もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「やわらかい生活」

2006-08-04 21:52:06 | 映画
蒲田といえばユザワヤでしょう
と思っていたら、ぼんやりと後ろを走り抜ける自転車のカゴにユザワヤの紙袋が。
そうきましたか。

優子の周りには死がいっぱい。
みなし子になって親友も失ってオトコも失った。
ココロのバランスが崩れても仕方が無い、
というよりも、
”崩れる”で止まらなければ優子もあの世行きだ。

亡くした人たちの記憶を共有したいと嘘をつく優子。
でも、祥一が言うように
どれだけ沢山の人が一緒に亡くなっていても、
他の人の気持ちを解ることは出来ない。
解ると言ってはいけない。
できるのは想像するだけ。
そしてそれがとても大切なこと。

ネットで知り合った趣味の良い痴漢との出会いで、
蒲田に移り住む優子。
銭湯の二階の質素な部屋をセンスよく飾り暮らし、
蒲田を歩き回る日々。

街頭演説をしていた都議会議員は、大学の同級生だった。
再会を祝して屋台で飲む二人。
部屋へ誘ってはみたものの、内心面倒くさかったが、
男はEDだった。

優子の運営するサイト【Love KAMATA】
そこを介して、ウツのヤクザと会うことになる。
まだ若く、目的のタイヤ公園にはしゃぐ男は、
実は妻子があり、ポケットに試し撃ちの薬莢を入れたままという闇を持つ。
男と居酒屋で薬談義に花が咲く。
(そーそー。盛り上がるね、薬談義って。”みんなの友達デパス”はないの?)

そして、突然従兄弟の祥一があらわれる。
まっとうに結婚生活を送れないバランスの悪さは、
乗っている車にも表れている男。
でも、祥一は優子には底なしに優しい。
躁状態になって馬券を当て、
カラオケボックスではしゃぐ優子に付き合って歌も歌ってくれる。
(豊川さんの歌声は貴重。がなぜに尾崎?)
いきなり鬱になった時は、
病院に薬を貰いに行き、飲ませてくれ、
おかゆを作り、髪を洗ってくれる。
優子の理不尽な仕打ちに一度は出て行くが、
結局戻ってきてくれる。
祥一がすくってきた赤と黒の金魚に
「うどん」と「そば」と名づける優子。

祥一の底なしの優しさに満たされるけれど、
それは長くは続かない。
悲しくて愛しくて切ないキスの後、
祥一ともそれぞれの男たちとも、道はまた別れていく。

隠さずにはいられなかった傷を、隠さなくなった優子は、
少し強くなったのかな。

あと、屋上の空がとても青かったのが印象的。
コメント (9)
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