一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

木造2階建ての構造計算って?

2007年10月29日 21時03分30秒 | 住宅ノウハウ・実例
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

戸建て新築の完成検査の場合など、建築確認申請の書類と耐力壁の計算書を見せてもらいましょう。

通常の木造2階建てなら、書類と計算式があればその場でチェックすることも可能です。簡単ですが、これが木造2階建ての耐震性の構造計算に該当するのです。

現状では、建築確認申請時において、この耐力壁の計算書を添付しないように検査機関から言われることもあります。信じられないことですが、法的には現時点では義務付けられていません。そのため、添付されると余計なチェックや責任が掛かるから避けたいという検査機関もあるようです。


計算書が付いていても、計算の単位が間違っていて、実際の10倍の耐力があるというトンでもない数字になっていたことがあります。それでも、結論の数字はOKなので、検査が通ってしまっていたのです。

こういった場合は図面で耐力壁の量を見て、計算の数字と比べると、おかしいということがわかる人には、すぐわかります。単純に計算結果だけしか見ない人にはわかりません。意味をよく理解していない建築士にもわかりません。

申請書類には耐力壁となっていたのに、現場では壁が無かったことや、壁はあってもニッチが造ってあり耐力壁ではなかった、引戸を引込む壁になっていてやはり耐力壁では無かったということもありました。

再計算してみて、それでも足りれば良いのですが、そうではない場合もありました。


新築や中古の購入時に書類の確認はいろいろ必要ですが、みなさんの関心の高い耐力壁の計算書だけは、コピーで良いので売主に提出してもらうようにしましょう。




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台風の後の現場…

2007年10月28日 18時10分37秒 | 建築家の日記

▲上棟直後ですが、金物は留めてありますから問題はありませんでした。



▲シートも飛んでいませんでした。




▲300年住宅は2階の床の途中です。その他の現場は心配はしていなかったのですが、やはり大丈夫でした。



みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

昨日の土曜の夜は台風だったので、日曜の朝からすべての現場へ状況確認に行ってきました。

上棟を終えたばかりの現場から引渡し直前の現場まであります。引渡し直前の現場などは心配していませんが、まだ工事が進んでいない現場ほど心配でしたが大丈夫で、ほっとしました。

私が思うに、現場監督や設計事務所の担当者は自分の現場が気になって、こういうときに見に行くことはないのだろうか…。それとも自信があるから大丈夫なのか…。

私が気にし過ぎかもしれませんが、少なくとも現場が動いている限り、プライベートな時間と割り切れないのが私の欠点です。




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上棟

2007年10月26日 14時54分35秒 | 住宅ノウハウ・実例
▲夕方4時頃の時点で撮影


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

昨日、新しい家の上棟をしました。

以前は、上棟の前に土台敷、設備屋さんが入り、外部足場を建て、上棟日にレッカー車が来て1日で上棟というパターンでした。

最近は、上棟の前日に1階部分をレッカー無しで先行しておくとか、2日掛けての上棟が多くなりました。人数は多いのですが、工法的な問題や大きさ、多少手間の掛かる設計のためです。


今回の例も、1階部分はほぼ終えて、2日目にレッカー車を呼んで上棟でした。
暗くなるまで行っても、屋根の骨組みまでです。時間があれば、このあと屋根の野地板といって、屋根を塞いでいくのです。夏は日が長いので良いのですが、この時期では現場監督を入れて作業員が12人入っても、無理でした。


断熱ということには、通常よりはるかに力を入れていて、価格が高くなっても断熱性能のあるものを設計し、工事方法もうるさくお願いをしています。断熱で、どうするか一番考えるのは屋根面の断熱です。良いと思う方法をいろいろ試しながら行っています。

今回は、新しいものを試してみます。試すといっても、当然、通常より断熱性能が上での試行です。その性能よりも工事方法がどうなのかという点が一番問題です。



▲ 遮熱、通気、断熱に優れたもの。寄棟部分では面倒ですがやってみます。遮熱を含めた断熱性能では、データーが本当なら考えられないくらいの性能をもっていますが、
話半分8掛け2割引のつもりでもOKだったので採用を考えました。うまく行けばこれからも使いたいです。




