走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

スコープを理解する

2020年09月10日 | 仕事
昨日の続き。もし私が患者にプラクティスについて訴えられたら?

弁護士は私の記録を読みます。そして免許を管理している団体(カレッジ。何度も書きますが大学という意味ではありません。プロの団体、免許を管理する団体の呼び方)のスタンダードやスコープに比べてどうか?に焦点を当てます。何故ならこのスタンダードやスコープがナースプラクティショナー(NP)の最低限の基準だからです。NPとして働く時にこの基準について熟知していなければなりません。

こちらが私が働いている州のNPのスコープです。30ページにまとめられています。プラクティスは時代によって変わっていくので、アナウンスメントを見逃さないようにしなければなりません。ここのページのアナウンスメントの日付に注目してください。たった一年の間に随分内容が変化したと言うことです。

カナダの中で唯一OSCEを免許の試験に課しているBC州。医学的知識は勿論ですが、最も試されているのはこのスコープを理解したうえで仕事が出来ているかどうか?です。

NPとしてやってはいけない行為を計画に入れてしまう。これはあってはならない事です。なーんだそんなことか、と思うかもしれません。しかしこれが一番ありがちな事なのです。例えばICU出身者は急変時の対応に看護師時代から慣れています。しかしその急変が起こった場所、状況ではICU時代のようなチームがいない場合でも自分で「やれる」と思ってしまい、処方権がない薬を処方してしまうのです。専門医へバトンタッチするタイミングの見極めを誤ってしまうと言ったらわかりやすいかな?

見極めを誤ったために不適切な処方や指示をして患者が死亡、もしくは重度の障害を負う。このシナリオをカレッジは避けたいからスコープを明確にする必要があるのです。そしてそこを理解しているか見極めるためにOSCEで試すのです。私が受験した頃は16ステーション(16本のシナリオ)の中に赤旗と呼ばれるのが2つぐらい仕込んであり、それに気づかず自分で対処すると赤旗が上がり(試験中は上がりませんよ)、どんなに他のステーションが上出来でも無条件で不合格となりました。それほどカレッジはスコープを理解している安全なNPを作り出そうとしたのです。

私はこのような州でNPとして働いているので、スコープもない日本の事をとても怖い場所だ感じてしまいます。法的義務や役割、守ってくれる団体もなく、よく医行為ができるな、と。医師の包括的指示のもと、、、、この隠蓑はどこまで貴方を守ってくれるのでしょうか?

看護協会が前向きに高度なNP作りに動き出したのはとても良いことだと思います。だからこそこのようなスコープ作りもぜひ考慮してください。因みにNPだけではなく全てのプロフェッショナルと呼ばれる医療職にはこのスタンダードやスコープがあります。准看護師や看護師も同様です。スコープの大切さが理解してもらえたでしょうか?

冒頭写真: 潮溜りのコガニ


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記事に関係ないコメントばかりで (⑦パパ)
2020-09-11 09:21:04
大変申し訳ありませんが、昨日「一句一遊虎の巻」で
お便りが読まれていましたよ。
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Unknown (missy0806)
2020-09-13 05:04:20
⑦パパさん いえいえ関係ないコメントでも大丈夫です。いち早く教えてくださってありがとうございました。聞き書きがアップデートされるまで、どんな便りが読まれたのか???と思っていました。あの便りは蘇鉄の週に書いたものです!お便りを持ち越す事がある、って事ですね。因みにYoutubeで読まれたのは一句一遊の赤蜻蛉の投句のかいたもの。赤蜻蛉は自信があったのに読まれず凹みましたー。俳句甲子園とスマで読まれたからしばらくはなしと思わなくちゃね〜高倍率番組!
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