一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

住宅リフォームの追加見積に注意!

2006年12月26日 16時11分14秒 | 住宅ノウハウ・実例
住宅リフォームで注意する点のひとつに、追加見積があります。

皆さんは工事中に気安く業者に頼んでしまいがちです。ついでに頼むので、そんなに高くないだろうと依頼するのですが、完成してから追加見積が高くてビックリします。今まで我慢していた様々な不満が一気に出てきます。工事をしてしまってから、値切るのは結構大変です。

これを避けるには、追加工事をお願いする場合にも、大体いくら?と確認することと、時間があれば見積もりをもらってから追加をお願いしないといけません。ミタス一級建築士事務所が設計に入ると、工事中の監理もしますので、そういう高額な見積もりで困らないように、いくつか手を打ちます。例えば皆さんが追加を希望する場合、私を経由して頂ければ、事前に業者に概算を聞き金額をお知らせしてから行うようにしています。事前に聞けば、あまり高くなることはありません。高過ぎると思えば交渉もできますし、考え直すこともできます。


ミタス一級建築士事務所は本日が今年最後の仕事となります。実際は現場が動いているので、私は事務所でギリギリまで仕事をしています。年始は1月9日からのスタートで、見掛け上はゆっくりとなります。

盆と正月、特に正月はひとりでじっくり、寒い事務所で暖房を入れずに厚着して、普段できない仕事や先を見つめての構想や計画を練ったりするのが好きなのです。そのために、休みを多くとってひとりで仕事をしています。

もしかしたら、年内はもう1~2度ブログのアップをするかもしれませんが、みなさんどうぞ良いお年をお迎え下さい。

ミタス一級建築士事務所 清水煬二





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家相や風水と注文住宅(1)

2006年12月25日 14時08分54秒 | 建築家の日記
メリークリスマス! \(^o^)/

先日2006年12月22日に風水や家相という言葉を使いましたので、これを機会に私の考えを何回かに分けて述べていきましょう。


実は、家相や風水は随分たくさんの本を買い込んで研究したことがあります。大きな「家相方位盤」も持っています。(^^;)

何十冊もの本、家相の専門家を含めた様々な人の意見や考え方をお聞きしたうえで、私の経験を通して長い時間を掛けて自分なりの結論を出しています。

結論としては、風水や家相の本は無視すべき内容が非常に多いということですが、私なりの皆さんにも納得して頂けるのではないかという家相や風水的な…設計哲学も持つことができました。

例えば、「家族が幸せで繁栄する家にするには、朝日を浴びながら家族が一緒に朝食を採る家の方が良い」というような考えをミタス一級建築士事務所ではもっています。

できればこれを織り込むために、皆さんのご希望を加味しながらプランを工夫するのです。このことは風水や家相の意味の無い方位より優先させることになります。現代版のミタス一級建築士事務所にとっての風水や家相と思ってください。

何がなんでもということはなく、様々な要素の組み合わせですからそれらに縛られることは避けています。

こだわっている方もそうでない方も設計をお受けしていますが、本当に細部までこだわっている方の場合は、現在の限られた土地の中でのプランニングや間取りですと、ミタス一級建築士事務所の哲学に合わない設計をしなければ成り立たない場合が多くなってきます。

後に詳術しますが、家相の書籍や先生によっても述べていることは異なり、矛盾点も多いのです。どうしても細部にまでこだわる方の場合は、その旨をお話して気にいったプランをご自身で描いて頂いて、ミタス一級建築士事務所はそれを実現するようにお手伝いをすることにしています。

次回は、多くの家相や風水の本のどこがおかしいかについても、述べていきましょう。


ミタス一級建築士事務所 清水煬二



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クリスマスイブに暖炉と住宅リフォーム

2006年12月24日 12時29分48秒 | 建築家の日記
こんにちは、ミタス一級建築士事務所の清水です。午前の打ち合わせが終わり、午後の打ち合わせが間もなくですが、クリスマスイブですので、暖炉の話を…。


住宅リフォームがほぼ完成し、先日暖炉の設置を完了いたしました。暖炉屋さんが最初の火を入れるのに「清水さんも来てね」と、ご年配の上品で明るい施主に言われて喜んで行ってきました。

