《ウツギの名前の由来》
「茎が中空の木。つまり空木」が一般的だが、「打つ木」からという説も面白い。木釘として打ち込むので「打つ木」。
ウツギは古くから「木釘」として用いられており、用の材として垣根に植えていた。
桐の箱などは、この木釘を使うと、桐材と一緒に表面をカンナで削ることが出来、季節の変化にも一緒に伸縮する。
※※植物分類と関係なく、茎の中が空洞になっている木は「××ウツギ」と呼ばれ、ユキノシタ科、スイカズラ科、バラ科、ドウダンツツジ科のものがある。
※※ユキノシタ科のものは「ヒメウツギ、マルバウツギ、ガクウツギ、バイカウツギ、ウツギ」である。※ウツギの名前の付く花
《ウノハナの名前の由来》
ウツギの別名「ウノハナ」も、広く知られた名前。卯月(うづき)に花が咲くことから。万葉集では「宇花、宇乃花、宇能波奈」などと用字されている。
《他の呼び方》
コメゴメ:蕾がびっしり付いた状態は、まさに米粒に見える。また、ウツギはホトトギスと友に農耕作業の指標とされていたようだ。
▼△:::::::::::::::::::::::::::: 卯の花腐し(くたし)・卯の花曇り ::::::::::::::::::::::::::::::::▼△
・歳時記で、は5月から6月上旬(陰暦の卯月)にかけて、本格的な梅雨の前触れとして、しとしとと長く降り続く雨(霖雨:りんう、ながあめ)を、「卯の花腐し」という。梅雨の異名かと思っていたが、梅雨前の「卯の花を腐られるほどの長雨」のことをいう。
・この時期の曇り空を「卯の花曇り」「卯月曇り」という。
卯の花を 腐す霖(雨(ながめ)の 始水(はつみず)に 縁(よ)る木積(こずみ)なす よらん児もがも 大伴家
《薬草》 生薬名は溲疏(そうじょ)。葉と果実を用いる。
近年は卯の花の垣根を見かけないが、古代においては、普通に垣根として用いられたらしい。 2009.6.13仙台市「ウツギ」
卯の花と垣根を詠んだ和歌は多い。
★ 卯の花の 咲ける垣根は 白雲の おりゐるとこそ あやまたれけれ
★ うらめしき 君が垣根の 卯の花は うしと見つゝも なほたのむかな
★ うきものと おもひしりなば 卯の花の さける垣根も たづねざらまし
★ ときわかず ふれる雪かと 見るまでに 垣根もたわに さける卯の花
★ 卯の花の むらむらさける 垣根をば 雲まの月の 影かとぞみる
★ うの花の ここちこそすれ 山ざとの 垣根 しばを うづむしらゆき
▼△:::::::::::::::::::::::::::: 《卯の花・垣根・ほととぎす》3点セット ::::::::::::::::::::::::::::::::▼△
万葉集には卯の花を詠った24の歌があるが、そのうち12がほととぎすと共に詠われている。
★ ほととぎす 空に声して 卯の花の 垣根もしろく 月ぞ出でぬる
PCで「ホトトギス」を変換すると時鳥、不如帰、杜鵑の変換候補がでる。またウィキペディアでは「杜鵑、時鳥、子規、不如帰、杜宇、蜀魂、田鵑」の表記が載っている。
「目に青葉、山ホトトギス 初ガツオ」と云われるように、青葉の5月、初夏の到来を告げる夏鳥の代表。
東北では、「ホトトギス」のしのび音を聞いたら「田植え」の時期となる。
5月中旬に日本に来るため、卯の花や橘と共に「あやなしどり、いもせどり、さなえどり、しでのたおさ……」として、歌に詠まれる。
「テッペンカケタカ」「特許許可局」と聞きなしする。
1. 卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ほととぎす)
早も来鳴きて 忍び音もらす 夏は来ぬ
2. さみだれの そそぐ山田に 早乙女が
裳裾(すそも)ぬらして 玉苗植うる 夏は来ぬ
この歌には元歌があり
「山里は 卯の花垣の ひまをあらみ しのび音もらす ホトトギスかな」
加納 諸平(かのうもろひら)
・ 「匂う」は「匂い」ではなく、花がたくさん咲く状態のこと。
・「しのび音」とは、その年に初めて聞く鳴き声(初音)のこと
・「玉苗」は「早苗」のこと。
「ヒメウツギ」2009.5.11仙台市
米粒のような蕾が見える。
ニシキウツギ、ハコネウツギ、タニウツギ、ヤブウツギ
バイカウツギ