緊急時は仕方ありませんが、その時だけの治療ではなくて長期的な展望を含んだ治療が重要な時があります。
彼は下肢の血流が悪く少しの傷が慢性的な創となってしまいます。褥瘡を専門とする看護師のクリニックに定期的に看てもらっているのですが、なかなか治らない事に苛立ちを見せ救急へ行くことが多くなりました。抗生剤の内服をもらい一時的には痛みも傷も回復するので、その後の私のフォローアップの診察へ来ません。そして先日私の診療所で大爆発。医療が、医療体制が悪いから自分の傷は治らない!と。
あああああ、貴方のような慢性的な疾患がベースにある人は、行きっぱなしの一回きりの救急を繰り返すだけではダメなのよ。医療が悪いのではなくて継続的な治療に来ない貴方のせいなの!
と言いたい気持ちをグッと抑えて継続的なケアの必要性を説明し、今後の計画を説明し、再診の日も決めます。患者任せにしていては拉致があきませんから。
もちろん苛立っている彼は「今、すぐに治す」を要求します。それは不可能です。根気よく長期的な作戦で行かないといけないんですよ、とキッパリ言います。非現実的な目標を立てると、真っ当な事をしている医療者を勘違いしますから。患者と現実的な目標を立てることはとても重要です。
ちゃんと再診に来るかな?
冒頭写真: 潮溜りのヒトデ〜