世の中にメーカーが良いというものは、たくさんあるのですが、建築においては性能が本当に確保できるのかという点は疑って質問や確認をして裏を取ります。

耐久性やトラブルが起こった場合の対応は可能かなども検討します。

それだけでなく、一番問題なのが工事方法があまりにも面倒だったり、特殊な対応を迫られる場合が多いのです。これをクリアーしても、なおかつメリットがあるというものでなくてはなりません。


工事方法は、実際にやってみて本当にメーカーの言うように簡単に問題なく、できるかどうかは試してみないとわかりません。不明な点が多く、メリットも大きいがリスクが多い場合もあります。現在行っている300年住宅ですが、これは年数を掛けて検討し、さらに会社を造って研究することにしました。


というようにたくさんの種類の中から、慎重に検討して、石橋を叩いてからどうするかを決めるのです。迷いがある場合は、良いものでも採用していないのです。




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200住宅って?

2007年10月24日 10時10分40秒 | 300年住宅
みなさん、おはようございます。

昨日10月23日は300年住宅についてコメントしました。最近はときどき200年住宅についての質問を受けます。政府が、200年住宅の構想を小出しに発表しているからでしょう。

今年2007年の6月1日のブログにも簡単に書きましたが、


「新聞見出しの200年住宅」



この内容は、ひとことでいうとメンテナンスを行って200年持たせようというものです。

メンテナンスの記録を残して、売買にも利用できるようにし、中古住宅の価値を高めることにする。25年から30年で壊されている日本の住宅の耐久性を高めようというものです。そのことが、資産性はもちろん省エネ、エコバウ、温暖化防止にも繋がるという、良いことずくめです。


私はずっと以前から、住まい手から考えた快適な住宅の実現のためには、

断熱性を含めた温熱環境と住宅の耐久性の2点が日本の住宅は劣るので、
これをもっと本物にしましょうと訴えてきました。

阪神大震災以降は、これに耐震性とシックハウス対策の現状とお粗末さについても訴えてきました。現在は、耐震性だけでなく、地球温暖化が深刻になっていくので、耐災害性にまで広げないといけないと感じて研究しています。


外断熱が注目されて、断熱性への関心が生まれ始めています。
これに続いて耐久性についても、注目されるのは大変良いことです。
一般の方の関心が深まれば、業界も動きだしどんどん向上していくことでしょう。



さて、政府のコメントが新聞に載るたびに受ける質問は「木造住宅で200年も持つんですか?」というものです。

ハッキリ言って、現在の日本の住宅の考え方では無理です。特に構造体に集成材を土台にさえ多用している最近の建て方では、構造体が200年持たないでしょうからどう考えても無理ですよね。

私が設計し、監理をしてうるさく職人さんや現場監督にお願いしているのは、
50年経って大地震が来ても大丈夫な家、大地震が無ければ100年はもってもらいたいと願って造っています。

無垢材を使って、工事中も細心の注意をしてもらってもこの程度までしか言えません。
50年となぜ言えるのかというのは、築40年~50年の家は何度も改築やリフォームをして、構造体がどうなっているか、なぜ痛んでいるか、なぜ痛んでいないのかを自分の眼で観て研究してきたからです。


木造で200年住宅にするには、メンテナンスを繰り返しても、木造の構造体自体を200年もたせないといけません。
神社や寺のように太い無垢材を顕しにして、濡れても乾燥する、痛んだ部分がすぐわかるというものであれば別ですが、壁の中に閉じ込めてた木を200年もたせるには、ガラッと視点を変えなければなりません。

今現在の木造住宅では、後々のメンテナンスや取替えのことは何も考えていません。


欧州の建物では石積みや木造に限らず、窓の入れ替えは当然ですし、建物の構造体以外は取り替えることを前提に造っています。造り方だけでなく設計段階から考え方が違うのです。

北米の木造住宅でも同じ考えかたをしています。輸入住宅と日本でうたっていても、造りかたはやはり日本式にアレンジしています。デザイン的には輸入品をそのまま使うパターンも増えてきましたから随分輸入住宅らしくなってきていますが、造りかたは、やはり違います。あまり合理的ではありません。