暖炉の廻りの仕上げは床も壁も石にしましたが、部屋の床材は檜の無垢材、天井は杉材、壁は珪藻土という仕上げです。立地も良く、お庭も広いので別荘気分のリビングです。

暖炉の人気が高まっていて、御殿場から来た業者さんはかなり忙しい毎日のようです。
バンクーバーの高級住宅地でも、暖炉がよくありました。本物の薪を前において雰囲気を作っていますが、実際は電気ストーブ式でというパターンもよく見ました。

薪の量も沢山いりますし、火種を消すと、また暖めるまでに時間が掛かり効率が落ちるとのこと。良く乾燥した薪を用意したり、煙突の掃除などのメンテナンスも必要です。使う方の手間は想像以上に掛かります。



ですが、本物の炎が目の前でゆらゆら揺れて、ロッキングチェアーに揺られながらというのは、贅沢な時間がのんびりと過ぎて行き、ストレスも解消できるでしょう。

ここでのヒントは、暖房はやはり輻射熱が良いということです。
この点については、いずれまた詳しくお話するときが来るでしょう。




▲リビングのコーナーの設置の暖炉




▲最初に火を付け、1週間くらいは試運転で摂氏200度までで留めます。



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引越し後の家具搬入と注文住宅

2006年12月23日 15時00分12秒 | 建築家の日記
皆さんこんにちは、ミタス一級建築士事務所の清水です。

本日午前中は、施主にも来て頂いて現場での電気確認。この確認では必ずといっていいほど、多少変更したほうが良い点は見つかります。クリスマス直前なので現場に来てくれた小さなお子さんたちに、お菓子の入った「サンタの足」をプレゼントして、打ち合わせも無事終了。

午後には、私が設計監理した新築物件で、引越を完了されて外構工事中の現場へ確認に行きました。外構工事は祝日にもかかわらず、外床の乱張りの石を一生懸命に仕事していてくれていたのですが、初めて見る若者達が何やら困った顔をして家の前でヒソヒソ話をしているのです。

「何?どうしたの…?」と輪の中に入っていくと、施主が新しく購入した大きなダイニングテーブルが階段から2階へ入れることができなくて、後日クレーン車を手配して入れる相談をしていたのです。

テーブルの大きさを聞いて、私は、「ちょっと見てみよう」とその若者達を連れてインターホンを押し、施主に簡単に挨拶をして、ズカズカと家の中の入っていきました。

階段で搬入の仕方をメジャーを持って打ち合わせし、
「こうこうこうしたら入るのでは?」と私が説明しても「いや、ものすごく重いし、サイズ的には理論的に無理です」というのです。

私は「せっかく4人も来ているんだから、ギリギリできるかもしれないし、トライしてやってみたら?責任者は?」と聞くと、

「いや、もし傷つけたら責任を取れないので、クレーンを手配します。」とのこと。あれこれ押し問答をしたあと、天然物の天板で凹凸があるようなので、天板の形状を確かめにトラックへ見に行きました。

形状的に見て、「ここを下にして、こっち側で回転させればできるんじゃないの?」と無理やりトライさせることに…。

私も上の階のロフトへのストリップ階段から手を伸ばし、形だけ…応援しました…(^^;)、

結果は、見事成功!パチパチパチ!と拍手をして、「あの建築士さん、すごい…」という若者の声を背に受けながら、気持ち良く現場を去って帰ってきました。(笑)


冷蔵庫の大きな家電品は、2階というとほとんど自動的にクレーンを用意するようです。私が2階をリビングに設計する場合は、階段の幅を広めに取ってあるので、有利なのですが、新築ということもあってか傷を付けるのを恐れるようです。

以前、大正堂の家具屋さんに依頼したときは、本当にギリギリのところを慎重に養生しながら、ベテランの方が若者に指示をしながら重い家具を運んでくれたことがありました。

クレーンを頼むと最低3万円は取られてしまうので、皆さんも可能かどうかご自身でも検討されてみた方が良いかも…。

明日は1日、事務所で打ち合わせですが、本日このあと、また次の現場へ向かいます。



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風水や家相より荒川静香さんのアイススケート!

