の一部だったんだぜ。」
佳奈は得意に話した。
「知っているよ。琉球王国だよね。」
歴史が得意な久留実が答えた。
「そうだな。なんでも、私の父方の家系はノロだったらしい・・。」
こういったことに詳しい久留実に解るように佳奈は話していた。
「なんだか由緒正しい家系に思えないけれども。」
淡雪は、漬け物に箸を付けながら、口はへの字になっている。」
佳奈は真顔になりながら
「でさぁ・・・。1600何年かに薩摩が琉球進攻してきて、私らの島周辺は
薩摩に直轄地に組み入れられたんだ・・・。」
「1609年だね。」
久留実が付け加える。
いつも、あほなことばかり言っている佳奈がまじめな顔をしているので
同居人二人は聞き入っていた。
「私の実家はサトウキビ農家だけれども、薩摩藩の時代は酷かった。
税金で島民は過酷だったな・・・。」
佳奈の顏は本当に聞いてきたかのような感じである。
「私も本で読んだだけれども、本当に過酷だったんだ・・。」
久留実は絶句していた。
「ま、其れが私の実家の周辺な歴史だ。沖繩のそいつも
同じような感情を薩摩に抱いているな。」
確信的に卓袱台の上にあるロックGlassの黒糖焼酎を飲む佳奈。
同居人二人は、いつも焼酎とかを飲んでいる彼女の表情は
深刻な顔をしながら飲んでいるのが不思議に思う。
つづく








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シーサーと桜島_9

2010-08-08 18:31:54 | 信・どんど晴れ
「珍しいか?」
佳奈は壁に貼られているサトウキビ畑の写真を見た跡、
淡雪と久留美の顔を見た。
「珍しいかもしれない。テレビで見たことしかないから。
佳奈ちゃんの実家ってこんな感じなんだ。」
久留実はそう言った。
「まあ、お前さんサトウキビ畑の歌にちなんだ2時間ドラマか映画の
dvdをみたぞ。」
久留実を見つつ佳奈はくすりとした。
「あ、そうだ。私のクラスメートにね沖繩の人がいるんだ。」
淡雪は思い出したように口を開く。
「沖繩か、まあなにかのひきあわせだろうか・・。」
佳奈は酢漬けの鰊でも食べたような顏をした。もっとも
此處にいる女性たちは食事中であるが、それが食卓には
上っていないのだが。
「難しい顏をしているね。今の寫眞をみて思い出したというか・・。
その沖繩の子は、けっこうとんちんかんでまだ關東の生活になれない
感じで・・・。」
淡雪は堰を切ったような感じでしゃべり始めた。
「へぇ。まあ私の集落の人の方は或る意味沖縄に似ているね。」
佳奈は顏が真顔になっている。
「その子とは意外と話が合う感じもするって氣が私はしてきた。」
久留実が横から話しをした。
「どうだろうね・・。」
佳奈の表情には、暗い物があった。
つづく




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シーサーと桜島_8

2010-08-08 18:30:58 | 信・どんど晴れ
「なんかしらん、氣が進まんな。」
杉田という場所にある
自宅の一室で、寝ころびながら久良岐市にある大規模書店で
購入した文庫本を読み始めているのは、宇品である。
題名は「狩り暮らしの空の音」である。
作者はもともと純文学關係の書物で出発した人間であるが、
可成り長い間スランプになり、宇品が今手にしている
Fantasy小説でカムバックしてきた。
「この作者は、故郷に戻ったんだよな・・。彼女の出身地東北だっけかな。」
宇品は半ばでたらめを言いながら、ページを進めている。
この小説の舞台は地方色にあふれていて、作者の故郷が反映されている
のだろうか・・・。
そんなことを考えた。
「私は、まっちゃんに間違ったことを言っているのだろうか。」
宇品自身一人ツッコミをした時期もあったが、
自分の信念は揺るがない。
「さてと・・。」
宇品は本を閉じ求人広告を見始めた。
つづく