私が海外に見学に行く理由は、先進国で優秀な日本の製品でも住宅だけは先進国に輸出されることはない、という事実があるからです。根本的な考え方が異なっているので、それを感じて取り入れるべきものは取り入れようと思っているらです。


さて、私の個人的な見解です。

この政府が言っている「200年住宅」の構想は、大変良いことです。
しかし、今までの住宅性能表示制度や今回の建築確認申請の変更などでもそうだったように、一見良いことのように繕っていても、実は中味はお粗末で素人騙しのような的外れの内容、見る人が見ればある別の意図が強く裏で動いているのを感じてしまうというパターンではないかと、現時点では私は疑っています。

とはいえ、意識が耐久性に向くことは大きな前進には違いないので、大変喜ばしいことです。





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300年住宅 工事進行中

2007年10月23日 04時04分51秒 | 300年住宅
▲工事中の300年住宅 壁の工事を始めて1週間です



みなさん、こんばんは。

本日(昨晩)の会合に出席して、左胸が痛い ミタス一級建築士事務所の清水です。

なぜ胸が痛い? 

飲みながらの会合でしたが、私以外の人は煙草を吸うので、私の血管が収縮して心臓や肺、気管がビックリしたのでしょう。(^^)ゞ



さて、300年住宅の工事が少しずつ進んでいます。

この建物は、住宅ではなく 「理科ハウス」 という児童のための科学館です。


「理科ハウス」 の ホームページ


300年住宅は石積み風の鉄筋コンクリート造外断熱なのですが、この石積み風というのは、写真では感じがわからなくて、実際に観て初めて

「へぇ~! こんなのだったんだ。」というのがわかります。


2008年2月末に建物が完成して、5月にオープンです。




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おいしいお店…

2007年10月16日 20時36分09秒 | 建築家の日記
みなさん、こんばんは。

本日は、建築紛争の調停委員の仕事やスタートしている300年住宅の現場、横浜市からの依頼の耐震診断など、あちこち飛び回っていました。

明日の神奈川県建築士事務所協会の設計監理指導委員会の委員としての仕事が流れたので、明日も300年住宅の現場はもちろん、私の設計監理を行っている他の現場も全て廻ります。

車の走行距離が多いので、燃費のもう少し良い車を購入することにしました。小回りの利く小さな車です。安い中古車ですが…。


300年住宅の現場は逗子なのですが、その現場の斜め前のおいしいお店を発見しました。外観からは、それほどおいしそうなお店とは思わなかったのですが…(^^)ゞ

昨日初めてランチを食べに行き、そのおいしさに驚き本日も行きました。(笑)
当分、いろんなメニューを食べていくつもりです。近々皆さんにもご紹介します。




おいしいお店と言えば、以前紹介した内容をお読みになって神戸に行ったときに、足を運ばれた方がいらっしゃいました。しかも私の事務所に、フロンドリーブのお店のクッキーを送って頂いたのです!!!どうもありがとうございました。おいしかったです!!!

しかし…私が…8割は食べてしまったかも…。私が黙っていたので、スタッフは知らなくて食べなかった人もいるでしょう。(^^)ゞ



さて、300年住宅の工事写真は撮っていますが、もう少し出来上がってからご紹介しましょう。




横浜市にある住宅設計 ミタス 一級建築士事務所のホームページ  

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ユニバーサルデザインについてどう思いますか?

2007年10月14日 13時10分57秒 | 建築家の日記
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

「ユニバーサルデザインについてどう思いますか?」とかわいい女の子から質問を受けました。このことについていろいろな人に意見を聞くことが、学校の課題とのことでした。

小さなメモ用紙とボールペンを手に持って、私のコメントを書留めようとしていました。

「とても、その小さなメモ用紙には書ききれないので、メールで送りますから。」と返事をしたが昨日。



昨日は、その質問を受けた竣工検査の現場から事務所へ戻ったときには、設計打ち合わせのお客様が既にお待ちになっていました。この設計打ち合わせの話がほぼ終わりかけたときに、電話相談が入りました。「契約した工事業者が倒産して…設計監理だけでもお願いできるでしょうか?」という深刻な内容でした。