2006年12月22日 12時44分22秒 | アイスフィギュア
皆さん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。


昨日の2006年12月21日、実は仕事を脱け出して、アイススケートのショー、
クリスマスオンアイスを観てきました。荒川静香選手のスケートを観たかったからです。

2006年11月1日のブログに「建築と…フィギュアスケート…??」でコメントしたのですが、
前回観たのは、荒川静香選手が今年プロ宣言してすぐのチャリティショーで、
アイススケートをしている子供達のために荒川静香選手が初めてプロデュースしたショーでした。

今回のショーは、プロの演出で少し凝っていました。空中イナバウアーも見ました。
荒川静香選手の出番は他の選手よりは多かったのですが、
前回よりは少なくなり、最後の握手も残念ながらありませんでした。


しかし、何といっても荒川静香選手のスケートの美しさはさすがに群を抜いて素晴らしいです。テレビも良いですが、一度は生でその息吹やオーラも一緒に感じながら観て頂きたいです。名画や名演奏などの芸術を生で感じるのと同じように、体中がしびれるくらい感動します。

荒川静香選手のスケートは、音楽と一体となって美しく表現してくれているだけでなく、
本当に光り輝いていて、観ている私の心が洗われていくのがわかります。

注文住宅で家相や風水など眼に見えない力を気にするよりも
荒川静香選手の美しくて感動的なパワーをご自身に浴びた方が
はるかに幸運になるかもしれません…。(^^;)

過去のオリンピックのゴールドメダリストと比較しても、スケートの美しさでは歴代1位ではないかと思います。今、目の前でそれを観れることに感謝して、同じ時間を使うならと
いつも一番良い席を取るようにしていますが、倍の値段を出しても観ておきたいです。

次回は、子供にどんな予定が入っていても、例え学校を休ませてでも…
連れて行こうと考えているくらいです。

それほどお薦めですので、皆さんもぜひ行って観て下さい…。(笑)

今回は握手も無し、終わってからの写真も撮れませんでしたが、
当日やはり出演された、トリノオリンピック金メダリストの
エフゲニー・プロシェンコさんに会場前で会ったので写真を撮っておきました。




▲エフゲニー・プロシェンコさん。男女の現ゴールドメダリスト競演になりました。


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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(完結編)

2006年12月21日 17時56分58秒 | 住宅最大のトラブル転じて
こんにちは、遅くなりました。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


無事引渡しも終わり、大人しくて行儀の良い娘さんがいらっしゃるご家族がご入居されてのご感想は、

「想像以上に居心地も良く快適です。子供も喜んでいるのが良くわかります。友達を連れてきては楽しそうに遊んでいます。」

とのことで、ほっとしました。

ミタス一級建築士事務所では、次から次へと難題を与えられ、すべて幸運にもクリアーして乗り越えることはできましたが、一番ハラハラドキドキの連続で想い出に残る住宅でした。結果的には施主のためにもより良い住宅となりました。


この12話の話を通して、皆さんにお伝えしたいことがあります。

住宅は皆さんが大変な思いで決断され、通常一番高額で生活に最も影響を与える買い物です。どんなに順調に購入されたように見える方でも、実際にはいろいろ苦労されているようです。

途中で、様々なトラブルや予想外の出来事に合うことが普通なのですが、冷静に前向きに検討し、話し合い、ベターだと思う選択肢を選んで行動していけば、最悪の状態だけは避けられるはずです。

今回の「災い転じて福となす」のように、最悪から結果的には良い方向へ転んでいくこともありますが、それは必ず前向きな考え方と行動から生まれるものだと私は感じています。住宅を購入される方も注文される方も、何かトラブルがあれば思い出して頂ければ幸いです。


もし対処方法がわからない、どうしていいのかも誰に相談すればいいのかもわからないという方は、メールでもコメントからでも構いませんのでご相談頂ければ、こちらがわかる範囲でアドバイスさせて頂きます。


お勧め書籍を紹介しておきましょう。アマゾンなどで検索してください。

☆新築される方には… 「我が家を手に入れる前に読むQ&A80」 



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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(11)

