走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

登頂おめでとう!

2016年02月27日 | 仕事
学会2日目。

医学的な学びは沢山ありますが、今日もやっぱりランチタイムトーク。

お題はこちら(英語ですが)。オフィシャルサイトはこちら

バンクーバーの高校生12人がキリマンジャロ登頂した話。

修学旅行と言ってしまえばそれでおしまい。しかしこの高校生たちは問題児と言われる子供たち。

バンクーバー イーストサイドは最も治安が悪く薬物依存も非常に高い。そんな場所で生まれた子供たちは親がいないとか、犯罪、薬物の環境で生まれた、育った、虐待、貧困、、、色々な社会問題で登校困難な子供たちが通う特別学校の生徒たちだ。

そういう子供たちの内に秘められた可能性を育てるためにマラソンから始まり、キリマンジャロへと発展していった。3年にもわたる交渉で許可がおり、資金集めに成功したのだ。

30人いる生徒を全員連れて行くわけではなかった。薬物フリー、警察の保護下でない事、そして何たって授業に参加している事が条件だった。

頑張ったことに対して報酬が得られる経験は生徒たちにとって大切な経験だった事でしょう。

ほとんどの生徒たちがイーストサイドから出た事がなく、世界観を拡大するにも良い経験だったでしょう。

パスポートを持っていない子供たちで、中にはパスポートの申請に必要な身分を証明するものが何もない生徒もいたとか。

ハイキング靴や服、テントなど全てが寄付金で賄われ彼らは引率の10人の大人たちと旅たった。その大人の1人が医師だった。高山病の予防と診察でかなり忙しい様子でしたが。

頂上にたどり着いたのは12/15人の生徒、7/10人の大人だったそうです。

この引率の大人たちは保護者ではありません。学校の先生、医師、カウンセラー、ソーシャルワーカー、警察官、精神科医、などなど、みんな普段からこの特殊学校に関わっている人たち。

It's not where you are from, it's where you are going.....

不幸な星の元に生まれた子供たちと呼んでも過言でない、生まれた時から背中に背負っているものが多すぎる生徒たち。その彼らにとってキリマンジャロの頂点に立てたことは人生の大きな転機になった。涙が溢れそうになるのを必死に抑えて聞いていた私でした。



道の終わりにオリンピックで使われた聖火台。その向こうにノースの山々。雪がほとんどなく春がもうそこまで来ています。

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