(本頁は「富士山似の鳥海山を探して。」の続きである。)
4月7日は秋田のとある山に登っている。
何故、「とある山」と名を伏したのか。
この山には雪割草の仲間(ミスミソウ、スハマソウ、オオミスミソウ)が生えている。
秋田ではこの植物は絶滅危惧ⅠB類になっている。
かつてこの植物は秋田に多かったと言われているが、
昭和時代以降は悪質な園芸盗掘等により、息も絶え絶えになってしまった。
現在は生育地保護の観点からこの花の生える山は山名を伏せる傾向があるようなので私もそうした。
この山は豪雪地帯にあるため、年によっては豪雪で通行止めになり、入山できなかったり、
かと思うと年によっては暖冬で早く咲き過ぎたりと
なかなか花に逢えないでいたが、今回は珍しく開花に立ち会えた。
途中にある岩と樹木の合体風景。
下から望む。
(右上)場所をずらして望む。
この岩の前後の登山道沿いにはオオイワウチワが多く咲いていた。
もうすぐ山頂。
山頂直前でいっとき森林が途切れ、鳥海山が見えた。
再び森林に入って山頂の三角点に到着。
雪割草は山頂から下山路にかけて見ることが出来る。
広葉樹に覆われた急斜面にパラパラと生えている。
この山の雪割草は、秋田県発行の植物分布図では葉の形などからスハマソウとしているが、
分布上、秋田県のものはオオミスミソウとする説もある。
今回見たものは白と薄いピンクが多く、青系は非常に少なかった。
山形県のとある山(こちら)のような青紫の濃いタイプはこの山には無いようだ。
少し下山してから下りて来た稜線を振り返る。
不思議な形の古木
突然、森林が切れて目の前に鳥海山が躍り出る。
伐採地を少し下りてからこの山を振り返ると、
広葉樹林はたったこれだけしか残っていないことがわかった。
スハマソウが絶滅するのは時間の問題かなと思ったりした。
この山で見かけた他の花たち。
シュンラン
ナガハシスミレ
キブシ
キクザキイチゲを2タイプ。
この山の青紫タイプは色が濃いものが多かった。
「出羽丘陵で濃色イチゲとフクジュソウを見た。」に続く。
(本頁は「彼岸の中日に八塩山」の続きです。)
やっと涼しくなったので、9月23日はふたつの低山を駆けてみました。
午前中は既に報告済の八塩山(713m)、午後は保呂羽山(438m)です。
八塩山から望んだ保呂羽山
山麓(上坂部集落側)から望んだ保呂羽山
このお山、今の季節、花は無いだろうと思っていたら、意外にも多くの花が咲いておりました。
まずは登山口の向かい、駐車場の湿地で。
ツリフネソウ
ツリフネソウ
キツリフネ
このアザミは何でしょう。
ナギナタコウジュ
アザミの正体は友人によると、ダキバヒメアザミではないかとのこと。
今回のマップ
登山道を歩き出したら。
ギンリョウソウモドキ
キバナアキギリ
岩割りの木
オオカニコウモリ
オクモミジハグマ
保呂羽山はかつて佐竹の殿様がよく参拝していたと聞きます。
山頂近くには立派な波宇志別神社があります。
波宇志別神社
もうすぐ山頂。
この山の上半分はブナやミズナラなどの天然林に包まれているので、
展望は効かないような印象ですが、
いざ登ると山頂手前から、鳥海山や先に登った八塩山など、南の方の山々がよく見えました。
鳥海山と八塩山(左側)
参考までに2022年4月20日(朝)の同じ眺め。
丁岳方面
甑山方面
下山路では、登る時と違う花が咲いておりました。
ヤマハッカ
トガヒゴタイ?
