(カルビー日本代表チップス2010メモリアル)
年の暮れに、
スポーツ界でふたつの問題が起こりました。
ひとつは、
サッカー日本代表チームの勝利給に関する問題です。
Jリーグの選手会が
「親善試合の勝利給が低すぎる、
昔から要望しているのに、少しも改善されない。
このまま無視し続けるのなら、選手会として、
親善試合への出場をボイコットすることも有り得る」
と発言したようです。
これに対し、日本サッカー協会は
「先のワールドカップでの勝利給は先進国並みにアップしているし、
少しも努力していないわけではない。
ただし、協会の資金はスポーツの振興などにも支出しているので
それらへの支出を削ってでも選手に、という考え方にはならない」
と反論しています。
親善試合とは、W杯とかアジアカップとかの公式大会ではない、
代表チームどうしの国際試合を指します。
日本でも「キリンチャレンジカップ」とかいう名称の試合が
開催されたりしていますが、それが親善試合に当たります。
選手にとっては「練習試合」的な位置付けになります。
例えば、日本代表チーム23人枠の当落線上にいる選手にとっては、
自分をアピールする絶好の場であると言えますが、
ベテランの選手にとってみれば、下手に頑張って怪我でもしたら、
代表チームにも自分の所属チームにも迷惑がかかるので、
あまりモチベーションが上がらないようです。
けれど、サッカー協会とすれば、
この国際親善試合は、貴重な収入源です。
ですので、有名選手とかベテラン選手が欠場するようなら
チケットの売れ行きも悪いし、TV中継も無くなるかもしれません。
だから、
親善試合であろうと、選手には全力で戦って欲しいと考えています。
一方、選手にとってみれば、
(代表入りを目指す若手選手を除けば)
全力で戦え、なんて言うけれど、
直前に何日間か合宿で拘束されたうえで、
勝っても10万~20万円の勝利給では、
気合いが入らないのも当然でしょう。
「国を代表する選手が、そんな寂しいこと言うのはおかしい」と
思われるかもしれませんが、
問題は、お金だけではなくて、
日本サッカー協会の親善試合の組み方に問題があるのです。
つまり
ナイジェリアだとかウクライナだとか、
一応は世界の強豪国というチームを招くのですが、
主力選手はほとんど来日していなくて若手ばかりだとか、
そんな相手に勝ってもあまり意味が無い、
という試合ばかり組んでいるからです。
本当に日本のサッカーを強くしたいなら、
ヨーローッパに遠征して、
フランスやドイツ、スペインのような超強豪国と
試合をするべきなんです。
そうすれば、
お金の問題じゃなくて
「親善試合であっても、スペインに勝ちたい」って
選手のハートは熱くなるはずなんですよ。
ところが、
そんな遠征はお金がかかるだけでなく、
日本サッカー協会に入る収入がほとんどないので
ほとんど実現しないのです。
つまり
日本で開催される親善試合のほとんどは
「興業収入目当て」の、あまり意味のない試合が多いので、
そんなのに出場を強制するなら、
せめて勝利給くらいアップしてよ、と選手は言っているのです。
その気持ちは良く分かります。
もうひとつ、大相撲の問題、
宮城野親方の不祥事に対し、
本来なら退職勧告をしてもよい状況だったのに、
協会は「親方名跡の交換」という勧告で納めました。
つまり、部屋の親方を交替させる、
野球に例えて言えば、
不祥事を起こした監督をコーチに降格させて、
代わりに一軍打撃コーチが監督に昇格する、
そういう交替を命じたわけです。
ひとつには、横綱白鵬の師匠であるので厳しい処分は遠慮した、
ということだったと言われ、
もう一つの理由が、
宮城野部屋の建物などの資産を、
婿養子である宮城野親方が相続しており、
退職(追放)してしまうと色々と問題が起きるから、だったと。
これは、相撲界独特の問題ですね、
プロ野球の監督やJリーグの監督を更迭するのはこんなに難しくありません。
なぜなら、チームの選手寮や屋内練習場が監督の個人資産だった、
なんてことはあり得ないからです。
監督は球団に雇われており、選手寮は球団の資産なのです。
ところが大相撲は、
親方は相撲協会に雇われてはいるものの、
部屋の建物、それから年寄名跡は親方の個人資産であり、
個人資産としてそれを活用し、弟子を育て、
そこから利益を得る権利を有しています。
もし、親方が解雇となった場合、
誰か(部屋を持っていない親方)が部屋と年寄株を買い取らない限りは
部屋の存続はできなくなり、
弟子たちは他の部屋にバラバラに移籍することになります。
で、
相撲協会もこの年寄株の弊害がいろいろあるということで、
協会が年寄株を一度すべて買い取り、
それを、一定の資質を持つ人に貸与する案を考えたのですが、
一説には2億円と言われる株が100以上あるわけですから、
そんな資金は用意できないし、
また上記のように、
親方個人の資産となっている部屋の建物はどうするんだとか、
そんな問題もあって、実現していません。
そこで、私は提案します。
プロ野球のように、企業がオーナーとなり、
相撲部屋の運営会社を設立し、そこに親方も力士も雇われる、
そういう方式に出来ないのかということです。
現在の親方の持つ株も資産もすべて部屋運営会社が買い取り、
改めて親方を雇うのです。
もちろん、ただの雇用関係だけですので、
問題があれば、いつでも解雇できるのです。
実は、
昔の相撲部屋というのは、
今で言う芸能プロダクションのようなもので、
そこの社長が力士を雇っていたわけです。
基本的に営利目的で部屋を持っているわけで、
力士たちの待遇はとても低かったのです。
それが問題だということで、
現在のように、外部の人を入れず、
親方だけで協会運営をしてきたわけですが
それにも弊害が出てきたのは御承知のとおりです。
やはり、
きちんとした運営会社に経営を任せるべきではないでしょうか。
民間企業に任せたらえらいことになる、って
思う方もいるかもしれません。
確かに、練習(稽古)させるよりも
イベントなどに出演させて金を稼いで来い、なんていう社長がいるかもしれません。
が、
そういう部屋からは強い力士は育たないので
やがて淘汰されていくのではないかと思います。