走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

養子縁組で、、、

2018年05月31日 | 仕事
子供を一時的に預かる制度を里親制度。それは養子縁組とは異なります。里親制度では親権は実の親にあり、なんらかの理由により他の大人に育てられるのが里親。

養子縁組では実の親が親権を放棄し(もしくは手放さなければならない状態で)、法的な手続きも沢山こなしていかなければなりません。里親から養子縁組をすれば政府から支払われていた月額が支給されなくなります。このような理由で養子縁組を法的に行う人はあまり多くありません。

国内で養子縁組を待っている子供を見つけるのが難しいからと国外のエージェントを通して行う人は多い。特に中国、アフリカから。両親が白人で子供はアジア人か黒人と言う光景は珍しくない。

前置きが長くなりました。今週来た新患さん。3歳の時に里親から養子縁組を組んだ子供側。胎児の時に胎盤を通してアルコールを多量に摂取したため、脳の形成に障害があります。見た目は大人でも知能は低い。で、この彼女はティーンの時に大麻や覚せい剤などを使用するようになりました。養母はありとあらゆる手を尽くしましたが、彼女の行動は改善しません。

電話で、もう何をすれば良いかわかりません。母といっても私はもう70です、と言われました。なんだか心に突き刺さる言葉でした。きっと養子縁組を組んだ時にこんなことになるとは想像していなかったと思います。

遺伝子と環境。やはり遺伝子が勝つのだと科学的に根拠のないことが頭をよぎります。蛙の子は蛙。だから国外へ養子縁組を求めるカナディアンたち。大金を支払うのですから(法的措置には高額な費用がかかります)、将来も確実な方を選ぶのが人間の常なのかもしれません。


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