走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

NP(仮称)への第一歩 その4 スムーズな移行

2021年12月10日 | 仕事
シリーズ4日目

NP(仮称)が法改制と共に誕生するまで絶対的医行為には手を出さないのが賢明な策だと思います、と昨日の終わりに書きました。

では、前進ではなくて後退ではないか?!と思った人もいるはず。しかし大きなビジョンからすればこれは大きな一歩なのです。何故なら海外で活躍するNPたちがしていることは包括指示の下の相対的医行為ではなく、診断治療の絶対的医行為だから。海外のように医療改革のシステムチェンジャーとしてNPを位置付けたいなら海外の形に準ずるのが正当だと思います。そして今の制度のままではあまりにリスクが高いこと、OO看護師問題も解決されないという問題と生き続けますか?そういうレベルで私は考えます。しかしそれと同時にこの意見交換会を通して驚きや戸惑いを感じる診療看護師に心を痛めます。

今500人程度いる日本の診療看護師。誰がどんな活動をしているのか三団体は把握しているのでしょうか?絶対的医行為をしている診療看護師は現在いない、が大前提で会の開催へ至ったのでしょうか?ならば問題はないはず。しかしこの3年間集めた情報では限りなく黒に近いグレーゾーンで働く診療看護師がいると私は理解しています。ならば三団体はその対応も作っているべきだと思います。以前にも書きましたが、いろいろな事情のもとに作られた今の診療看護師。その功績を無碍にしてはならないと思います。それはNP(仮称)制度ができてからはもちろんのこと、今の過渡期においてもです。

昨日私は、今すぐ職場の顧問弁護士と相談するように書きました。もしかしたら心のケアだって必要かもしれません。仕事を失う人も出るかもしれません。部署の変更、移動なども起こるかもしれません。その対応はできるのでしょうか?決して診療看護師個人の責任にしないでください。少なくとも不完全なシステムをあるかのように進めてきた、そして法的責任の面で十分な教育や指導をしてこなかった団体の責任でもあると私は思います(私はカナダのBC州でNP教育を受け、NPとして働いています。法的責任の視点は重要なもので学生の時から授業で、そして卒後もカレッジ[免許を発行する団体]で認識させられています。プラクティスコンサルタントへいつでも相談できるし、弁護士へのアクセスもあるし、保険はカレッジ、職場、そして個人で加入しているし、法的責任についての無料ワークショップも開催されているので、日本の方々がとても無防備に思えてなりません)。時計を巻き戻すことができるのなら診療看護師養成が始まる前にここまでの理解を深めてから始めて欲しかったと思う。しかしそれはできない。ならば前進に向かってみなでできる限りの事をしていくだけだ、と思います。1人も脱落者を生まずに診療看護師からNP(仮称)へのスムーズな移行を。そのためには三団体のリーダーシップが求められていると思います。

続く


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