今回、問題になっている大相撲の八百長の仕組みですが、
それは「白星(勝ち)」を貸借り、または売買することであるようです。
例えば、14日目を終えて、
9勝5敗の力士Aと7勝7敗の力士Bが最終日に対戦するとして、
Aはすでに勝ち越し(8勝以上)を決めており、
最終日に負けてもどうということはないが、
Bはこの最終日に勝たないと負け越しが決まってしまう。
上位にいる力士なら、翌場所で多少順位が落ちるだけで済むが、
十両の下位にいる力士は、負け越すと幕下に落ちてしまう可能性がある。
もし幕下に落ちると、給料が無くなってしまうのである。
だから力士Bは、切実に勝ちたいと思うし、
相手がすでに貯金のある相手であれば
「今日は勝たせてくれよー、頼むよー」と思うところであるが、
これを実際に口に出して「頼むよー」と言い、
それを受けて相手が手加減をしてくれ、白星を手にするのが八百長である、ということです。
で、この譲ってもらった白星(勝ち)は
「翌場所以降に、今度は自分が負けて返す(相手に白星を譲って返す)」
「取組後に現金で支払う」
という方法で精算(相殺)されるようであるが、
そのどちらでもなく、
「力士Cさんが欲しがっているので、Aさんの了解のもとに
BさんからCさんに白星を譲り、CさんがAさんに借りた形にする」
という複雑な「債権の譲渡」まで行われているのである。
そうするともはや個人対個人の話し合いではなく、
調整役を果たす者が「白星のやりとり」を采配するという構図になっていたのです。
それが一部の力士であるにせよ
「白星が欲しくて、つい出来心でやってしまいました」という次元ではなく、
裏のルールとしてそういうやり取りが常態化していた、ということです。
今、これを改革する案として
「一定期間のうちに関取(十両以上)に昇進できない者は解雇する」
また
「幕下以下の力士にも、無給ではなく、生活が出来る程度の給料を出す」
という案が出ているようです。
力士の中には
「自分で、これ以上強くなれないと諦めがつけば辞めると思うが、
そのようなルールで、何歳になったから解雇、というのは納得できない」
という意見もあるようですが、
これは大きな間違いと言うか、甘えではないのかと思います。
プロ野球選手やサッカー選手でも
「自分はまだまだやれる」と思っている選手が、毎年何人も自由契約になっているのですよ。
お相撲さんだけ、本人(または親方)の意思に任せる、というのはどうでしょうか。
仮に、幕下以下の力士にも協会が給料を払うようになったとしても、
入門させてから、その力士が辞めると言うまで、
「引退は、本人(または親方)の意思に任せ、協会は給与を支払い続ける」というのはおかしな話です。
客観的に見て、年齢的にもこれ以上強くならないのであれば
プロとして雇用している意味が無いのです。
引退させる・させないは親方が決定し、その間の給料は協会が支払うという形では、
改革にはつながらないと思います。
ではどうするか、
「幕下以下の力士には、協会が定めた給与を支払う。
ただし、協会が雇用するのは、一部屋に何人まで」とするのです。
一律何人とするのか、例えば、横綱・大関がいる部屋は何人とか、
部屋の成績によって加減する方法もあるでしょう。
とにかく、
幕下以下の力士の雇用できる枠を決めてしまうのです。
新人の有望な若者を入門させたいなら、
誰かが関取になって枠に空きをつくるか、
あるいは見込みのない力士を解雇して、空きをつくるかしかありません。
そうすると幕下で足踏みしている力士は、目の色を変えて
上を目指すようになります。
当然、昇進するものがいれば、下に落ちるものもいます。
実力があっても、故障などで成績が悪かった場合もあるでしょう。
そういう力士の救済策も必要でしょう。
十両から陥落した力士は、上記の「総枠」には含めないという特例にし、
ただし1年以内に十両に復帰できなかった場合は、特例から外す、
というようなルールはどうでしょうか。
大相撲を改革することについて・続