2006年12月20日 11時59分31秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

この後は工期の制限がネックで問題が起こるのですが、当時は姉歯さんの偽装問題が発覚し連日マスコミをにぎわしていた時期でした。民間の検査機関も批判を浴び、そのことで検査機関が慎重になり過ぎたり、審査期間がかなり長くなったり、過剰な要求などをしてくるようになってしまいました。


問題になったのは、今回のプランの屋上へ上がるペントハウス階の階段の解釈の議論でした。役所はもちろん、他のどの検査機関、同じ検査機関の他の担当者も問題ないと言っていて、建築基準法上も根拠が無いのに、「これは、認めない。」と我々の検査機関の担当者だけは言い張るのです。指摘の内容も通常、指導を受ける内容の逆のことを言い張るのです。

スタッフに対応させていましたので、私が指示をして法的な根拠を述べてもらうようにと伝えても、あれやこれやのつなぎ合わせとご自身の解釈で譲ろうとはしないのです。

「11月末に着工できないと、この工事は受けません。」と特別に安くしてもらった業者も再度宣言していました。審査機関を変更すれば問題なくOKになるのですが、それをしていると審査が最初から始まりますので、とても間に合わないのです。

止むを得ず、不本意でしたが設計変更して再提出でOKをギリギリのタイミングでもらいました。

その後の中間検査でも、構造体がより安定するよう梁の掛け方を1箇所変えるように指示していたのですが、構造体を大きく変更したという解釈され、全く最初からすべての構造計算のやり直しを命じられました。

通常の木造2階建ての筋交い計算ですと、たった2枚ですし、その提出さえ不要なのです。

今回は3階建てで特殊な工法を一部使用していますが、それとは全く関係の無い箇所で、より安全側に掛け直したことは、誰が見ても明らかでした。そのことは検査員も認めてはいましたが、なんと400ページに渡る膨大な構造計算をすべて新しくやり直しさせられ、再提出して再審査となってしまいました。

通常は軽微な変更で一枚書類を出せば済むことなのですが、姉歯さんの問題で、検査機関が、万が一でも責任が来ないように一様に慎重になったためでしょう。


その他、初めての工務店でしたから私の細かい要求をお願いするのに、現場での苦労はいろいろあり、完成の最後の問題として登記とローン実行の支払いのタイミングなどでもハラハラしながら調整させて頂き、何とか予定通り完成引渡しの検査までたどり着くことができました。




「住宅最大のトラブル転じて福となす」(完結編)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(10 )

2006年12月19日 10時38分36秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


新しい業者が提示してくれた金額は、こちらの予算より10%ほど高めでした。かなりがんばってくれた方だと思いますが、まだ足りません。お願いするしかありません。「実は、予算は○万円なんです…。」

今度は、先方が沈黙…。(笑)

「先生、3月末完成引渡しで代金もすべてそれまでには頂く条件なら、何とかやってみますが、大丈夫ですか?」と逆に質問されてしまいました。そして、「着工は、最低でも11月末までに行えることが条件です。」とのことでした。

私は、「大丈夫、何とかしますから。」と答えました。次の日に金額的にはOKとなったのです。

その後、何度かの打ち合わせを経てついに2回目の請負契約。
ラッキーなことに設備的には当初の計画より良くなりました。

床はいつも使う厚さ3センチの無垢材フローリングに自然塗料仕上げ、屋根はガルバ鋼板横葺、柱はすべて4寸角の杉無垢乾燥材、石膏ボードは15ミリ厚強化石膏ボード、壁と天井は紙クロス、IHヒーターはもちろん、エコキュートのオール電化、基礎は「こんな凄い基礎は住宅では初めてだ…。」と年配の工事職人が驚いた通常の3階建て木造とは思えない鉄筋だらけの基礎、家の内部に車を取込むためのラーメン構造併用、準防火3階建て仕様、バルコニーは3箇所でうち2箇所がルーフバルコニーです。

ちなみに工事面積で照明器具、外構工事まで入れての総工事費用を割ると…この内容で坪当たり僅か○○万円でした。(匿名とはいえ、プライバシーに関わるので、金額の公表は止めにしました)世間にある通常の木造2階建てと比べると、坪20万円は完全にアップしている内容でです…ビフォーアンドアフターと同じように、これは完全な例外ですので、間違わないで下さい。(^^;)

