昨年の2018年5月18にレオパレスの界壁問題について ブログで写真とともに解説しました。
その記事の中で、正しくない報道表現の指摘と内容解説をしましたが、
「この問題だけでもないはずです」と
コメントした通りに、新たな問題が発覚しました。
今回の報道でも一部正しくないコメントが
専門家が述べたような形で表現されていて気になったので
その部分を指摘して解説しておきます。
1)天井裏の界壁問題
に続いて、新たに発覚したのは、
2)「天井の石膏ボード2重張りが1枚であったこと」
3)「外壁内側の断熱材がグラスウールではなく発泡ウレタンであったこと」
で、いずれも防火規定に関する違反になります。
アパートは、通常の戸建てよりも防火上の規制が厳しくなっています。
また、用途地域的にも準防火地域や防火地域に建っていることが多く
それだけでも防火上の規制が厳しくなっています。
通常の一戸建て住宅で、防火指定なしの地域であれば
1)と2)の規制を受けることはなく、3)も地域によっては規制を受けません。
今回、3)に関して
「発泡ウレタンの方がグラスウールより価格が安い。
コスト削減のため意図的に安い部材を使って…」
という専門家のコメント紹介があったので、解説しておきます。
まず、コストは、グラスウールの方が安い部材です。
この点はコメントが正しくありませんので指摘しておきます。
また、外壁材によっては、
内部の断熱材にかかわらず防火認定が取れる部材や工事方法もあります。
確認申請では、グラスウールで申請していたようなので
今回は、それでなければならなかったのだと思いますが、
代願申請といって、設計事務所が専門に安く申請代行している場合は
現実とは異なっていても、確認申請を通すための防火上の申請内容を
どの建物でも、共通して自動的に記載しているなということを、
過去に書類を見て何度か感じたことがあります。
今回の場合は、レオパレスなので仕様が最初から決まっているはずで
過去であってもそれに基づいて申請しているはずなのですが、
過去の一般の工務店や建売では、そういうこともあったし、
クリアしていれば、申請が現場と少し異なった仕様でも、訂正すれば良いくらいが
業界の認識だったことをお伝えしておきます。
その考え方が、今回の問題も引き起こしたのかもしれません。
ただ、最近はこういうことは、かなり減っているはずです。
私が思う一番の問題は、企業から現実に現場監督に求められていることは
品質管理より、工程管理とコスト管理だということです。
営業マンや設計担当に求められているのも、品質管理ではなく
顧客対応とクレーム対応です。
これは、レオパレスに限らず。工務店、一般のハウスメーカー、
一流のハウスメーカーでも同じです。
品質管理は誰がするのでしょうか?
ハウスメーカーでは、下請けの自主管理です。
通常の工務店は、職人任せが多いです。
では、設計事務所に依頼すれば行ってくれるのでしょうか?
残念ながら、工事中に見に行ったとしても、見に行くだけで
そういうことを指摘しない、できない設計事務所も多いです。
みなさんから設計事務所が求めらているのは、設計であり、
設計監理は、重要視されていませんし、
多くの設計事務所がそれに値する費用も受領していないのが現状です。
そのため、見に行っても指摘ができない設計事務所もあり
ほとんど見に行くことさえしていない場合もあります。
では、第三者検査会社なら?
ここも決められたことだけしか検査しません。
建築は、個別に多様性があるので、一部しか見ていないことになります。
それでもないよりは、良いですが、
実際に、誰が管理や監理をするのか、しているのか、できるのか、
ここが、まだまだ曖昧で、現実にはできていないのが
日本の建築業界の問題点のひとつだと私は思います。
カナダのバンクーバーで行っているように、
法律で工事会社と設計監理は完全に分離して別の会社が行い
途中の工事検査も法的義務として、施主が工事会社と利害のない検査会社に
直接支払いとすべきだと思います。
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