ソーシャルメディア(ブログやツイッター、フェイスブックやその他の様々な掲示板など)の素晴らしいところは、
世界中の沢山の人々と話せる機会が得られること、
そして沢山のボランティアの方々や科学者達、またはそういった組織との繋がりを得られることです。
そして
そうして出会った人達は、エアフィルター等のサンプルを送ってくれました、例えば家庭用の電気器具なんかの、そうですね、彼らの家に設置してあったエアコンやヒーターのフィルターや、換気扇のフィルター等です。
私達はこれらすべてのサンプルを、非常にシンプルな方法で処理し、いろんな家の被爆度を比較検証しようとしました。
私達は北日本、東京、アメリカ、そしてカナダからのサンプルに注目してみました。実際に人々がどれくらい被爆しているのかを知ろうとしたのです。
※上の写真は2011年4月にシアトルと東京、福島を走っていた車のカーフィルターをX線フィルムに感光させて放射性物質を目に見える形で焼き増ししたもの。
そのために
私達はホットパーティクル(高放射性粒子)に着目しました。放射能汚染に被爆するということを法的視点で考えると、始めにそのエリアでの平均的な汚染度や被爆度を求め、それからではこのぐらいなら大丈夫でしょうという、安全なレベルというものを求めます。
もしもあなたがその安全なレベルと言われている汚染度を超えて被爆していると考えるなら、何らかの指針を設けて、対策をとる必要がありますね、除染するなどして。
私達は被爆の平均値という物について理解すると同時に、ある一定の人々は平均値よりも多く被爆するだろうし、またある一定の人達は平均よりも被爆数値が低いだろうと考えます。この考え方において私達の調査の事例は他と異なります。
それは、どれくらいの量の放射能汚染された塵が、原発事故の起きた場所(福島第一原発)から、どのような経過をたどって誰かの家に入り込むのかによるのです。
もしもそれらの放射能汚染された塵が、食べ物と一緒に口の中に入ったり、呼吸と一緒に肺の中へ吸い込める程に小さなものだったとしたら、それは内部被爆として、平均の汚染度や平均の被爆量と言われている数値の何倍もの被爆をするということになるのです。
被爆数値の構成要素について考えてみましょう。
あなたが住んでる環境からの平均の被爆、つまり外部被爆
ホットパーティクル(高放射性粒子)を取り込むことによって被爆する内部被爆
ホットパーティクル(高放射性粒子)による内部被爆はそう多くはないといえるでしょう。
原発事故の起きた現場から放出されたホットパーティクル(高放射性粒子)の数は比較的、少ないからです。
ですから殆どの人はこのホットパーティクル(高放射性粒子)によって内部被爆する事はないでしょう。しかし、少数の人達は一粒か、もしくは二粒以上のホットパーティクル(高放射性粒子)を体の内部に取り込み、内部被爆をするでしょう。このように内部被爆をすると、外部被爆の平均値よりも被爆数値は高くなります。
ですから今、実際に人々に何が起きているのかを知るためには、
この外部被爆と内部被爆の両方を考えて計算に入れる必要があります。私達はサンプルを得た後、一連の分析を得ることが出来ました。
私達はまず基本的な分析をし、平均の外部被爆の数値を算出しました。
私達はガンマスペクトロメトリーと呼ばれるものを使用しました。
このガンマスペクトロメトリーという物は、過去100年以上に渡って使用されている技術であり、どんな核種が、どんな放射性物質がサンプルの中に存在しているのかを検査するものです。
福島からの放射能汚染の中に見られる3種類の核種があります。
まずは、セシウム134とセシウム137です。
この2つの核種の割合をみることによって、私達はこの汚染が福島からの物であることをかなり確実に特定することができます。またこれらの核種は、核分裂により生成物であり、なんらかの核反応の後に生成される物質です。
3種類の核種のうちのもう一つがラジウム226です。
これはもともとのウラン燃料が核分裂反応のプロセスを始める最初の段階で生成されます。
もしこれらを見つけたら、私達は第二段階、ホットパーティクルがその中に存在しているかどうかを鑑定する作業に進みます。
どういう風にするのかというと、ホットパーティクルの分析を行うという第二段階へ進める為に
