横浜の伝説。
顔を真っ白に塗って白いフリルのドレスを着て、
白髪を結い上げ、街角に立つ老婆の街娼。
”ハマのメリー”
戦後横浜に溢れた娼婦の中で、
将校しか相手にせず、気品を漂わせていた彼女は、
その頃からすでに伝説だったのだ。
彼女の本名も歳も誰も知らないまま、
彼女は戦後を生きてきた。
街から娼婦たちが姿を消した後も、
異形のモノとして。
若者達には”白いオバケ”と呼ばれていた。
映画はメリーだけではなく、
住む場所も定まらない彼女を温かく見守る街の人々、
とりわけ
病に冒され、みずからも重い過去を持つシャンソン歌手、
長登元次郎を追いかけてゆく。
そして、横浜という街の持つ猥雑さを見事に描き出す。
二つある外人墓地の意味。
さらに、人々がなかったことにしてしまった戦後をも
痛いくらいにくっきりと映し出す。
ヨコハマメリーは色々なものの象徴でもあったのだろう。
そして彼女は街角に立つことに疲れて、
田舎へ帰って行った。
50年以上もただ一人でメリーとして生きてきた人生。
どれほどの孤独だったのか。
彼女はなにひとつ語らないままだ。
一切の経歴を明かさないメリーの
老人ホームから元次郎に宛てた手紙の達筆さに驚く。
そして、そこに歌を歌いに訪れた彼を見つめるのは、
白粉をとった童女のような品のいい笑顔の老女。
良くも悪くも、
周りの老女達のような生活によって刻まれたものが彼女にはない。
素顔は映さないだろうと思っていたので、
ふいをついた彼女の邪気のない笑顔に、
何故だか涙が出そうになった。
ヨコハマメリーを脱いだ彼女は
今も元気でいるのだろうか。
顔を真っ白に塗って白いフリルのドレスを着て、
白髪を結い上げ、街角に立つ老婆の街娼。
”ハマのメリー”
戦後横浜に溢れた娼婦の中で、
将校しか相手にせず、気品を漂わせていた彼女は、
その頃からすでに伝説だったのだ。
彼女の本名も歳も誰も知らないまま、
彼女は戦後を生きてきた。
街から娼婦たちが姿を消した後も、
異形のモノとして。
若者達には”白いオバケ”と呼ばれていた。
映画はメリーだけではなく、
住む場所も定まらない彼女を温かく見守る街の人々、
とりわけ
病に冒され、みずからも重い過去を持つシャンソン歌手、
長登元次郎を追いかけてゆく。
そして、横浜という街の持つ猥雑さを見事に描き出す。
二つある外人墓地の意味。
さらに、人々がなかったことにしてしまった戦後をも
痛いくらいにくっきりと映し出す。
ヨコハマメリーは色々なものの象徴でもあったのだろう。
そして彼女は街角に立つことに疲れて、
田舎へ帰って行った。
50年以上もただ一人でメリーとして生きてきた人生。
どれほどの孤独だったのか。
彼女はなにひとつ語らないままだ。
一切の経歴を明かさないメリーの
老人ホームから元次郎に宛てた手紙の達筆さに驚く。
そして、そこに歌を歌いに訪れた彼を見つめるのは、
白粉をとった童女のような品のいい笑顔の老女。
良くも悪くも、
周りの老女達のような生活によって刻まれたものが彼女にはない。
素顔は映さないだろうと思っていたので、
ふいをついた彼女の邪気のない笑顔に、
何故だか涙が出そうになった。
ヨコハマメリーを脱いだ彼女は
今も元気でいるのだろうか。