ツクバネの実
クサボタン
下山途中の岩場。
以上。
(本頁は「鳥海山を見るべく保呂羽山へ。前編。」の続きである。)
保呂羽山に登ると、山頂の30メートルくらい手前で急に南側が開け、
鳥海山がよく見える。
鳥海山はどこから見ても美しいが、
秋田県民歌・第三楽章の冒頭フレーズ、「秀麗無比なる 鳥海山よ」は
この山から見た姿を謳っているのではないかと私は勝手に思っている。
ところで、私は秋田の山歩きの際、
新・分県登山ガイド4 改訂版 秋田県の山(山と渓谷社・発行)をよく参考にさせて頂いている。
同書の保呂羽山の項を読むと、
この山から鳥海山がよく見えるとは全く書かれてなかった。
それどころか、
「保呂羽山山頂・・・眺望は北側の一部のみ得られるだけで、境内と同じく樹木に遮られ、期待できない。」
とあった。
同ガイド書は何故これだけ素晴らしい眺めを見落としたのだろう。
先のガイド書著者が登った時はたまたま曇って姿が見えなかったものと解釈しておく。
ここからは鳥海山の左に八塩山(713m)も並んで見える。
八塩山をアップで。
上写真で八塩山の左の山並みの間から白く微かに見えるのは月山だろうか。
その左側には丁岳山地の山々が連なる。
左端の双耳峰は甑山、右端の高い山が丁岳と思われる。
保呂羽山の山頂は、登山ガイド書通り、樹木に遮られ、景色は何も見えない。
しかし休息するにはいい場所だと思う。
山頂や下山路に花はほとんど無かった。
敢えてアップするとしたら・・・
たぶんタチツボスミレの白花品種か。
次の植物は葉だけでも何かすぐわかると思う。
4月4日、来た時は少し咲いていた(記録はこちら)。
下山路
下山路の傾斜は急だが、ご覧のようにあちこちロープが垂れており、難なく降りることが出来た。
中腹より下は樹木が伐採されており、眺めは好くなるが、
元はとても奇麗な広葉樹林だったのでなんか勿体ない、可哀そうな気分になった。
中腹の伐採地から鳥海山、八塩山を望む。
中腹の伐採地から笹森丘陵を望む。
今日はこれからこの丘陵のかげに有る東光山を目指す。
向かいの山の春紅葉
下山後、坂部集落手前から保呂羽山を振り返る。
保呂羽山を下りた後、東光山に向かった。
途中の旧・大内町でルリソウを見て行った。
この花、秋田では沿岸部の丘陵地帯でときどき出会う。
しかしいつも登る八塩山、東光山、保呂羽山、高尾山といった比較的有名な山には無く、
山あいの人家近く、裏山斜面の雑木林などに生えている。
例年ならば、五月連休頃が見頃だが、
今年はペースが早く、なんと4月4日に開花を確認している(こちら)。
今日見たのはそろそろ終わり近い花だった。
「新緑の東光山」に続く。
先週末は黄砂がひどかったが、今日(4月25日)になったら、すっかり晴れていた。
その証拠に自宅二階からも鳥海山が見えた。
こっ( ̄π ̄;こりゃタイヘンと、鳥海山を眺めるべく、急遽、南方に向かうことにした。
鳥海山を眺めるなら、特に午前中ならば、由利本荘市の国道108号線沿いを走るのが好いのだが、
この日はわけあって国道13号線を南下、
大仙市神岡町から出羽丘陵の山あいに入り、保呂羽山(438m)に向かった。
大仙市神岡町からは保呂羽山(左の低山)と鳥海山が並んで見えた。
このお山は鳥海山の眺めがとても好いお山だ。
実は保呂羽山には4月4日も登っているが、
その日は晴れなのに何故か鳥海山には変な霞がかかってよく見えなかった。
このような鳥海山は残念だった反面、
最近、テレビでやってた鬼滅の刃の登場人物のようで、思わず笑ってしまった。
それは鬼殺隊の頭目、「お館様」とも呼ばれる産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)だが、
ご存じだろうか。
4月4日の鳥海山
今日はその雪辱戦のつもりだ。
保呂羽山の登山口に到着。行く手には桜が開花していた。
歩き出してすぐ、保呂羽山山頂を望む。
原生林地帯に突入したら、ユキツバキも開花していた。
下居堂とすぐ裏の岩場。
昔、女人禁制だった時代、女性は下居堂までしか上がれなかったと聞く。
当初、酷い話だと思ったが、そのすぐ裏の岩場を見ては少し納得したようなそうでないような・・・
岩場に咲いていたナガハシスミレ
一夜盛
岩場をクリアーすると、少しだけ急な登りが続くが、
途中、岩と合体したような樹木と遭遇。
この木は以前から気になっていたのだが、今回は解説板がくくり付けられていた。
「岩割りの木」と言うそうだ。
岩割りの木と解説板
あと少し登ると、立派な波宇志別神社が山の上に有った。
波宇志別神社。昔、佐竹の殿様がよく参拝したとのこと。
境内に生えていた草たち。
サイハイラン
シャガ
ムラサキヤシオが目立つようになって来た。
山頂はもうすぐだ。
「鳥海山を見るべく保呂羽山へ。後編。」へ続く。
(本頁は「今年は少し早めの八塩山。(2023年4月4日)」の続きです。)
4月4日は八塩山(こちら)に登る前後、近くの出羽丘陵のあちこちを駆け回った。
標高は100mから400mくらいと低い。
キクザキイチゲ
最初に登ったとある低山は一部希少植物もあるため、山の名を伏せさせて頂く。
今年は季節の進みが早く、ミスミソウはもう終わり間近だった。
とある低山
林道の途中には残雪
オオバクロモジの蕾
オクチョウジザクラ?
痩せた稜線の登山道は無雪で、既にオオイワウチワが開花していた。
オオイワウチワ
山頂部でミスミソウの咲き残りを見つけた。
ミスミソウ
ミスミソウ
コキンバイ
ここのミスミソウは白やピンクばかりで庄内地方のように青紫系は無かった。
この山は不思議とシュンランが豊富だった。
シュンラン
バッケ
下山後、山あいの土手斜面にフクジュソウの群生を見つけた。
人家に近いところなので、もしかしたら植栽が広がったものかもしれないが、みごとな群生だった。
フクジュソウ
八塩山から下山後の帰り道、
旧・大内町の山あいの道端でキクザキイチゲを多く見かけた。
花色は白よりも紫系が多く、ご覧のように濃い青紫の株も有った。
キクザキイチゲ
ルリソウは例年ならば秋田では四月下旬に咲くものだが、今年は早くも開花していた。
こんなに早いのは初めてだ。
今回の出羽丘陵、最終的には蒼い花が印象に残った。
以上。