鑑定したサンプルをふるいにかけ、よりさらに細かい粒子に分け、銅製の
プレートの上に薄く伸ばし、それを
X線用のフィルムに感光させるのです。1週間、感光させておきます。
これはまた別の古くから行われているテクニックですーーおそらく一世紀以上前から。
サンプルの塵の中から、どこに小さな放射性のホットパーティクルがあるのかを見極めることができます。
その感光させたX線用フィルムを焼き増しすることもできます。
そしてもし可能性のある箇所が見つかったら、その部分だけをイグザクトナイフ* で切り取ります。
それをアルミニウム製の顕微鏡用スライドの上にのせ、
電子顕微鏡でさらに細かく調べます。※イグザクトナイフ* 細かいところを切り抜く為のカッター
普通の顕微鏡ではなく、見ながら元素の分析をすることが可能な特別な電子顕微鏡を使います。
では実際にこの電子顕微鏡で見ているイメージをしてみましょう。
スクリーンで実際に映像として見ることができるのです。ひとつひとつの粒子を五千倍、一万倍、一万5千倍に拡大して見ることができます。
これを見ながら顕微鏡の操作レバーを操り、粒子のひとつに焦点を合わせるのです。
ビデオゲームのようなものです。粒子のひとつひとつにX線ビームを当てて、その元素の構成についての分析処理をしていくのです。そうしていくうちに、放射性の粒子を見つけるのです。
それらはプルトニウムであったり、ウラニウム、ラジウムだったりします。
分析に使用するサンプルは0.5キロか1キロ分程の塵なのですが、
この塵の粒子の中から、このようなプロセスを経て、
一粒か、二粒程のホットパーティクル(高放射性粒子)を見つけて取り出す作業になります。
※名古屋の一般家庭の掃除機ゴミパック内の塵から見つかったホットパーティクル(高放射性粒子)
そして更に細かい分析を行います。
これは非常に意味のある大切な作業です。なぜかというと、もしこの小さな粒子を誰かが呼吸として吸いこんだり、または食べ物に混入して体内に入ってしまった場合に、何が起こるかが分かるからです。
すべてのホットパーティクルは似ておらず、それぞれ違っています。
幾つかの放射性粒子は、他の放射性粒子よりもやや高い放射能を持っています。それらを見つけ出すのは非常に難しいです。
また別のある粒子は、ちょうど*マグニチュードと地震エネルギーの対数関係のように、10の指数倍で表さなければならない程の強烈な放射能を持っています。
補足)*マグニチュードは地震のエネルギーと対数関係にあり、マグニチュードが2増えるとエネルギーは1000倍になる。つまり一般的な放射性粒子と比べて、高放射性粒子であるホットパーティクルは2倍とか3倍汚染度が強いというレベルの話ではなく、とてつもなく放射性が高いという意味。
リクタースケール(マグニチュードと地震エネルギーの対数関係を表すグラフ)について考えてみると、マグニチュード5というのは、マグニチュード3よりも100倍も強い地震エネルギーを持っています。
私達が探しているホットパーティクル(高放射性粒子)と言う物はつまりそういうもであって、
一般の放射性粒子よりも、ちょっとだけ放射性が高いとか、そういうレベルの話ではないんです。とてつもなく高いのです。私達はそれらを見つけたのです、そのとてつもなく高い放射能を持った粒子を。
とても小さな粒子ですが、何処から来たものなのか、私達に教えてくれます、なぜなら(先ほど話した特別な)電子顕微鏡で見ることができるからです。
どれくらいの大きさなのか、どんな形をしているのかを見ることができます。
この粒子がどのような経過を辿ってきたのか、またはその証拠を知ることができるのです。
そして最終ステップとしては、もしこの粒子のサイズ、原子構成、放射能の強さ等を知ることができれば、
この粒子を吸い込んだり、経口摂取すればどうなるかも知ることができます。「実際にはどの人に何が起こるかなんて分からないじゃないか、
私達にはただ(健康障害が起こる)確率の平均値しか分からないだろう。」そうあなたは思いますか。そうですね、一般的な放射性粒子に関してはおそらくそうでしょう。
でもこのホットパーティクル(高放射性粒子)に関しては、7%の人が肺癌になるとか、あるいは70%の人が皮膚癌になるとか、喉頭癌になる可能性があるだろうというふうに