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シーサーと桜島_7

2010-08-08 18:30:04 | 信・どんど晴れ
「まあ得意料理か・・・。大船のお嬢校だったよな。」
宇品は、真顔で佳奈を見た。
「そこの、家政学部だ。自分の得意なことが学問か仕事に
直結しているならば、それはそれで幸せなことはない。」
佳奈は、全く持って深刻な顔をした。
この女性の悪いところかもしれないが、目的意識のある人の事を考えると
どうみても、自分がばつが悪くなるらしい。
「本当はうらやましいんじゃないの?」
宇品は佳奈を見透かしていた。
「ああ。」
佳奈は気の抜けたコーラみたいな声を出した。
「此處だけの話な私はRadioのパーソナリティをやりたいと思っている。」
宇品は、この神奈川県近辺にあるRadioのCommunity_fmの紹介した
冊子をだした。
「鎌倉に、横浜、三浦半島、他に湘南に沢山あるみたいだ。」
宇品自身、佳奈が目的もなく關東に来たことを皮肉っているようだ。
「そうか・・・。私は行き当たりばったりかもしれないよ。それでも
關東で生きていく。」
佳奈はむきになって、宇品を見たのだけれども彼女は真顔だ。
「まっちゃんの好きにせい。まあまっちゃんは關東が必要とするか・・。」
と、言った。
つづく



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シーサーと桜島_6

2010-08-08 18:28:55 | 信・どんど晴れ
「まっちゃん、何か考え事でもしているのか?」
佳奈のclassmateとして知られる宇品が
彼女の顔をのぞき込んだ。
「まぁな・・・。私の加計呂麻島で住んでいた集落が諸鈍という
名前でね。此處に伝わっている民謡が、恐ろしく古いやつでさ、
沖繩に昔有った王朝の書物に載っているらしいんだ。
それは親父や土地の古老が言っていた・・・。」
佳奈はぽつりともらした。
「へぇ。うちの父方の親戚が民謡をやっている人が多いけれども
其れは知らない。つか奄美なんて沖繩と混同しているしね。」
宇品は複雑な表情をした。
「宇品ちゃんの、父方の親戚って東北の人?」
宇品は黙って首を振りながら、
「いや、道民だ。小樽とか後志とかいう地名の場所に固まって暮らしている。
母方よりも民謡が好きだな・・・。母方はキャンディーズとかピンクレディーとか
オフコースの世界だけれども・・。」
と言った。
「ウチは民謡以外だったら、演歌とか・・。the beatlsとかLed Zeppelinとかよう解らん

ばかりだ・・。」
と、佳奈はからから笑った。
「まあ、奄美の近くの縣廰街だったら、解る人がいそうだが・・・。」
宇品は北海道や青森の風景を考えながら答えた。
「まぁ。そうだ」
佳奈には其れしかいえない。
「加計呂麻島だっけか?沖繩に文化が近いようにおもうけれども・・。
この前見た映画、實におかしな映画だったよ,1950/60年代の
屋久島とか言う島が舞台の作品だったけれども、奄美出身の
Artistを起用していて、雰囲気に合わないんだ・・。」
宇品は解るだろうとして佳奈にまくし立てた。
「私も歴史とか解らんが、奄美と屋久島は根本的に違う。
あの映画は、奄美からも抗議があったらしい。
プロデューサーも恣意的にしか西南日本を知らない人なんだろうね。」
佳奈は、冷静だが、怒りに震えた感じだった。
「そういうものか・・。東北も恣意的にしか扱わない人もいるな・・。
で、まっちゃんとこのRoommateって秋田の人か・・。盛岡だったらどうも
苦手でね・・。」
宇品は佳奈を見た。
「そうだ。まあ一度來るといい。得意料理を作ってくれるかもしれない」
佳奈の表情が明るくなった。
つづく




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シーサーと桜島_5

2010-08-08 18:28:07 | 信・どんど晴れ
「そういえば・・・。先日読んでいた琉球古典文学の”おもろさうし”という本があったんだ
けれども・・・。」
久留美は思い出したように淡雪の顔をのぞき込んだ。
「おもろそーし?その本が何か有ったわけ?」
淡雪は首をかしげながら、久留美の顏を見返した。
「その本の中に諸鈍という地名が出てきて、其れをInternet とかで調べたんだけれども、
佳奈ちゃんの郷里の加計呂麻島にあるみたいなのよ。」
久留美は早口だった。
「早口で解らないけれども、古典文学に出てくるぐらい由緒正しい地名なのね。」
淡雪の笑っているのか怒っているのか解らない顔を見て、
久留美は一瞬正気に戻った。
「うん・・・。いつも故郷のことを語らない人だったからな。」
淡雪は佳奈の使っている机を見た。ビジュアル系のArtist があしらわれた
時計がおいてある。
「彼女に故郷をにおわす物は何もない。でも沖繩に文化が近い、琉球の方に
とよく使うのはやはり、1609 年のことがあるのかな。」
久留美は、佳奈の机を見た。
「1609 年?一帯何があったの?」
歴史に疎い淡雪は久留美に質問した。
「ああ、薩摩藩が琉球群島に進攻してね、その時点から琉球王国は薩摩の属国になって
なおかつ、奄美群島は薩摩藩の直轄領になって砂糖地獄という苦しみを受けるようになったの
彼女は、鹿児島の本土と一緒にされるのを嫌うのは、それに由来していると
感じているわけ。」
歴史や古典文学に造詣が深い久留美らしい解説であった。
「なるほどー。私のclassmate に沖繩のたしか浦添とかいう土地の出身の女性がいる。」
淡雪は思い出すように答えた。
「へぇ・・・。その子が如何したの?」
「少し、私には理解しない行動があるかなと思ってしまう。本土の人とは違う行動を
取っているような氣がするの・・。」
淡雪は悲しそうな顏だった。
久留美は黙って彼女を見ていた。
「まあ、今度佳奈ちゃんがいるときに食事でも呼んでみるか・・。」
淡雪は悲しそうな顏が一変した。
「やってみるのか。まあどうなるか解らないけれども。」
今度は久留実の表情があわてて見えた。
つづく




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シーサーと桜島_4

2010-08-08 18:27:11 | 信・どんど晴れ
「あはははーっ。あんたが、進学先に關東を選んだ理由を聞いていて、
私に似ていて笑っちゃうよ。」
今朝方、佳奈と同じくラスの宇品嬢に話したことをルームメートの淡雪に話した。
そうしたら、其れがその答えである。
「まあ石川の人は大坂にも出るかラナー。」
横で聞いていた、石川出身の高槻久留美も苦笑しつつ、
「そんなに、奄美の人って大坂に行くことが多いんだ。」
と続けた。
「そうなんだよー。」
佳奈は、淡雪が愛飲している芋焼酎のBottleを眺めながら、
「鹿児島の本土の人間、あるいは沖繩の人間は關東に敢然と乗り込んでくるのに、
奄美の人間は臆病だな・・。ってね・・。」
と、久留美の握っている團扇を眺めた。パチンコに登場するシーサーが描かれ、
その近くにはエイサーの赤い太鼓を持った男性、カチャーシーの手つきの女性が
描かれている。
「こうやって、關東にいろいろなことを教え込んでいるのかな・・・。
何年か前、鹿児島を舞台にした映画で方言がめちゃめちゃだというので
強い抗議を受けて
急遽演出主査をしていた映画プロデューサーが、新作映画で方言の考証を確乎り
する映画を作り直したことがあったな・・・。これも鹿児島の本土の出身者の
発言権が強いからかな・・・。」
佳奈は複雑な顏をした。
「何、独り言を言っているのよ。あんたの話しを聞いて、私の意見としたら・・・。
私は、今通っている大船のお嬢校じゃなければ、下町の方にある大学を受ける
筈だったのよ・・。でも下町は東北の人間ばかり集まっていて同じようなにおいがする人間が
傷をなめ有っている感じがして行けないと思った。特に大阪や京都の人間に
攻撃的になるのは、そう言う人間が少ないから考えが極端になるのよ。」
淡雪は、煮っ転がしの芋を箸で神経質に突き刺していた。
「怒りすぎだぞ。淡雪。私もそう言う傷をなめ合うような考えは苦手なんだよ。
だから大阪に進学するのはやめたんだよ。こうして補欠合格ながら關東の大学が
拾ってくれるのを天祐だとかんがちまうのさ。」
佳奈は他のみんなを見回した。
「面白いね。」
久留美は、みんなを少し馬鹿にした感じで苦笑していた。
佳奈は、久留美が近所の図書館で借りてきた本を見回した。
沖縄の伝統文化の本、韓国の伝統紋様の本、漢詩と和歌の本である。
「すきなんだなー。こういうの・・・。漢詩とか和歌とかパンソリとかのことを
熱っぽく語っているんだったら、東洋文学科に入るのかなと思っていたのに・・・。」
佳奈は悲しそうだった。
「しょうがないよ。生活のため。親が商売のためならば経済学部に行けって言うから
私もそのために關東に出てきた。」
と顏が険しくなった。
「いけないことを聞いてしまった。」
佳奈は少し後悔した。
「あ、いいんだよ。でも佳奈ちゃんの大学に行く意味って何。」
久留美は聞いてみたが、佳奈は明確に答えられなかった。
つづく





