「痴漢冤罪 沖田国賠訴訟」のつどいに参加しました。
最初は、元裁判官で、冤罪事件を多く扱っている秋山賢三弁護士の講演。
痴漢は訴えた女性の証言のみが証拠で、科学的、客観的なデーターが見えない(ないわけではない。しっかり分析すれば、痴漢が可能かどうかはでてくる)
そして、検察側は、冤罪を認めたくないことから、一度逮捕したら、手をつくして犯罪を立証させようとする。自白をすれば、すぐに家に帰れると圧力をかける。
訴えた側に対しても、取り下げようとしても、できない状況に追い込まれる。今回の女性も、沖田さんを痴漢と訴えたわりには、その後の捜査には出てこなくて不起訴になった模様です。それなのに、裁判になったら、「どこを痴漢されたかはわからないけれども、この人がやったことだけは確かです」と言ったらしい。
私も若いころ混んでる電車やバスで痴漢にあったが、その場から逃れるので精一杯。相手の顔をみる余裕はなかった・・
女性であることの尊厳を踏みにじられる痴漢行為は、根絶してほしい。そして、こんな卑劣な痴漢だからこそ、冤罪を生み出すことも人権をふみにじること、許せないと思います。
新聞や週刊誌などでも取り上げられた痴漢冤罪事件。
沖田国賠訴訟は、虚偽申告をした女性を相手にではなく、心理に必要な証拠を「破棄」したという違法行為の検察、そして、科学的な証拠を審理せずに無実の罪を作り上げる国を相手に裁判をしています。
そのことについて、これまでの経過、今後について吉田健一弁護士が、弁護団報告をしました。
事件の概要は、以下のとおりです。
1999年9月2日、沖田光男さんは、帰宅途中、JR中央線の車内で携帯電話を使用中の若い女性に「携帯を止めなさい」と注意しました。
女性は「わかったわよ」と言い放って携帯を切りました。
事実はたったこれだけのことなのに、約10分後沖田さんがが国立駅を下車し南口のロータリーを自宅に向かって歩いていたところ、突然「痴漢された」という女性のウソを鵜呑みにした警察官によって「痴漢の現行犯」だとして逮捕されました。
沖田さんは検察官によって勾留を請求され、21日間も身柄を拘束され、手錠、腰縄という人生最大の屈辱を受け、「自白」を強要される続ける、社会的信用をきずつけられるなど、大変な損害を被りました。
事件は不起訴をかちとって終結しましたが、受けた損害は誰からも償われず、謝罪も未だに一切ないのです。
東京地検は10月2日、沖田事件の不起訴記録を廃棄したことが判明したとして、検察事務官ら7名を処分したことを発表しました。同支部は、「保存期間が3年と定められているにもかかわらず、担当職員が1年と勘違いし、廃棄した」としています。こんなことが信じられるでしょうか。第2回口頭弁論でこちら側が検察側にあるすべての資料を公開するよう要求した直後の発表であり、タイミングがよすぎます。第2回口頭弁論で提出された国の準備書面は99年の捜査状況について詳細なものとなっています。証拠隠滅ではないかとの疑いが濃厚です。
裁判では、背が164センチの沖田さんが身長170センチで7センチのハイヒールを履いた女性のの腰に、沖田さんの股間が届かず、女性が主張する「被害」は不可能であることが証明されました。また、女性が通話していた相手が受話器ごしに聞いた話が、沖田さんの証言と合致する一方、痴漢をされたとする女性の証言とは矛盾することも明らかになりました。また、当時の車内はラッシュでもなく、痴漢にあったらすぐに離れられるくらいすいていた。それなのに、女性は1分間も痴漢されたと証言。
(これまでの経験で思うけど、逃げられるすいた電車で痴漢にあって、1分も我慢するなんてありえないのでは。これだけでも女性の言葉には無理がある、おかしいと感じます)
しかし、一、二審ともに沖田さんが敗訴。警察などの不当逮捕を容認したうえ、沖田さんの股間を「下腹部を含む」と解釈を広げて女性を擁護。客観的証拠から目をそらし、女性の言い分を鵜呑みにして沖田さんを痴漢と認定し、訴えを退けました。
沖田さんは最高裁に上告。9月29日、高裁判決を見直す方向で口頭弁論が開かれました。
破棄差戻の2009/11/26東京高裁
判決は、女性が電話していた相手の話は、女性の供述と「看過しえない食い違い」がある一方、沖田さんの供述とは合致すると認め、高裁が電話相手の証人尋問を実施せずに沖田さんを痴漢と認定したことは、「審理不尽の結果、結論に影響を及ぼす明らかな法令の違反がある」として、判決の女性についての部分を破棄して差し戻し、高裁で再度審理を尽くすよう求めました。
痴漢はなかった!なのに嘘の申告はお咎めなしーこんな判決は、矛盾しています。
会場には、痴漢冤罪で逮捕されて、手についた繊維も違うという科学的な事実があるのに、被害者の言葉のみで有罪判決をうけ1年半、刑務所ですごした牧野さんが、
仕事も失い、刑務所ですごしてきた話をしました。50人入れられていて、その中の12人は冤罪を訴えていたそうです。それほど身に覚えのないことで簡単に逮捕されてしまう社会だということ。それらの方々は、仕事も家族も失ってしみ孤独になること。
牧野さんは、家族が信じて周りの人々の信頼もあり、これから新しい事業を起こして頑張ると。沖田さんの国賠を勝ち抜くことが、今後の同じような冤罪を防ぐことにつながると力強く訴えていました。
44年間、殺人という無実の罪をおわされ、やっと今年無罪を勝ち取った『布川事件』の弁護士さんも応援にかけつけ、事実の重さを語ってくれました。
沖田光男さんは、
「本当のことを一人でも多くの人に知ってもらいたい。
ある日突然、人生を狂わされた小さな事件でも、自白を迫り、強権的な取り調べを受けた。
人々の無実の叫びが、この国の司法を変えることができる。
かけがえのない人生を奪われることのない社会にしたい。
今も、冤罪で苦しんでいる人のことを想うたびに、闘いつづける…」
と語っていました。
沖田さんの事件については、
『裁かれる者―沖田痴漢冤罪事件の10年』
をぜひ読んでみてください。
橋本佐内さんが、日本の裁判所を正し、国民の人権が守られる裁判所を実現するために、最後の奮闘をしたいと思います」と訴えました。
最後に橋本さんの尺八で、みなで沖田国賠の唄を歌って終わりました。
今回の集会を聞いて、日本の司法の問題を認識しました。
国立市の求償権をめぐる裁判の判決文に、どうみても常識はずれのように感じるわけも納得いきました。
今の日本の検察や司法の問題がある限り、冤罪がつくられてしまう。
訴えられたら、無実でも逮捕される可能性は誰にでもある・・・
そんな社会を、変えていくひとつの契機となるために沖田光男さんはたたかっています。