はっきり言うことができます。そういった粒子たちの画像を実際に見ることができます。
とても時間のかかる分析ですが、どのような健康被害が起こるかその危険性について多くの事を知ることができます。
※肺に取り込まれたホットパーティクル(放射性物質を含んだ埃)が周囲の細胞を破壊している様子。
私達の得たサンプルは日本の名古屋からの物でした。
460キロメートル福島の第一原発から離れたところです。約300マイルです。
ホットパーティクル(高放射性粒子)は10マイクロ幅でした。
0.00005mの大きさということです。当然のごとく、とても高い性能を持った顕微鏡でしか見ることができません。
呼吸として容易に吸い込める大きさであり、また肺の中にとどまることもできるサイズです。
これはとても重要なことなのです、何故なら、もしあなたが保健物理学者なら、このホットパーティクルからの被爆量の計算をし、
この粒子は生涯体内に残り、被爆し続けるものとして考察する必要があるからです。
アスベストを取り扱った為に、アスベストの粒子を吸引した労働者が亡くなったとします。死因はさておいて、アスベストの粒子はそれでもまた彼らの体内に残っています。ホットパーティクル(高放射性粒子)にもほぼ同じことが言えます。
私達が調査した粒子は原子炉の中で核分裂したことによって出た物質と核燃料そのものの混ざり合ったものでした。テルルとラジウム226です。
またセシウム134と137、コバルト60、その他にも、めったにCNN(アメリカのニュース番組)の放送でも聞かないような、物理学しか知らないような、そんな名前の核種の数々を見ました。
この粒子の重量の80%は、原子炉の炉心の物質です。この粒子は事故のあった原子炉の炉心からとても長い距離を旅してやってきたのです。
とても長い距離の移動です。
この粒子はとても小さいので、気体となって風に乗ると、とても長い距離を移動するのです。どういう事かというとつまり、
原子炉から離れた地点であればあるほど、こういった粒子(ホットパーティクル)を見つける可能性は低くなるということです。
私達は日本から送られて来た沢山のサンプルを調査しましたが、これは最も長い距離を旅した粒子です。個体識別番号を付けようと思っています。
日本では、放射能をベクレルという単位で計ります。このベクレルというのはヘンリー・ベクレルという人の名前です。
1ベクレルというのは放射性物質が1秒間に1つ原子が崩壊するということです。
現在日本では、1キロあたり100ベクレル、これは1パウンドあたり45ベクレルになりますが、これ以上のレベルの食物は食べるのは危険であるということになっています。
アメリカの数値の方がもう少し高いのですが、しかしもし1キロあたり100ベクレル以下なら安全という方針に従うとすれば、この物質(ホットパーティクルを指す)は、食べるのには放射性が強過ぎますね。
この物質(ホットパーティクル)は
1キログラム当たりペタベクレルということになります。ペタベクレルなんて聞きなれない名前でしょう。
4の後に、ゼロが19個並びます。
1キログラムあたり、
40,000,000,000,000,000,000(4千京)ベクレルです。炉心の物質とうものはそれ程までに放射性がとてつもなく高いものなのです。
とても小さな粒子ではありますが、
ベクレルではたったの310ベクレルでした。この掃除機の内部のパックのサンプルを受け取った当初、放射線を計測したら310ベクレルでした。
これは平均的な福島県内の掃除機のゴミパックの放射線数値と同じぐらいでしたので、特に気をとめませんでした。
作業はグローブボックス(放射性物質を扱うための小型の箱で備えつけのゴム手袋によって外部から操作する)やフード(覆いのようなもの)の下で作業をしたのですが、私達はこのサンプルを半分にカットしました。
これはホットパーティクルが存在しているかどうかについて調べる第一のステップなのですが、半分に切ったら当然、まぁ半分の155ベクレルになるはずですよね?310の半分ですから。
しかし実際にはゼロだったんです。
よし、じゃあもう半分のパックを計ってみよう、
そしたらそっちもゼロ。
あれ?どこに行っちゃったんだ?
