南のまち、と森の端

南九州の一隅からちょっとした日常の出来事や思いを綴ります。

ピンクがかったムラサキシキブ

2022-08-21 16:24:09 | 園芸

宮崎の家の片隅に湧水町から移植したムラサキシキブの小さな木があります。元来、山の中に自生する1-2メートルになる低木だそうです。そういえば以前ブルーベリーを栽培していたときに、野鳥のフンに混ざっていたのか木の間からムラサキシキブが生えているのを発見したことがあります。「源氏物語」の作者・紫式部をイメージすることからこの名がついたといわれるムラサキシキブの実の紫色がなんとも日本的で美しく、好きな植物の一つ。

宮崎の自宅にあるムラサキシキブは青い実をたくさんつけていて、毎日のようにながめていますが、一部の実がピンクがかった薄紫色になり、「やがてきれいな紫色になるよ」と教えてくれているようです。
暑さが続き、今またコロナの流行で何か落ち着かない日々ですが、自然は確実に秋に向かっているんだな、とあらためて教えられたような気がして、心が少しさわやかになりました。みんな元気でこの暑さを乗り切ってほしい、と思ったことでした。

ピンクがかったかわいい実をつけたムラサキシキブ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カルピスの味

2022-08-12 14:56:57 | 日記

きょう8月12日は、私にとって記念の日なのです。もう昔の話になりますが、弟の祥月命日にあたります。以下の文はもう6、7年前に書き、文中のきりんさんに送ったところ、彼女のフェイスブックで紹介されました。きょうお墓参りをしたのを機会に、自分のブログでも掲載したいと思います。まだ戦後の雰囲気が残る時代に、こんなこともあったのだ、ということを残したいと思います。一人の子どもが確かに生きた証しに。                      

カルピスの味
 ある女性のコンサートに出かけました。映像を映しながら自らが作曲した歌を中心に歌うきりんさんのコンサートでした。やさしさをたたえた透明感のある歌声はしみじみと胸を打つものがありました。
 その半ばで「七夕さま」の歌のときにスクリーンには子どもの「水道からカルピスが出てきますように」と願い事を書いた短冊が大きく映し出されました。とてもかわいらしい、ときりんさんは受け取っているようでしたが、私はこの写真を見るなり、胸が熱くなり思わず涙をこぼしてしまいました。(たまたま7月7日は「カルピスの日」なのだそうです) 

 私には弟が一人いました。私が高校1年生のとき弟は小学5年生でした。その夏休み、弟を突然の病で亡くしました。高熱にうなされていたある日、弟は「カルピスが飲みたい」と言ったのです。親からお金をもらい買いに行きましたが、お金が少し足りずに、結局サイダーを買って帰りました。「カルピスが飲みたかったのに」と言った弟はやがて亡くなりました。昭和34年、世の中全体がまだ貧しい時代ではありました。
 なぜカルピスを飲ませてやれなかったのか、なぜ直ぐに買い直しに行かなかったのか。他人からみれば何の変哲もない話なのに、私には後悔の念となって未だに強く残っています。
 弟が死んで以来、私はカルピスを一度も飲んだことはありません。あの甘酸っぱいさわやかな味は忘れていないのに。
 きりんさんのコンサートに出てきた短冊を書いた子どもは、どんな思いで笹の枝先につるしたのでしょう。そんなことを思いながら、また泣けて仕方ありませんでした。
 7年ほど前、弟の50年忌をお寺で家族だけで営みました。もうこれで弟がこの世に生きたことすら忘れ去られてしまうのか、とやりきれない気持ちになりました。
 私は、カルピスを飲ますことが出来なかった悔しい思いは死ぬまで持ち続けるでしょう。そして、私が生涯を終えるとき、カルピスを所望して飲み、おいしかったよ、と弟に報告することができたら‥そんなことを思っています。もし許されるならば、私の一番好きなモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を聴きながら。                       

☆宮崎市を拠点に音楽でのボランティア活動を積極的に行っているきりんさん。2015年7月9日、宮崎市民プラザ・オルブライトホールで第1回「論語を学ぶ会」の第一部としてコンサートが開かれました。 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする