ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

一番おいしいケーキをどうぞ_5

2011-04-30 18:18:03 | 信・どんど晴れ
「はい橘絵実子です。」
私はすぐさま電話に出た。
「もしもし、朝倉です。今度の和三盆のケーキ挑戦してみたいと思いました。
ここで投げ出したら、私を追放した徳之島の人間たちの思うつぼに・・・。。」
夏美さんからだった。
でも、彼女未だに徳之島の人間のせいに思っているのかな。
「そうね。そう思っているならば、彼らを見返してやりなさい。」
私はそう返した。
考えに偏りがある物の、夏美さんもやる気が出てきたのかもしれない。
「和三盆の業者さんも小田原にいる時間が少ないみたい。だから、一生懸命に作って。」
私は夏美さんをそう叱咤した。
「はい。」
彼女の返事には関東に歸ってきてやる気のない返事ではなかった。
翌日、このことを品田嬢に伝えた。
「分かりました。直接横濱の仕事場に行ってみます。」
と答えを貰った。
さて、仕上げは跡で見てください。
fine
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一番おいしいケーキをどうぞ_4

2011-04-30 18:17:32 | 信・どんど晴れ
その日の夜、夕食の時間。
夏美さんが今回のケーキを縦に振らない理由を自分なりに考えていた。
両親や息子がお味噌汁が覺めるとかいっても、私には分からなかった。
それだけ、ケーキのことで頭がいっぱいになっていた。
サトウキビで作ったものというのが、徳之島でのつらい思い出があるのか。
でも、黒糖と和三盆は違うのだ。
品田さんの和三盆は良質で松江や金沢でも認められている。
夕食後、電話が鳴った。
つづく
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一番おいしいケーキをどうぞ_3

2011-04-30 18:16:32 | 信・どんど晴れ
「私、関東の仕事を終えたら、この足で松江に行く予定なんですよ。」
品田嬢は、自分の携帯のスケジュール表を見た。
「関東の前は、金沢での商談がありました。全国の和菓子の産地では
私のそれは、引っ張りだこでして、ケーキを作っている人が
首を縦に振ってくれなければ。」
と続けた。
「待っていて下さい。必ず成功させます。」
私は、品田嬢を引き留めていた。
「本当ですか。」
私は、
「私の處での商談を成功させれば、もっと成功すると思います。」
と付け加えた。
つづく
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一番おいしいケーキをどうぞ_2

2011-04-30 18:15:50 | 信・どんど晴れ
「橘さん、製菓部門の方は本当にケーキを作ってくれるのでしょうか?」
徳島から和三盆を持ってきた品田嬢はせっついた。
「まあ、待ちましょう。」
私は冷静だった。
でも、今回のケーキは成功させたいのだ。
小田原の、商工会議所でも出戻りと言われて肩身が狭い私も成功させたいのだ。
夏美さんがやる気を出してくれればいいのだけれども。
「品田さん、そういえばあなたが住んでいる近所にウミガメが來る場所があるとか。」
苛苛している品田さんに徳島の話を振った。
「はい。去年公開されたけれども興行成績はふるわなかった映画kamekoの舞台にもなったのですが・・。」
と品田さんは苦笑しながら答えた。
「この映画のウミガメ監修をつとめたのが徳島のウミガメ研究家貫田光三氏なんですよ。」
とも続けていた。
「彼って、息子たちが夢中になってみているanime怪奇探偵局の登場人物に似ていますよね。」
品田さんは。
「そうみたいです。あのanimeの原作者が貫田氏に会いに行ったようです・・。」
と答えた。
つづく
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一番おいしいケーキをどうぞ_1

2011-04-30 18:14:32 | 信・どんど晴れ
「橘さん、本当にル・ヴィサージュの人は和三盆を使ってくれるのでしょうか?」
徳島からやってきた和三盆の職人は心配そうに私の顔色をうかがう。
「安心しなさい。」
私はそう言うしかない。
私の名前は、橘絵実子。つい最近まで徳之島に住んでいた。
訳あって子供と一緒に小田原に戻ってきた。
そして、実家のかまぼこ屋の経営を手伝っているのだけれども、
かつて、徳之島で知り合った横浜出身の女性、
朝倉夏美さんの実家であるケーキ屋「ル・ヴィサージュ」を
買い取って、実家の會社の製菓Categoryとしている。
ちょうど親が倒れて、彼女自体がケーキ屋をやっているのだが。
つづく







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