(本頁は「男鹿三山の花図鑑(1)はじめに」の続きです。)
男鹿は対馬暖流の影響も有り、春が来るのがすこぶる早い。
三月上中旬、ここにフクジュソウを見に行くのが、ここしぱらく慣例になっている。
この時期、秋田の内陸部はまだ分厚い雪に覆われており、フクジュソウが咲くのは四月下旬以降だ。
男鹿ではそれよりひと月以上も早く咲くことになる。
秋田の春は男鹿からやって来ると言っても過言ではない。
フクジュソウ Adonis ramosa
男鹿のフクジュソウは園芸盗掘が祟り、一時期は減ったが、最近は回復傾向にあるように感じる。
雪の少ない年は二月中に咲き出すこともある。中腹の沢筋では遅れて四月以降に咲き出すものもある。
2018/03/17 フクジュソウ
ナニワズ Daphne jezoensis
ジンチョウゲ科の小低木。男鹿ではフクジュソウと並び、早くから開花する。
戸賀湾周辺の海岸林の群生はみごとだ。
2020/03/25 五社堂の参道、999段の石段 2017/03/17 ナニワズ
キクザキイチゲ Anemone pseudoaltaica
秋田では最も量が多いスプリングエフェメラルだと思う。花色は白と青紫があるが、男鹿では何故か白が多い。
山麓では三月中から咲き出すが、毛無山山頂部では五月に開花。
スプリングエフェメラル(春の妖精)なので、花後、実が付くと、葉は融けだし、初夏には消滅する。
2018/03/27 キクザキイチゲ
アズマイチゲ Anemone raddeana
前出のキクザキイチゲによく似ており、場所によっては混生するが、
葉の形や萼弁裏側がピンク色を帯びる点などで識別する。
キクザキイチゲと較べると、数は少なく、人家付近に限定的な傾向がある。
ミチノクエンゴサク Corydalis orthoceras
後出のエゾエンゴサクに較べると、とても華奢な印象。
秋田では非常に多いスプリングエフェメラルだが、男鹿ではあまり多くない。
2018/03/27 アズマイチゲ 2019/03/17 ミチノクエンゴサク
キバナノアマナ Gagea lutea
秋田では重要なスプリングエフェメラル。男鹿では山麓の人家周辺に多い。
エゾエンゴサク Corydalis ambigua(オトメエンゴサク Corydalis fukuharae )?
名称については二説有り、個人的にはいずれとすべきか迷っている。
男鹿毛無山では山麓の長楽寺の参道沿いに多いが、中腹の道端や山頂部オオサクラソウ群生地でも少し見かける。
花色はコバルトブルーのほか、やや紅味を帯びるものや薄い紫も有る。
2011/04/13 キバナノアマナとエゾエンゴサク?。この年は大雪で開花が遅かった。
2011/04/13 キバナノアマナの群生 2012/04/15 エゾエンゴサク?のアップ。
2012/04/15 エゾエンゴサク?の群生。
キクバオウレン Coptis japonica var. anemonifolia
オウレンの仲間は岩手ではセリバオウレンをよく見かけるのに対し、
男鹿をはじめとした日本海側の山ではキクバオウレンばかりのように感じる。
キツネノカミソリ Lycoris sanguinea
五社堂の下や戸賀湾など海岸沿いの山林に多い球根植物。
カミソリのような葉は早春に出て初夏には枯れる。花は葉が無い時期、真夏から初秋にかけて咲く。
スイセンやヒガンバナ同様、有毒植物なので葉を食べてはいけない。
2019/03/17 キクバオウレン 2015/03/15 キツネノカミソリの新葉
ちょっと気になる芽出しを追加。
2016/03/27 アオヤギソウ?の芽だし 2016/03/27 ギョウジャニンニクの芽だし
男鹿の山林にはギョウジャニンニクがとても豊富だと聞いていたが、私自身はあまり見たことが無い。
過度の山菜採りで激減したのかもしれない。
なお同時期、アオヤギソウ(シュロソウ)?も芽を出す。
ギョウジャニンニクとよく似ているが、こちらは葉の筋が顕著だ。有毒植物なので取り扱いは慎重に。
2016/03/07 アキタブキ Petasites japonicus subsp. giganteus
2019/03/28 ヒメアオキ Aucuba japonica var. borealis
早春に見かけるキノコの仲間を二種類。
2018/03/27 ベニチャワンタケ Sarcoscypha coccinea
2016/03/27 シロキツネノサカズキモドキ
Microstoma floccosa var. macrospora
早い年にはカタクリが三月中から咲き出す。この花が咲くと男鹿は一気に陽春モードになる。
2020/03/31 カタクリとキクザキイチゲ
次は「(3)陽春編」。
男鹿に限らず、県内のフクジュソウは・・・
いやランの仲間も含めて盗掘されっぱなしでしたね。
私の勝手な推測ですが、
私より二十歳以上、年上の方々(85歳以上と言うことになりますか)の中には
山や野に生える植物は盗っても罪にはならないと思ってらっしゃる方が多く、
それを現場で指摘すると逆切れされる方も多々でしたね。
そういう方々が段々山を歩かなくなると同時に
一時絶滅しかけていた花も復活しつつあります。
花の絶滅存亡はこういう方々の絶滅?(´π`;)☆\バキ と連動(反比例)しているようです。
それはさておき昨年は暖冬だったので男鹿は通年で歩けました。
今年はこの通りの天候なので花は遅めに推移しそうですね。
私も毎年、男鹿へカタクリと福寿草を見に行ってます。
以前は、袋を持った人と行き会って、上に行って見たら
あちこちに穴があいてました。きっと盗掘だろうと。
昨年は、とてもたくさん咲いて、いたので嬉しかったです♪
男鹿の山は、花がたくさんで、宝ですね~♪