結局、業者が変わることによって、契約内容は良くなりました。しかも、最初の業者が倒産という非常事態でのことが無ければ、この内容でここまで価格が下がることは有り得ませんでした。これが、「トラブル転じて福となす」としたテーマ名の大きな理由ですが、私を悩ませることは、まだまだ続くのです。

建築確認申請の提出へと手続きを進めていったのですが、この11月末までの着工、3月末引渡しの工期の問題があることにより、いくつかのピンチが私に降りかかってきて、脳を全開してフル回転でスタッフにも指示をして立ち向かっていくしかありませんでした…。




次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(11)へ続く

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長周期地震動と注文住宅

2006年12月18日 09時32分03秒 | 建築家の日記
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。


本日2006年12月18日の朝日新聞の朝刊に、「長期周期地震動」についての記事が大きく載っていました。これは、高層ビルなどの場合、ゆっくりとした揺れでも揺れがかなり大きくなっていく現象で、当初は想定していなかったものです。最近この問題がよく取り上げられるようになってきました。

どんなに技術を結集したつもりでも、地震については想定外のことはたくさん出て来るでしょうし、地球の大自然相手ですから、宇宙同様、我々人間には予測できないことの方が多いのです。

わからない…といっていては前進できませんので、ともかくモデルとなる構造計算の基準を決めて判断しています。そのため、大地震のたびに建築の構造計算の基準の見直しがされてきたのが、いままでの現状なのです。


戸建てに住んでいるかたは、「関係のない記事」と思われたかもしれませんが、実は木造はもっとわかっていません。正確な構造計算さえ本当はできないのです。木構造の大家であり、この先生を抜きに日本の木構造は語れない杉山英男先生がいらっしゃいます。木構造の専門書は何十冊もお書きになり、研究を続けていらっしゃいますが、その日本一の大先生でさえ「木構造の接合部は、計算できない」ということをおっしゃっています。

詳しい内容は専門的になりますから省きますが、我々建築士は、だからこそ建築基準法の範囲内で満足せず、過去の地震から学び、実際の経験から地震について教訓を得て、設計プランや構造について考えていかなければならないのです。私が阪神大震災で大ショックを受け勉強し直し、新潟の小千谷地震にも駆けつけて現状を自身の眼で見て被害状況や教訓を焼き付けてきたのは、そのためでした。

私がよく提案する、リビングを2階にという考え方も、もともとはここから生まれているのです。




新潟小千谷地震についての写真やコメントはこちら



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大工さんが造るオーダーキッチンとは?

2006年12月16日 10時58分03秒 | 住宅ノウハウ・実例
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

現在リフォーム中の現場でキッチンをオーダーで設計し、工事が進行中です。
オーダーでキッチンを造る場合は、オーダーキッチンを専門に行っている業者に依頼、オーダー家具屋さんに依頼する方法、現場で造ってしまう方法などがあります。

簡単な寸法変更ならば、通常のキッチンメーカーでも行ってくれますが、天板は人造大理石や人造ミカゲに限られる場合が多いのです。そのため簡単な組み合わせ変更以外は、あまり利用しません。

一番絶対額が安くなるものは、当然既製品のシステムキッチンをそのまま使用することですが、私がオーダーにする場合は、天板を本物のミカゲ石にすることが多いので、オーダー家具屋さんと石の安い業者をドッキングさせて造ることが多いのです。



今回、リフォームの現場でオーダーキッチンを設計しましたが、どういう造り方をするかは、見積もりの範囲内で業者に任せました。当初は家具屋さんに依頼予定だったのですが、結局、現場で大工さんが造ることになりました。家具屋さんに依頼すると1ヶ月程度は掛かってしまいますので、段取りが付かなかったのでしょう。

洗面台くらいですと以前にもこのブログで写真とともに紹介したように、大工さんと建具屋さん、水道屋さんとで寸法に合わせて現場製作はしますが、キッチンは価格と出来映えを考えると、現場作製は迷うところです。

