(常明寺跡・安濃町草生)
津市安濃町草生地区に伝わる
八百比丘尼(やおびくに・八尾比丘尼とも書く)の伝説です。
人魚の肉を食べたがために、不老不死の体となり、
何歳になっても若い娘の姿のまま生き続け、
尼僧の姿となって全国を放浪したという女性の伝説で、
全国に同様の伝承があります。
安濃町に伝わる伝承では、
経ヶ峰の中腹にある草生の里(安濃町草生地区)に住んでいた、
お里という17歳の美しい娘が、
ある日、里の無尽講の御馳走に出された人魚の肉を食べてしまった。
それ以来、お里は歳をとらなくなったという。
いつまでも若く美しい娘の姿のままのお里を見て、
化け物ではないかという噂が広がり、村に居づらくなったお里は、
ひとりさびしく村を去り、若狭などの諸国を放浪し、
何百年かのちに故郷の草生に戻ってきてこの地で亡くなったという。
(伝承では、その頃は安濃町まで海があり、
お里は、若狭から船で草生までやってきたという)
お里が生まれ育ったと伝えられている場所が、
草生地区の神子谷(むこうだに)というところです。
草生天神から経ヶ峰登山道の方向へ300mほどの場所(看板有り)から
細い山道を歩いたところに、常明寺というお寺の跡があります。
この常明寺というお寺が、お里が、長すぎた生涯を終えた場所であると伝えられています。
(「浄明寺」と書いた資料もあるが、最近は「常明寺」に統一されている)
お里の埋葬場所だといわれている神子谷の八百姫明神の塚については、
どこにあるかわからなくなってしまったそうです。