走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

pharamacoeconomicsって何?

2021年11月18日 | 仕事
昨日書いたpharamacoecnomics について知らない方へ説明を。

いろいろな見方の角度があるけれど、一般の人にわかりやすく説明したいと思います。
新薬が国で認可されるのは安全性、必要性など諸々考慮され認可されます。保険で薬価がカバーされるかどうかはPharamacoeconomics によって決まるのです。

例えば糖尿病の治療薬。糖尿病に罹ると行く行くは腎臓がやられ透析が必要になります。新薬はこの透析が必要になる時間を18年延長すると証明されました。透析には高額な治療費が必要です。それを18年先に伸ばせるのなら素晴らしい薬となります。しかしこの新薬も高額です。毎日服用するコストと18年の透析代、どちらが高額か?これが超簡単な計算です。透析代の方が高ければ高額でも内服を保険でカバーすれば保険会社の負担は軽減するので保険会社は新薬の費用をカバーする様になります。

しかし実際はこのように簡単ではないのです。製薬会社側だってこの点も考慮して薬価を決めてくるのです。そしてどちらが高いか?だけではありません。他にも色々な因子が絡み複雑になるのでそう簡単に保険のカバーは始まらないのです。だって薬に対する人間の反応はそれぞれで性別間でも年齢層間、人種間でも違いが出ます。一つのデータが絶対的に全てに当てはまるとは限らないからです。それに効果や薬価だけではありません。働けないことによる生産年齢層の経済的影響なども考慮されます。透析が必要になってからの余命が平均どれぐらいか

薬価だけではなく、医療機器や新手術方法など全てにこのような計算式が当てはまるわけです。これが国によって可能な医療の違いが発生する理由です。

冒頭写真:今朝は霧が深く空はピンク色でした。


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