ちょっと心配しながらも、どうなるか私も期待して観ています。今回は、天然ミカゲ石の天板と扉は杉材を指定していますので、杉材とのバランスを考えると現場で造りやすいキッチンではあります。

以前、テレビのビフォーアフターに匠として出演したときには、コストとの闘いで、キッチンセットを何とか価格を落として現場作製したかったのですが、値段が合わず、食器棚や食品庫のスペースのみ現場で作製し、流しの部分は既製品で我慢しました。

このオーダーキッチンの完成報告は、年内中にできるでしょう。




▲現場で大工さんが造っているオーダーキッチン


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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(9)

2006年12月15日 09時24分45秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

工事業者から予算を聞かれましたが、今回のような特殊なケースでも、事前に予算を述べることはいたしません。初めてお願いする業者ならなおさらです。
設計図書を一式渡し、

「概算でも良いから、いくらくらい掛かるか教えて下さい。ハッキリ言って申し訳ないほど、予算は少ないです…。設備機器など既製品は、同等品であればそちらのメーカーやシリーズで変更しても構いません。価格のわかりにくい部分は別途にしてもらっても構いません。コストを落とせる提案も、内容を教えて頂ければ考慮します。」とお願いしました。


価格は、設備機器や既製品の商品の場合、メーカーやシリーズ、オプションなど細かく指定するば指定するほど、通常は割高になります。そこそこの戸数をこなして、合理的に工事を行おうとしている会社ほど、通常より安く仕入れることのできるメーカーやシリーズを持っています。こだわりの無い場合で、価格を少しでも抑えたい場合は、どういう内容のものを欲しいかだけは細かく指定しても、メーカーやシリーズまでは指定しない方が良いでしょう。こちろん、これしかないというこだわりのある物は、それを指定して下さい。

例えば、キッチンで言えば、長さ2700、IHヒーター、食洗器、ステンレス天板、引き出しタイプ…くらいの指定はしても、メーカーやシリーズなどはこだわりが無ければ任せるということです。


皆さんが、ハウスメーカーに頼むときも同じです。年間数量契約をしていますので、標準品は信じられないくらい安く仕入れています。しかし、標準品以外のオプションを選ぶと途端に驚くほど高くなります。選択するときには既に、契約後ですので高くなってもこだわってオプションを選択するか、我慢して標準品で我慢するかという決定になります。

ですから、ちょっとこだわって選んでいくと、ハウスメーカーで坪45万円のはずが計算すると坪80万円、90万円、100万円となってしまっているのです。

ローコスト住宅でも同じで、坪29万円のはずが、結局計算すると坪70万円以上で契約したという話を何度か耳にしました。この場合は坪29万円の内容では、家としてとても満足に住めるような内容ではなかったようです。例えば網戸さえもオプションなど…。


話を戻しましょう。そのようにお願いをして、見積もりをしていただく事にしました。後日、何度か質疑応答があり、変更などを承認したり、変更不可などの指示を経て、最終的に見積が出来上がったとの電話がありました。見積書を持って行って説明したいとのことでしたが、

「いくら、いくら?」とすぐに聞いてみました。
「消費税入れて、○○○○万円です。」とあっさり返事が。
「う~ん…………………、実は…」うなった後、長い空白の時間を置いて私が答えました。





次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(10)へ続く

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(8)

2006年12月14日 07時06分50秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

昨日は、かなり以前から決まっていた都内のセミナーに朝から晩まで出席しており、アップできませんでした。本日は、早めにアップしておきます。


初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。


業者が倒産して、私が行うべきことは二つですひとつ目は何とか安く工事ができるよう、様々なところに声を掛けました。特に、業者を紹介してくれた大手グループの方には何度もお願いしました。取締役の方も来社してお詫びされ、真剣に対応して頂き、可能な限りの実質的な協力をしてもらう約束も頂くことができました。

もうひとつは、倒産した社長の行方です。私は人を見抜く眼はある方で、誠実で決して悪い人間では無いと感じました。しかし、そういう状況に追い込まれると仕方が無いのかもしれません。社長が潜んで居る可能性のある場所についていくつか情報を得ましたので、住所を地図で探しながら足を運んでみました。

