で、そのシンポジウムで出てきたヤングケアラーをご存知でしたか?比較的新しいコンセプトです。その存在は昔からあるのですが、近年に表面化、と言うか脚光を浴びてきました。定義は子供や若年層が疾病や障害のある家族や親戚のケアをしている、ことです。責任感を育てる、というメリットもありますが、社会からの孤立、メンタルヘルス、などの負の面もあり注目を浴びています。
United Nations’ Convention on the Rights of the Child をご存知でしょうか?
every child has 、、、
the right protection from all forms of violence, injury, abuse, neglect or maltreatment (article 19), 暴力、虐待、冷遇、飢餓から守られるべき
the right to a quality education (article 28) 教育
the right to play and rest (article 31). 遊びと休息
家族をケアしていかなければならない状態が上記の3つに反していないか?と考えなければなりません。何故なら子供や青年層は、まだ成長段階にあり、心体の健全な成長発達には上記の権利が必要だからです。
よって潜在しているヤングケアラーの状況を把握して必要なサポートを行っていくのは政府を含む社会の役割だと思います。何せ子供は国の宝ですから。サポートシステムを構築している国々はまだまだ少なく、カナダもその一つです。しかし子供を守るシステムは既にあるのでそう遠いところに位置しているとは思いません。しかし日本はどうだろう、と首を傾げます。加藤さんのお話では地域でばらつきがかなりあるようです。日本全国に広がって欲しいと思います。
で、医療者として今すぐ何ができるのか? 成人を対象にしている医療者が気づくケースがほとんどです。そこから子供の権利が守られているかどうか吟味してソーシャルワーカーやケアマネと結びつけていくことや、負担が軽くなるよう、患者(ケアラーの両親や、兄弟)のケアを厚くしたり、やれることはあります。小児科だけの問題ではない。社会問題として全医療者に取り組んでいってもらいたいと思いました。
加藤さんのお話では、「ただ話を聞いて欲しい」の要望が多く匿名希望者も多いとか。子供や青年層はまだ社会の当たり前の概念に乏しく、現状をこれが当たり前(避けられない運命)のように思っている場合があるので、学校へ行っても良いんだよ、訪問介護がきている間に友達と遊んでも良いんだよ、とAssuarance をすることも大切です。「知らないことを知らない」の比率がとても大きい年代ですから、間合いと反応を確かめつつ情報提供はしっかりしていきましょう。
冒頭写真: 大湯沼。火山の噴火口の中にいるのをひしひし。