カタバミというと、庭に生えるしつこい雑草のカタバミを思い浮かべてしまうが、
この仲間は秋田や岩手では山にもよく生えている。
ただし雑草のカタバミと違い、花色は白で、花の径は3~4センチとでかく、なかなか見ごたえがある。
2017/05/04 西和賀町にて。
2021/05/04 男鹿三山にて。
2021/05/04 男鹿三山にて。
2019/05/14 男鹿三山にて。
2021/04/21 男鹿三山にて。
2011/05/12 西和賀町にて。
2020/05/08 男鹿三山にて。
この花はずっとミヤマカタバミ Oxalis griffithii だと思っていた。
ところが今回、ブログに取り上げる関係で、日本の野生植物に関しては、最新の情報が載っている
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)を確認したところ、
意外な記述が有った。
同書には、ミヤマカタバミの分布域は本州(東北地方南部から中国地方)、四国で海外は中国、ヒマラヤとあった。
以上、6枚の写真は岩手の西和賀町や秋田の男鹿三山で撮ったものである。
岩手や秋田では、他の山でもこのカタバミがごく普通に見られる。
ところが岩手や秋田は東北地方ではけっして南部とは言えないだろう。
するとこれらの花はミヤマカタバミではないと言うことになる。
だとしたらこのカタバミの正体は何だろう。
心配になり、手持ちの秋田県発行(望月陸夫・編)、秋田県植物分布図を確認したところ、
男鹿も含めた秋田県内にはミヤマカタバミが広く分布することになっていた。
たぶん改訂新版・日本の野生植物(平凡社)の「東北地方南部から・・」の記述は
うっかりミスではないかと私は思う。
次の二枚のカタバミは亜高山帯で見かけたものだ。花の径は2センチ弱と小型だ。
これはコミヤマカタバミ Oxalis acetosella で間違いないだろうと思う。
2015/06/21 秋田駒ヶ岳にて。
2021/06/07 三ツ石山にて。
青森市に住む友人から、
近くの梵珠山(468m)には大きなピンク色の花を咲かせるカタバミが生えていると聞いた。
是非見たいものだと思っていたが、2017年5月9日に訪ねる機会を得た。
これは花の径も大きく、各地で報告されているミヤマカタバミのピンクタイプかと思ったが、
土地の皆さんはヒョウノセンカタバミ Oxalis acetosella var. longicapsula だと言っていた。
花色以外はどこがミヤマカタバミと違うのだろうか。
最後に秋田市の我が家の庭に咲くピンク色のカタバミを。
これは園芸通販で取り寄せたミヤマカタバミのピンク品種だ
(別の山草屋で買った白いミヤマカタバミも一緒に植えている)。
当初、小鉢に植えて日陰地に置いていたが、
二、三年したら、
近くに置いてある他の鉢(エビネやギボウシを植えた大鉢)からも次々と咲き出した。
これらはけっして植えたものではない。
勝手にタネを飛ばして増えたものと思われるが、
何故だろう。地面には生えず、鉢の中からだけ芽を出して来る。
カタバミの仲間は山のものもやはりよく増えるんだなと感心した。
以上。
まちがいないコミヤマカタバミを多く観察したのは尾瀬ですが、花色は白~桃色とバラエティに富んでいて、色は気にしないほうがよいように感じます。
先日は分布で安易に決め打ちしてしまいましたが、立ち返って検索表で確認する必要があろうかと感じています。「日本の野生植物」は手元にないのですが、WEB版「神奈川県植物誌2018」によると、
○カントウミヤマカタバミ(ミヤマカタバミの変種。母種との違いは葉下面の毛が少ないこと等なので、ミヤマカタバミも共通のはず)
根茎は肥大し、葉柄基部は密集して残り、小葉の角は鈍形…
○コミヤマカタバミ
根茎は肥大せず、葉柄基部は密集せず、小葉の角は円形…
とあって、根茎の違いがいちばんの特徴のようです。山歩きでは掘り起こしはなかなかハードル高いですが、モヤモヤの解消には数の多いところで確認する必要があるように思います。なお、同誌はコミヤマカタバミの分布を「北海道,本州(中国地方を除く),四国,九州」としています。
個人的には、ハート形の葉の角が丸っこいのがコミヤマカタバミ、尖りぎみなのがミヤマカタバミ、というのも区別点になるように思っていて、東北では未確認ですが、新潟県ではこの特徴でミヤマカタバミと見当をつけたケースがありました。
しかもわかりやすく丁寧なコメントに感謝申し上げます。
引き続き観察を続けて行きますので、よろしくお願い致します。