たどり着いたところは、夜はあまり歩きたくない、とある繁華街の雑居ビルでした。この部分は、建築とは関係ありません。小説家ならハラハラドキドキのやり取りと状況を面白く書けるのでしょうが、簡単に流して結論を申し上げます。

信じられないことに、その社長とその社長をバックアップするつもりだという人物にそのビルで会うことができ、腹を割って必死の交渉をした結果、なんと契約金が、施主宛にそっくり返ってくることになったのです。半信半疑でその場を去りましたが、本当に後日、Aさんに全額返ってきました。

倒産して社長が行方を隠している会社から、そういうことは有り得ない話です。裁判で整理をして時間が掛かって、せいぜい5%とか10%が戻れば良いほうです。私にとっては非常に幸運だったということですし、その社長はやはり本当は誠実な方だったということです。またバックアップしたいという人の存在が無ければ無理だったでしょう。

普通は、避けたい人ですが、そんなことは施主のために言ってられませんでした。必死の思いが伝わったのだと思います。

このときのやり取りや交渉は、後日談も含めて実はいろいろとありました。
簡単ではありませんでしたし、相手の言うことを鵜呑みにすると
またトラブルになったはずです。油断できませんでしたので、その後も慎重に交渉しました。

このあたりの内容は、雑居ビルの交渉と同じく、公開するには問題があります。

次に話を進めます。結論として私はできるだけ予算に近い工事をしてくれる業者を探さないといけません。

すると間もなく、その特殊な工法の材料や木材を納品している業者から連絡があり、工務店を紹介したいとのことでした。ミタス一級建築士事務所の事務所にお越し頂き、お二人とお話いたしました。若いですが工事業者の営業部長でした。作業着を着ていて一見すると『露天商のおにいちゃんかな…』というようなイメージの方でした。(失礼!(^^;))

いろいろお互いの話をした後に、その方が「自分はこだわりのある住宅をしたいんです。先生に協力させて頂いて学ばせてもらいたいと思います。予算を教えて下さい。」と聞いてきました。




次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(9)へ続く

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注文住宅の上棟時の期待と責任…

2006年12月12日 09時25分36秒 | 建築家の日記
おはようございます、ミタス 一級建築士事務所の清水煬二です。

昨日2006年12月11日は、上棟がありました。
明日の水曜にも上棟があり2軒続きますが、上棟をすると木の柱や梁、屋根が組まれ家の大きさがわかります。
皆さんの五感に実感としてドーンと響いて嬉しさが湧いてきます。
そのため皆さんは期待感と喜びに満ちた日となります。

本日の現場確認の帰りにスタッフに車の中で話をしたのは、
「依頼される方は完成を期待しながら、家を創るために様々な苦労を乗り越えていらっしゃっているわけだから、そういう想いに応えないとね。」ということでした。

設計をすると、その通りに家ができあがっていきます。
例え一本の線でも描いてしまうと意味をもち、その通りにできあがっていきます。
数字も記入した通りに、何の疑いもなく出来上がっていくのです。
選んだ材料がそのまま組み込まれていきます。
それが設計の楽しさでもあり、恐さでもあります。

同じ創作でも住宅だけは、完成してから様々な要素を必要とされ試され続けます。
意匠だけで済めば簡単なのですが、快適性も使い勝手も、心地良さも耐久性も、健康面での安全性も、さらに皆さんを風雨や地震、台風などの天災からも守る構造的な強さもなくてはいけません。

家族の団欒の場を提供し、幸せな家庭となる手助けができるような住宅、近所の方からも愛される家、そこに住まう子供達はもちろん、そこに出入りする子供達のたちにも幸せを与える住宅にしたいのです。

私達も上棟時は、何度立ち会っても期待と同時に責任感からくる強いプレッシャーを感じます。思わず身震いしてしまい、気持ちが引き締まります。


住まい手である施主、スタッフ、メーカー、工事業者など様々な打ち合わせや作業を何度も繰り返して、設計図書がようやくできあがります。
これで終わりかと思ったら、そこからようやく工事が始まります。
工事中は、せっせと現場を確認に通い、思いがけない近隣トラブルや職人さんへの指導などを行い、完成してご入居され終わりかと思ったら、実はそこからがやっと住まいのスタート時点です。
皆さんの毎日の生活に影響を与えながら、住まいとして試され続けることになるのです。


