モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

男鹿三山の花図鑑(1)初めに

2021年02月18日 | 男鹿の花図鑑

花図鑑は鳥海山(こちら)に続き、どの山にしようか迷った。
当初、月山や焼石、早池峰・・・と思ったが、いずれも調査が十分とは言えない。
男鹿三山ならばここ数年、雪の無い期間は月に一~三回のペースで訪ねている。
樹木やシダ、イネ科、スゲ類以外の草花ならばほぼ網羅出来ている感が有った。
よって今回、作成してみることにした。


男鹿三山とは、秋田県男鹿半島にある低山で、

北から、真山(565m)、本山(715m)、毛無山(617m)の三山の連なりを言う。
のっぺりしてどこが山頂かわからない毛無山の代わりに寒風山を男鹿三山に入れる説もあるが、
本頁では真山、本山、毛無山で行くことにする。

男鹿半島には、他に寒風山、目潟などの火山もあるが、男鹿三山の方は全て非火山で、南北に連なっている。

2019/05/23 東側(なまはげ大橋)から見た男鹿三山。左から毛無山(617m)、本山(715.0m)、真山(565m)。



2014/03/23 西側(加茂青砂付近)から見た本山と毛無山。
 


男鹿三山の東側は比較的緩やかで大部分がスギの植林地になっているが、
日本海に面した西側は勾配が急で、原生林が多い。
西側斜面の海岸近くはカシワなど、上の方はブナやシナノキなどの落葉広葉樹林に覆われ、
山頂部は強風で矮性化したブナやミズナラの林に覆われる。
本山、毛無山の山頂部は自衛隊のレーダー基地になっており、山頂を踏むことは困難だ。
更に希少植物を保護するため、毛無山山頂部の西側斜面は歩道以外、立ち入り禁止になっている。

この山域は不思議と植物の種類が多い
またここでしか見られない固有種が複数有るし(オガアザミ、トガアザミ、オガコウモリなど)、

ここで最初に見いだされ、命名された種類も幾つかある(トガヒゴタイ、デワノタツナミソウなど)。
これはたぶん島として孤立していた期間が長く、その間に種分化が進んだ結果と思われるが、
チョウセンキバナアツモリソウ Cypripedium guttatum の存在は不思議だ。


2019/05/23 チョウセンキバナアツモリソウ。男鹿市北浦真山の特別栽培地にて。


2020/06/01 特別栽培地にて。                      2020/06/01 特別栽培地にて。
 



このランは北半球(ユーラシア大陸や北米大陸)に割と広く分布しているのに
日本国内の産地は毛無山オンリー

一時期、盗掘でその存続が危ぶまれたため、
平成11年、生育地には厳重な立入り防止柵(鉄条網)が整備され、
その後の一般人の立ち入りは事実上、不可能となった。
代わりに令和元年以降、
真山の特別栽培地が一般公開され、その姿を見ることが出来るようになった。


男鹿の名花とされるオオサクラソウも変わった分布パターンだ。
何故このようになったのか、理由はまだわかっていない。
男鹿三山はこと植物に関しては謎が多く、面白い山域だ。


秋田の多くの低山では、春の一時期を過ぎると、花が非常に少なくなるものだが、
男鹿三山は春はもちろん、初夏以降、秋まで切れ目なく何がしかの花が咲いている。
こんな場所は秋田では他に無い。花好きには魅力的な山域と言える。
個人的には、東北では岩手の早池峰山と並んで、珍しい植物の宝庫ではないかと勝手に思っている。


2019/10/20 
矮性化し、あがりこ状になったミズナラ(ミヤマナラとの説も有る)。毛無山の山頂部にて。



2020/05/22 オオサクラソウ Primula jesoana



2017/03/12 フクジュソウ。早春の男鹿を代表する花。
 


2019/06/15 デワノタツナミソウ  Scutellaria muramatsui。男鹿で発見された花のひとつ。



本図鑑の花の掲載順はおおむね、開花が早いものからとしたが、特徴的な一部の花(実)は複数回登場させている。
植物名の同定にあたっては、既存の野生植物関係の図鑑以外に、
手持ちの古書、工藤茂美・著、「男鹿半島の花」(加賀谷書店・刊)(絶版)
を参考にさせてもらった。
何か間違い等にお気づきの方は遠慮なくご指摘頂きたい。


次は「(2)早春編



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