お話を聞いてみると、設計監理や住宅検査をお受けするかどうか以前の問題として、良い品質の住宅や同じトラブルを避けたいとご希望なら、今のお考え自体をもう一度考え直さないと無理ではありませんか?という結論のアドバイスを、遠方からお掛けでしたが多分1時間くらい電話で話をしました。

打ち合わせしていたお客様と最後の挨拶もすることなく失礼してしまい、私が出掛けなければならない時間を過ぎていたので、あわてて出掛けました。その後は遠方へ泊まりで仕事に行っていましたので、翌日となる今日、先ほど事務所に戻りました。

お子様からのご質問も、電話による突然の相談も忙しいから迷惑というつもりはなく、私にできる範囲で状況を判断して行っていますので、気にしないで下さい。

相談者には厳しい意見や甘い考え方を否定する厳しいアドバイスとなるときもあります。忙しくても相談は無料で社会貢献の意味で本音で行っていますので、お許し下さい。



まもなく出掛けますので、ユニバーサルデザインについてどう思うか?という質問に答えてから出掛けたいと思います。

この質問にすぐ答えなかったのは、ひとことでは小さなお子様には難しい哲学にしか聞こえないコメントになってしまうためと、それは私にとって、ひとことで答えて終わらせられない大切な質問でもあったからです。(笑)




ユニバーサルデザインという考え方を発表したロナルド・メイスという人は、建築家でもあり工業デザイナーでもあったはずです。ユニバーサルデザインという考え方を提唱してまだ20年数年しか経っていないでしょう。私が社会人となって活動してから以降に出てきた考え方だったと思います。

建築を設計する者にとっては、その言葉が存在していようといまいと、その概念自体は潜在的に考え方の大前提となる選択肢のひとつとして存在しているはずです。



工業デザインをなさっている方は、ユニバーサルデザインを充分意識していると思いますが、日本ではユニバーサルデザインよりも一般の人には、バリアフリーという言葉の方が、意味を含めてより認識されているかもしれません。

似たような意味でも使われていますが、おわかりになっている方も多いように、バリアフリーは障害を取り除くという意味が強く、障害をお持ちの方や高齢者のためという意味合いが強いです。住宅では、段差や手摺りなどをすぐに思いつきますね。

(このバリアフリーについても、簡単には答えられないので、あまり触れずに流します。)

ユニバーサルデザインは、障害者や高齢者はもちろん、ひとことでいうと全世界の人々のためにということを意識していますから、もっと幅広くなります。

私の個人的なイメージでは、どちらかというとバリアフリーはマイナスを無くしてゼロにするというイメージが強くなり、ユニバーサルデザインは積極的にプラスを加えていくというイメージが何となくあります。

バリアフリーは当然の義務のようであり、ユニバーサルデザインという概念の方がより前向きな感じがするのです。

広義に解釈すればこれらの概念の対象となりうるものはかなり広く、人間生活のほととんどすべてに適用可能でしょうが、私の立場から住宅ということに限定してお話してみましょう。


建築の中でも注文住宅を設計する者にとって、特に日本では、ユニバーサルデザインを意識して積極的に取り入れて行いたいという気持ちと、それを完全に無視して設計するという両面を持たざるを得ません。

公共の建物であれば、ユニバーサルデザインを強く意識して設計を行っていくことは前提となります。老若男女、様々な人が利用するからです。


住宅は…。日本と欧米とでは、ある意味において考え方の前提が異なります。
これは、住宅の寿命が全く異なりますし、住宅に対する考え方も部分的に異なるからです。

欧米では、たとえ所有していても、その住宅は自分たちだけの家ではないという意識があります。少なくとも、住宅の方が、自分たちよりもずっと長く存在し続けて、他の所有者に引き継がれていくのが当然だという意識があります。

また、住宅はその街の景観を創っている、公を担っているという意識が欧米ではあります。外観や色の規制が強く町並が美しいのもこのためです。


日本の住宅、特に注文住宅では、自分たちの家、自分たちがいかに使いやすいかという個別性、特殊性、独自性を叶えるためのものという前提があります。長期で考えても、将来の2世帯やご家族のライフスタイルの変化について考える程度です。

住宅は100年以上建っているのが普通であり、今の期間は自分たちのものだけど、将来は会ったこともない他人が所有して使っていく社会的な財産だという意識はあまりお持ちでは無いでしょう。

