ラヴェンダーの咲く庭で

「みゃーきんぐ・ぷあ」から変更。保護猫と綴る日々の備忘録、独り言にすぎない半径5mの記録です!基本、読み専です。

午後の診察室

2018-09-03 10:03:42 | 健康・病気
曇り。28-23℃


チャバネセセリが、名残りの西洋ニンジンボクにいる。






ゆったりとしたスタートだった…。

昨日借りてきた本

えっ、また第二次世界大戦からスタートですかっ?ここら辺はもういいんですが、私w

その前に練習。

調弦している時に、耳の異変に気が付いた。
左耳が耳鳴りでザーザー騒がしい、
それは消えることがないうえに、一時、キーンと金属音の大音響になってしまう。
演奏している間も消えることがない。

父は突発性難聴を起こし、入院し大量のステロイドを投与してから、おかしくなった。
聴力も落ちたまま戻らなかった。
英国人からキングスイングリッシュと褒められた、英語の綺麗な発音もダメになった。

折角、楽器もそろったのに、もうダメなのか…。

いささか唖然とするも、気を取り直す。
親友でナースのN子が耳鳴りで通っている耳鼻科を、午後一で受診する決意をする。

N子と電話で話している間、耳鳴りは消えたり、大きくなったり。
N子は耳鳴りはストレスで始まっている、まず、ストレスを無くす事だと言う。
そして、今日はお爺さん先生の診察日だから、息子さんの診察日にしたらとか、
そんな事を話しているうちに、午後の診療時間が来た。




道端の花を観ている余裕は余りなかった…。
リウマチで手足、次は聴力だったらと、流石に色々と考えてしまう。

到着して、えらい時間待たされた。


ふと本箱に目をやると、

下の段には美術書が一杯、
院長先生は、芸術がお好きなのだろうと推察した。

一番上のゴッホを手に取り、めくる、
最初は「馬鈴薯を食べる人々」で始まり、

やがて風景はアルルへ、


そして、精神病院の中庭へと風景は変わっていく。
その時には、私の耳鳴りも、この一年の悩みも、絵の前で溶けていくのがわかった…。

大好きな「いせひでこ」さんの絵本も2冊置いてあり、思わず手に取った。
以前、何冊か所有していたのだった。

彼女は絵描きでもあり、13歳からチェロを弾かれている。
院長先生がこの本を選んで置かれたのなら、今の私の気持ちをきっと解ってくれると思った…。




夢中になって読んだ、いや絵を鑑賞した。

1000の風・1000のチェロ 紹介

1000の風・1000のチェロ 感想

絵本読み聞かせ 1000の風1000のチェロ 2012年2月10日

とにかく画家であるいせひでこさんの画力こそを見ていただきたいのだが、読み聞かせでは絵が小さくて残念である。
そして、東北の震災であっても、楽器を演奏する側の心情ってこうなのではと。

次に彼女のルリユールおじさんを読み終わったときに、
診察室のドアが開き、私の名前が呼ばれた。

問診表には「今朝から始まった耳鳴り」と書いてしまうが、、、
不思議といせひでこさんの絵あたりから治まってしまっていた。

斎藤茂太先生に似た高齢な院長先生は、
私の鼓膜を診察し、両耳とも「非常に綺麗な鼓膜をしている」とおっしゃった。
(私は耳は大切にしている、大音量や、ヘッドホンも避けている。)

私は「先生、趣味のバイオリンが弾けなくなったら困るんです」と。
するといきなり相好を崩し、「絶対音感かーい!」と嬉しそうに呟いた。
その後、チンパノメトリーで鼓膜の検査を、防音室で聴力のテストをした。
そして待合室で一旦待つように指示されたが、中からは非常に成績が良いと聞こえた。

次に診察室に呼ばれた時には、耳は非常に良いですと。



爺さん婆さんは皆、このグラフの方眼の、思いっきり下をさまよっているんだと。


黒い線が完ぺきな100、貴女はオレンジの線の80点はクリアしていると。


そして、バイオリンは高音域で、2000-8000ヘルツの音域であろう、貴女はそこで90点以上取っている。大丈夫と。

待合室は患者さんで一杯だったが、老先生は私と音楽の話がしたくてたまらないようであった。
いつから始めたのから、色々。
私は大学までは音楽に親しんできたが中断し、つい最近だと。
そして、爺さん婆さんはグラフの下をさまよっているとおっしゃるが、
先生、私のカルテの歳を見てください、「私も婆さんなんですが」と。

すると、老先生は再び相好を崩し、こう言ったのだった。

「貴女はまだ十分にお嬢さんに見えます、耳もなんですよ、この耳なら死ぬまで弾けますよ」と…。

そして、「バイオリンは果てしないプロセスであろう、死ぬまで勉強でなかなか達成しない、貴女は一生、音を追い続けていくのだろうね」と私におっしゃった。

私も、「死ぬまでこの耳を維持して、棺桶に入る迄練習します」と誓って、病院を後にしたのだった。
いせひでこさんのように、弾く側にまわりたい、
私は、、、なんて下らないストレスに悩んでいたのだろうと。
先生にお会いしたあとは、全てが下らなかった。

帰りは、道端の花が、オシロイバナであっても綺麗に見えた。











空も秋の気配がした。







話し合える友人、素敵な先生やお医者様、ささやかな人生の目標がある、十分に幸せじゃないか。
妬みや、嫉みはもういい、

綺麗な物だけを追って走っていけ!!
コメント (8)
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