住宅の設計という仕事では、意匠の楽しさだけでなくこの責任の重さを感じているため、ミタス一級建築士事務所のスタッフ採用の条件として、向上心と向上していくことを楽しむ気持ちをもった人を前提にしています。当然、私自身も時間も費用もかなり費やしながら、インプットしていっていますし、一生その気持ちを持続していくつもりでいます。




▲上棟中の大きなクレーン 青空へと高く伸び頼もしく見えました







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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(7)

2006年12月11日 10時04分04秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

今回の問題は、この工事業者が倒産するということです。
『最悪の場合はどうなるのか?』
私が深刻なトラブルや問題にぶつかったときには、まずこのように自問自答します。

そして、少しでも早く最悪の事態に対しての覚悟を自分自身にさせるのです。
最悪の状況に陥ることに対しての覚悟さえできたなら、後はそれを好転させるために
自分に何ができるかを考えることに時間を費やし、考えられることを前向きに
実行していくよう努力をするだけです。
いたずらに恐怖心や不安な気持ちのままでズルズルと時間を過ごすことほど、悪いことはありません。

今回の場合、まず業者が倒産することは間違いなく、契約金は帰って来ない。
工事金額も他の業者との新たな契約では、予算オーバーとなり、完成時期も延びる。

契約金はAさんが支払ったもので、業者とAさんの請負契約ですから
本来は設計事務所は関係ありません。

でも、「法的には責任がありませんから」と言えるでしょうか?
私を信じてすべてを任せてくれた施主に対して、とても言えませんし、
それを言うくらいならミタス一級建築士事務所の経営理念とかけ離れていきますから、
設計事務所を畳んで勤め人になった方がましです。代表になるべきではありませんね。

第一の覚悟は、まず契約金は私が負担しようと決めたことです。

Aさんご夫婦は、「3階の屋上などあきらめますから」とまでおっしゃって頂きましたが、
そういう心優しい方には、なおさらこちらが責任を取らなくては申し訳ありません。

さらに、この金額で行ってくれる業者を探さなければなりません。その方が今回は難しそうでした。
私の第二の覚悟は、Aさんご夫婦にもスタッフにも「私がすべて責任をもって最後まで行い、
差額が出たものや延期による家賃分も負担させて頂きます。」と宣言してお詫びいたしました。

実際はこんなことをしていると、工事業者と違い薄利で行っている設計事務所です。人件費や事務所経費を考えると、自宅でひとりで行っているならともかく、どの設計事務所も良心的な設計事務所ほどギリギリの状態ですから、すぐに潰れてしまいます。

でも、このように覚悟を決め、宣言したらあとは少しでも好転させるべく
前向きに行動していくだけで済むのです。

結局、業者は倒産しましたが、あれこれもがき続けたところ、
驚くことに次から次へと思いがけない方向へと事態が好転していったのです。




次回、 「住宅最大のトラブル転じて福となす」(8)へ続く

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休日と年末年始のお知らせ

2006年12月10日 10時00分29秒 | 建築家の日記
おはようございます。清水です。

一般の方にはちょっと関係ないですが、ミタス一級建築士事務所のユーザーの方もブログを読んで頂いているようですので、こちらでお知らせを…(^^;)

土日も打ち合わせで事務所で仕事をしているので、ブログを毎日書くことをクセにしていましたが、日曜日はこれからブログは更新無しにしようと思います。その日曜日は、ホームページを少しでも改定していく日として決めて時間を使いたいと思います。

ホームページの内容は、古くなったものやあまりに稚拙な文章や、好ましくない表現もありますから、こういったことも含めて改定していきます。


さらに、盆と正月は私がゆっくり、普段の業務とは違った知的な仕事ができる時間を取るために、長く取っています。今年は、12月27日から来年の1月8日までを事務所の休日としました。私に関しては、年末に現場が動いていれば休日は関係なく行きますし、その他の休み中もほとんど仕事をしていますので、ご安心を。(^^;)

明日は、再度昨日の続きを記載します。




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