それでもう一度両方のパックを一緒に戻して計測しました。
そうしたらまたちゃんと310ベクレルと出ます、
ちょっとしたミステリーでした。
ホットパーティクルがこの掃除機のゴミパックのちょうど真ん中あたりに存在していて、このパックを半分に切ったカッターナイフの刃にくっついていたのだということに気付くまではね。
私達はこのカッターナイフを顕微鏡で注意深く見ながらひとつひとつの粒子の放射性を調べました。プロセス自体はややショートカットしたワケですが、実際にこれはホットパーティクルを見つける方法ですから。
高い放射能を出す部分を見つけるまで、サンプルを切り分けていくわけです。
北日本にある浪江町と飯館村から送られてきたサンプル、「黒い砂」を見てみると…(この高放射性粒子は)非常に黒い砂と似ています。
黒い砂…
そしてこの粒子(ホットパーティクル)もそうなのですが、集合体であり、混ざり合った物なのです。
例えばコンクリートは砂とセメントと小さな石が混じり合った物です。顕微鏡下ではそのように見えます。
黒い砂の正体について、最悪のケースを話しています。
ホットパーティクル(高放射性粒子)は、事故(原発事故を指す)の最中に気化したものです。
それが凝縮して小さな粒子になり、混ざり合った物です。
それらは凝結し、集まり、そして確認できる大きさの粒子になるのです。
風に乗って移動します。
そして遅かれ早かれ、何か当たり、それにくっつきます。
この名古屋からのサンプルの場合、外部の空気中を漂っていた粒子が何らかの理由で室内のカーペットに付着し、それを掃除機が吸い上げたのです。
良いニュースとしては、同じ場所からサンプルを受け取り続けていますが、同じようなホットパーティクルはそれ以来発見されていません。
この家が特別に何か問題があるという訳ではなく、私達のデータによると、この家からはこうしたホットパーティクルは一つだけでした。発見されなかったのです。
しかしこの事実はある特定の地域を調査して、ホットパーティクルが他にも存在しているかを確認してみる必要があることを示しています。
このようなホットパーティクルからの被爆によるダメージは、多大な健康被害を引き起こす可能性があります。
今のところ、
日本の福島県と東京からのサンプルについては、25パーセントのサンプルは、確認できるレベルのホットパーティクルを含んでいます。しかしこの粒子(名古屋の掃除機ゴミパック内から発見された粒子)が最悪のケースで、一番高い放射能を持っていました。
平均の数値が示されるというわけではありませんが、どんな可能性があるかを知ることはできます。
結果的として私は、一連のサンプルについて十分に理解する時間をかけて、整理しました。
それはウォーチェスターポリテクニックインスティトュートの検討委員会(同領域も専門科によって査読、評価する機関)によって検討されました。
そしてこれらの情報を公に公表する為の準備をしました。
かつてのように平均の被爆量ではなく、実際にどれだけ被爆をするであろうかが分かるようになるという事は良いことだと思います。
そしてまたホットパーティクルによって被爆する可能性についてや、この福島の原発事故によって、実際に受けるであろう健康被害の可能性についても付け加えました。
このようにしっかりと研究されたデータや情報をテレビのニュースや、東京電力の発表、またはIAEAの発表で見聞きすることは決して無いでしょう。フェアウインズは長い間、福島の原発事故の結果として、はっきりと明確に分かる程の
癌の増加が日本で見られるようになるだろうとお話してきました。
このビデオは
たった一つのホットパーティクルが私達が恐れている最悪の事態を確証しています。
どうもビデオでは足元をすくわれないために、はっきりとは言っていないのですが、例の「黒い砂」の中にホットパーティクルが含まれていることを示唆しているように思います。この黒い砂は東京でもいたるところで発見されており、この中に含まれる可能性のあるホットパーティクルの危険性を知れば、事故当時高濃度のプルームが流れて来て、呼吸で体内に取り込んだ放射性物質の中に、このホットパーティクルは入っていなかったのかと思うと恐ろしいものがあります。現実にガンダーセン教授は、アメリカの大気の中にホットパーティクルを発見していたからです。
私はプルトニウムを吸い込んだことが恐ろしいのだと思っていましたが、どうやら、このホットパーティクルが主役のようです。たった1粒というのは、想像すらしていませんでした。