住宅といえども公のもので街づくりの大切な責任を担っているという考え方があれば、最近のニュースでもありましたが、外観デザインが奇抜過ぎて近隣から有名人が訴訟されるということも無いはずです。


住宅を設計する者としては、長く引き継がれて誰が使っても喜ばれる普遍性のある住宅にしたいというユニバーサルデザイン的な考え方は、私は他の設計者より強くあるほうです。

土地の狭さも大いに影響しているのですが、その反面、

個別の個性や要望を最大限に尊重して、世界中どこにもない唯一の想いを詰め込んだ住宅を実現するために設計したいという気持ちも、強くあります。


実際は、設計依頼される方の要望に対して様々な面で話し合って最適解を決定します。その際に、設計者はユニバーサルデザイン的な考え方が重要になります。一般的に使いやすい設計なども話し合うことで、自分たちの特殊解がハッキリします。

それがわかって初めて、特殊解を選択するのか、将来を考えて一般解を選択するべきかを考えることができるのです。


さて、まとめましょう。今までの難しい話はご両親に簡単に解説して頂くことが前提になります。今までの話が理解できなくても、お嬢さんからの私のインタビューの答えは、


「現在、ユニバーサルデザインの考え方が実践されて造られているものは、細かい部分での気配りという面が強いです。でも、ユニバーサルデザインという考え方の底には、世界中の人々を想いやる優しい心があると思います。この考え方を物や街や建物を造るときはもちろん、もっと広く世の中のルールや法律を考えるときにも使われるべきものだと思います。そうすれば、きっと世の中から戦争は消え、飢えで苦しんで亡くなっていく子供たちや、貧しくて学校に行けない子供たちもいなくなります。世界中が幸せな気持ちで毎日暮らせるようになるでしょう。

住宅の設計に限って言えば、その家に住む家族の生活様式や個性を尊重した上で、ユニバーサルデザインの考え方を積極的に取り入れていけば、もっと良い住宅になっていくと思います。ユニバーサルデザインの概念は普遍的なものですが、住宅に適用されていくユニバーサルデザインは、世の中の変化や進化にあわせて、これからもどんどん進化していってくれるでしょう。」

ということで…。




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デンマークの設計事務所で(3)

2007年10月11日 12時57分10秒 | ドイツ エコバウ建築ツアー
▲ 屋根に注目

みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

ドイツエコバウ建築ツアー(5)になりますが、まだデンマーク滞在中でのお話です。2007年10月9日の続きです。

ヴァントクンステン設計事務所のミニセミナーと説明が終わり、中庭から現場へ向かうために外へ出ると、いきなり上記写真の建物が…。この建物の屋根の植栽が、写真でもわかりますでしょうか。

ヨーロッパは、通りに面した建物表側の反対方向の裏側に、中庭があります。これは東西南北に限らず、道路側と反対に必ずといっていいくらいありますね。


下の写真は、設計事務所の建建物の外部裏側です。中庭に面しています。
大きなトップライトの廻りと煙突の廻りの瓦部分が白く見えますね。
これが防水処理のためになされているのですが、どこを歩いてもこういう処理が目立ちました。日本では、板金処理で終わるのですが、瓦の形なりに防水処理を瓦の外側からもしていて、メンテナンスもやりやすそうです。見映えは多少悪くなりますが、安心ですね。







このあと、ここを通って建物へ無向かう途中、



夏の日射を防ぐ窓の外のルーバーを見ました。冬は日差しを入れて、夏は外部で日射を防ぐ、庇や簾と同じですが、陽射しカットにはドイツでもこの方法はポピュラーです。






次回は、建築家のヴァントクンステン氏に案内して頂いた、

この建物を紹介する予定です。




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住宅の第三者検査(2)

2007年10月10日 16時22分14秒 | 住宅検査・トラブル相談
みなさん、こんにちは。

2007年10月5日の「住宅の第三者検査」の続きです。

住宅検査は、間違いを指摘するために行うのではなく、良い品質の住宅を建てるために行うものです。客観性をもって検査を行うだけでなく、いかに未然に間違いを防ぐかに努めなくてはいけません。

そのため、通常の現場でよく間違っている点は、事前に現場監督にお話をして了解を得ます。このときに、現場監督に疑問があれば納得してもらうまで説明しますし、その根拠もお話します。

できれば、現場監督だけでなく工事の主となる大工さんにも直接お話したいので、現場でお会いした時に、大工さんにもお話するようにしています。

単にこちらの要点を伝えるのではなく、最初は雑談、この現場や他の工事のこと、苦労話をお聞きしたりします。相手の職人さんにとっても、ただ指摘されるだけでは面白くありません。現場や本人の腕の良い点や苦労もわかってくれる検査員が、間違いや手直しを指摘するなら、どうでしょう?

