もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「ニワトリはハダシだ」

2005-05-13 23:48:23 | 映画
森崎東監督は「生きているうちが花なのよ、死んだらそれまでよ党宣言」
がものすごく好きな映画なので、どうしても観たかった作品。

知的障害児、警察、検察の汚職、在日、皇室などなど。
社会派映画か、なんて構えて観ていると肩透かしをくう映画だ。
確かに主人公のサムは知的障害児で、それゆえの能力、
桁はずれの記憶力がもとで大きな事件に巻き込まれてゆく。
でも、軸に描かれているのは生活で、
そこに笑いが沢山あり、ヤクザと警察に追われるハラハラドキドキがあり、
家族が居て親子の愛がある。
それを観ているうちに自然に、沢山の社会的な問題が現実に存在していることが心に落ちてくる映画だった。
《こういうことが現実にあるんだよ》と声高には訴えない。
思えば「~党宣言」も“原発ジプシー”という一般の人が知らない現実を見せてくれたが、楽しめる作品だった。

原田芳雄、倍賞美津子はもちろんのこと、
主人公サムを演じた浜上竜也、養護学校の先生の肘井美佳がとても良かった。
脇役も実力派というかクセ者揃い。
あと、加瀬亮。この人は役によって全く違う顔に見える面白い役者だ。
タイプじゃないけど目が離せないカンジがする。

ニワトリはハダシだ、というのは”わかりきったこと””あたりまえのこと”の意味だそうだ。

劇中で何度も出てくる「ご飯食べた?」という台詞。
「~党宣言」のときも似た台詞があったけど、
生きていくことは、ご飯を食べるということだね、そうだね。
韓国の人は挨拶みたいに使う、
と亡くなった鷺沢萠さんのエッセイに書いてあったな、そういえば。
コメント (4)
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