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シーサーと桜島_3

2010-08-08 18:26:01 | 信・どんど晴れ
「まっちゃん・・・。」
大学の講義机の一番前に座っていた、
佳奈に声をかけた女性がいた。
「なんだい宇品さん。」
チト眠くなりそうな目をこすりながら佳奈は宇品という名前の女性を見た
まっちゃんという通称は佳奈の本名松本佳奈に由来する。
「ぼちぼち講義が始まるぜ。まあ何故かあんたは目の前に座っていることが多いから。」
くすくす笑いながら、宇品は佳奈を見た。
講義が終わる。
眠そうな目をしていた佳奈にしては講義となるとまじめである。
「この大学に入学して思っているんだけれども、まっちゃんは講義まじめに出ている。
それは見習いたいよ。」
宇品は言う。
「それはな、私が奄美だか加計呂麻島から抜け出して關東でのよりよい暮らしを
するためにだよ。」
宇品はなんだか奄美といっても解らない顏をしつつ、
「奄美か・・・。まあ入学してからまっちゃんは沖繩の近くの島の出身と
言ってはばからないな。」
と意見を言った。
「地理上は鹿兒嶋縣に属するのだけれども、あまり鹿児島市内あたりを一緒には
してはもらいたくはない。」
宇品が見た佳奈の顏は
怒っているのか笑っているのか解らん顏だ。
「奄美といっても私は解らん。沖繩に近いと言えばなんともだ・・。」
宇品は腕を組みながらうんうんと自分で納得している。
「この前お前さんが持ってきてくれた北海道や津軽の産品だけれども、同居人が
上手そうに食べていた。私は東北や北海道の魚にはなれないんで・・。」
と複雑な顏をした。
「其れは佳かった。秋田や石川の人だっけ・・・。
沖繩の近くの島だから海に囲まれているのに魚はあんまり食べないのかい。」
うれしい反面、宇品はあっけにとられた顏をした。
「北海道や東北ほど魚を勧めるほど旨いとはいえないから。」
佳奈はきっぱり返した。
「私の実家の札幌近辺でも、母方の実家の弘前あたりでも、魚とかは
必需品だからな。」
世の中の難しさを宇品は感じていた。
「鹿児島の市内だったら、急度魚が並んでも大丈夫だけれども。」
佳奈は皮肉を言った。
「そんなに違う・・・。南日本はあまりわからん。」
宇品は頭を抱えた。
「これだから、關東は面白い。進学先に大阪を選んでいたら同じように奄美の人
だらけで、面白くなかっただろうと思う。Get Jobだったらそこでいいけれど」
佳奈は自信を持っている顏をしていた。
「げっじょぶ、就職ならばokか・・・。」
宇品は、もっと知りたいと思っていた。
つづく


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シーサーと桜島_2

2010-08-08 18:24:08 | 信・どんど晴れ
「ふっふっふ~。この芋焼酎にはこの東北の魚介類があうわね。」
声の主は、松本佳奈のもう一人のルームメート、横手淡雪である
「はぁ・・・。」
佳奈は気の抜けたような声を出した。
芋焼酎というものを飲んだことがない佳奈にとって、なんで
こんな物を選んだのか疑問しか湧いてこない。
「これか~。石川のくちこという生子のBlue Algaeを干した物も
悪くなかったり。」
隣で口にしていた高槻久留美が味わいながら楽しんでいた。
「あんまり私のシマの黒糖焼酎は駄目なようだな。」
淡雪はいったん考えながら、
「そうね・・・。自分の観点では、料理に合わないのよ。」
こう見ても何處で取ったか解らないがソムリエと日本酒の聞き酒師の
資格を持っている女である。そう言う観点からすると
料理と日本酒ないしはワインとの合わせ方というのも問題になってくる
のだろう。
「日本酒もいいけれども、酔いがすぐ回ったり、宿酔いになるから焼酎という
観点もあるね。」
久留美がそれに同調した。
「そうか・・・。」
佳奈は少し悲しい顏をした。
「あなたって、いつも故郷が目立たないという事を考えたがる。」
焼酎にiceサーバーにあった氷を取りながら神妙な顏をした。
「確かに目立たないんだ。このApartの近所のポスターを見ても、
奄美や加計呂麻島を顕す物がない・・。」
淡雪は考えてこういった。
「そういえばこの芋焼酎を購入した店でも焼酎の一升瓶や五合瓶の
寫眞の前に、桜島が噴煙を上げている写真が合成されていたポスターが
張られていた。」
それは、興味を持ちつつ複雑な佳奈の郷里への何ともいえない思いを
反映した笑ってるとも悲しんでるともとれない顏だった。
つづく




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