職人さんも良い仕事はしたいと思っていますし、評価してくれる人がいればやりがいも出るはずです。

実際、第三者として検査に入っても、気持ちよく手直しを行ってくれる職人さんが多いのです。

地元ハウスメーカーで工事途中から頼まれた工事検査では、ケンカ越しに、「30年間大工をやっているが、そんなことを言われたのは初めてだ!」と怒っていた大工さんもいました。

さらに現場監督や本社の設計課長という人達が、何人も現場に待ち構えていて、「そんなことは、普段やっていない。そうしろというなら、金を取る!」と興奮していました。

最初から検査に入る場合は、納得してもらっているので良いのですが、途中からの場合は、こういうこともあります。私まで興奮しないように、理由と根拠を丁寧に説明していきました。少し経つと相手は、今説明していることとは関係のない、様々な工事のことまでいろいろ質問してきます。

それは、私が本当に工事のことを知っているのか、机上の空論を振り回す設計事務所のわからずではないのかを、自身の知っている知識で試しているようでした。

最後は相手も納得して、大工さんだけでなく現場監督、設計課長を含めて全員で、すべて剥がして、やり直しの作業を始めました。

その時点でできる手直しが終わってから、文句を言って「金を取る!」と興奮していた設計課長も、「大変勉強になりました。これからは、どの現場でも先生のおっしゃる通りに工事をいたします。」と頭を下げたのです。

こういったことができないと第三者の建築専門家としての検査員は務まりません。

本来は、未然に防ぐのが一番ですが、もし間違っても納得して手直ししてもらうのが、その次に良いケースです。一番良くないのは、間違いとわかっていても手直し工事をしてくれないケースです。こういう業者の場合は、私がヘタに入ってもみなさんに不安を与えてしまうので、検査には入りません。

次回は、一般に行われている第三者機関の住宅検査について考えてみましょう。



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デンマークの設計事務所で(2)

2007年10月09日 11時01分20秒 | ドイツ エコバウ建築ツアー
▲設計事務所の2階への階段の上の、トップライトと勾配天井


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

ドイツエコバウ建築ツアー(4)です。

デンマークの設計事務所の写真を追加します。写真は、ホームページよりこのブログで増やしていきます。

古い建物ですが、この空間、いいですね。細かい意匠がどうのこうより、この空間そのものが良いので、こういう心地よい空間を提案して設計することが、私は快適な空間につながると思っていますし、設計の仕事だと思っています。細かいデザインは完成後でも後から変更やデコレーションは可能ですが、空間の変更は難しいですから。

トップライトは外側から見ると、どこにいってもそうでしたが防水処理がしっかりしています。そのかわり、防止処理部分の見映えは悪いですよ。防水処理の板金やテープは色も屋根の色と異なっていて、ハッキリ見えています。それだけに、メンテナンスもしやすいはずです。

私がビフォーアンドアフターで、トップライトを2つ付けましたが、既存の屋根は波型の古いトタン屋根で勾配も緩かったのです。防水紙はアスファルトルーフィングでなはく、フェルトの紙でした。外壁には使いますが、屋根には最近は使いません。

そこに、大工さんにトップライトを付けてもらうのですから、付きっ切りで取り付け方法の指導をしました。お陰で、どんな台風が来ても雨漏れはしていないようです。

デンマークでもドイツでも、私は屋根防水処理が気になって観ていたのですが、どこもその処理の部分は、見映えより雨仕舞いやメンテナンスを気にしていたようでした。さすがとも思いましたし、意外でもありました。


以前もお見せしましたが、もう一度、別の柱や梁の写真を観てください。


▲無垢の梁や柱は、乾燥に伴ってこんなに割れていても、構造的には問題はないということを知っておいて下さい。



無垢の材料は呼吸しているので動きます。ヒビもいきます。ですが、合板や集成材と異なり、すべてはそれも味と感じて欲しいです。




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住宅の第三者検査(1)

2007年10月05日 13時03分09秒 | 住宅検査・トラブル相談
本日は、早朝からあるハウスメーカーの工事中の検査を行いました。

これは、私が第三者の専門家として工事中の検査を行うものです。

自分で設計し、監理する建物のように厳しく指摘はしませんが、通常の工事方法で問題なく行われているかどうかを確認します。仕様、材料、設計方法などは一般的に認められるものには口出ししません。あくまで、客観的に観て問題がないかどうかを確認するのです。

数年前に、有名出版社の有名住宅情報月刊誌に住宅の欠陥を観ぬく法というような特集に関して、私に依頼があったので、その雑誌社の編集者に写真や情報の提供をいたしました。

写真を見せながらの私の説明と間違っている理由を聞いて、大変驚かれたのです。

「今まで、何度も同じような特集をしてきましたが、こういう内容を聞いたのは、全く初めてです…。本当のことですか?」ということでした。また、工事会社であるハウスメーカーが雑誌のお客様なので、内容の表現方法は任せて欲しいとのことでした。

私がお出ししたのは、素人が工事中に観て間違いがわかる範囲のもので、よく間違っている工事内容の写真と正しい写真でした。

全国の一般書店でかなりの量が毎月出版されている雑誌なので、掲載号が発売されると、大変なことが起こりました。全国から私の事務所に電話で相談がたくさんきました。「写真を観ると、間違った工事方法になっている。どうすれば良いでしょうか?」とか、「業者に雑誌の写真を見せたが、間違っていないと叱られた。」というような内容です。

また、その編集部にもたくさんクレームの電話があったようです。

「なぜ、これが間違っているんだ!」という工事業者からの怒りの電話です。
中には、クライアントのハウスメーカーからもクレームはあったはずです。

反響が想像以上に大きかったのですが、実はそれだけ、間違っていることすらわかっていない業者が多いことが、現状なのです。間違っている写真と正しい写真を並べて出したにもかかわらず、わからないのですから。手抜きではなく、単に知らないのです。


私が第三者の検査で指摘することは、私の特殊な持論ではなく、建築基準法に記載されているものであったり、住宅金融公庫の仕様書にもハッキリ書かれていたり、材料の製作メーカーが指定している工事方法であるもの、すなわち客観的にこうして下さいと決められているものに限られています。にもかかわらず、聞いたことが無いという職人、業者はたくさんいました。聞いたことがないのではなく、読んだことが無い、勉強したことが無いというのが、正しいと思うのですが…。

そういう客観性と理由があるからこそ、第三者として指摘できるのです。自分で設計したものほど厳しくは指摘しないというのは、自分で設計したものは、私の持論を含めてもっと厳しく品質や工事方法に関しては、指示やお願いをするからです。

主観的なものや世間一般に知られていないものを、第三者が突然押し付けるようなことがあっては、現場が混乱しますから、やってはいけません。工事については、あくまで工事会社が責任を持つのですから、自己責任の範囲内で、認めるものは認めなくてはいけません。

この住宅検査の現状や問題点、あるべき方法については、次回、この続きをお話しましょう。













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設計監理指導委員会

2007年10月04日 11時18分45秒 | 建築家の日記
昨日は、神奈川県建築士事務所協会の設計監理指導委員会に委員として出席しました。

この委員会で行っていることは、一般の方からの建築相談や消費者センターからの依頼での建築トラブル調査などです。消費者センターからの依頼は、床下や天井裏絡みの悪徳リフォームが依然多いです。

ですが、本来は、みなさんの建築トラブル調査を直接行うことよりも、事務所協会に所属している建築士事務所、設計事務所への指導が目的の委員会です。

建物調査や鑑定に関する講習会やセミナーを主催したり、情報を流すことが目的なのです。

委員会は他にもありますが、いずれも委員長や一部の委員の人にこれらの業務の負担が重く、ボランティアで業界のために会議以外にいろいろ活動しているのですが、広く知られていないのが現状です。

知られ過ぎると、業務が多くなって自身の仕事が出来なくなりますます困るのですが、使命感をもって動いている建築士もたくさんいるのです。



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基礎コンクリートの穴あけ

2007年10月02日 12時20分57秒 | 住宅検査・トラブル相談
▲ 床下の基礎立上がり ガラや木片、ゴミも残ったままです

みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

既存の家のお手入れは、長く住んでいればいろいろ行うことになります。

写真では、わかりにくいですが、赤の矢印の先には基礎の鉄筋が見えています。

エアコンなどの配管を基礎に穴を開けて通しています。事前に配管を通すことを前提としていれば良いのですが、後から基礎コンクリートをこれだけ壊しているのですから、あまり良いことではありません。

写真のように穴が大きく、鉄筋が露出しているという状態も当然好ましくありません。鉄筋を切断していないだけ、マシと言えばマシですが…。鉄筋を切断している場合もあるからです。

この例は、高い工事費用を掛けて隠蔽配管をしています。配管が隠れて見映えは良くなりました。ですが、高い費用を掛けて、大切な基礎の部分を必要以上に破壊してしまいました。工事業者が悪いのですが、住まい手が知らない間に本末転倒になってしまったと思います。

リフォームなどのメンテナンスは大切ですが、見えなくなる部分において、どのように工事をするが私は一番問題だと思うのです。リフォームは新築以上に監理が大切で難しいのですが、実際に行う業者や監督はかなり安易に考えています。素人にリフォームアドバイザーなどの肩書きを与えて、担当者が工事をしきっているケースも多いですね。

仕上がりの見える部分は、皆さんでも判断できますし、気に入らなければ後々も意識してリフォームはできます。また比較的簡単です。

ですが、こういった見えない部分、まして壁の中の部分などでは壊さない限り見えないわけですから、なおさら大切にしなければならないのです。



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建売、注文住宅の契約前に

2007年10月01日 12時24分44秒 | 住宅検査・トラブル相談
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

こちらへの建築トラブル相談も最近は多いのですが、そのうちの9割が既に工事が始まってトラブルに直面してしまっています。残り1割がこれから始まる工事検査の依頼や、事前に心配な方の相談です。

自分たちは大丈夫と思って契約しているのですから、人間の心理からすれば当然でしょう。

第三者として入って、相談だけでもあるいは検査して指摘しても良いのですが、問題のある業者ほどそれを拒否します。または、指摘しても無視をします。

それでは意味がないので、検査をするなら必ず皆さんから事前に業者に許可か合意を取るようにお願いするのですが、それができない方もいます。

トラブルが起こって、第三者の建築士が入ってくることを恐れる業者の心理もわかります。

ですから、ひとつだけ皆さんにアドバイスしておきます。

注文住宅、建売住宅、建築確認住宅を問わず、契約前には第三者の建築士が入って検査をしても良いかどうか、その際には協力してくれるかどうかを確認して書面で合意を取っておけば良いのです。

実際には、スムーズに工事が進み、みなさんが納得して終われば第三者の建築士にお願いしなくても良いでしょう。心配な方は、入れても良いですが。

この承諾をトラブルが起こる前、しかも契約前にも関わらず拒否する業者であれば、以前にトラブルがあったというケースがほとんどです。通常は、契約前なら快くOKをしてくれるケースが多いです。

ノーと言われても契約したいかどうかの判断は、当然皆さんが行えば良いのです。

これは、ひとつのポイントになるので、覚えておいて下さい。


但し、設計事務所に設計をお願いして工事は別の会社が行う場合は、そういう承諾は必要がないかと思いますし、それをお願いするなら、最初から他の設計事務所に依頼すべきですね。設計事務所にお願いして、工事をチェックしてくれないから、私に工事中の検査をして欲しいと依頼される方がいますが、お断りしています。

設計監理料をほとんど払っていなくて、業者が決めた名義だけの設計監理者であれば別ですが、設計監理者が別にいて、費用を払っているのであれば、クレームを付けてそこにしっかり見てもらい責任を持ってもらうのが正しいのです。

建売や建築条件付は、この名目だけの設計監理者が多いようです。




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