旅券(りょけん)〓パスポート保有6人に1人どまり 2024年に発行されたパスポート数は382万冊と低迷
外務省は20日、2024年に発行されたパスポートは382万冊だったと発表した。
同年末時点で有効なパスポートの累計は2164万冊で、保有率は17.5%だった。
4〜5割の韓国や米国を大きく下回る。円安による渡航費用の高騰や若者の意識変化などが背景にある。
発行数は23年から30万冊の微増だった。新型コロナウイルス流行前の19年が451万冊だったのと比べると70万冊ほど減っている。
国内で取得されたパスポートを男女別でみると、男性が4割強、女性が5割強となった。年代別では60歳以上で1割ほど、30歳未満の若者層がおよそ5割だった。
使用可能なパスポート数を人口で割った保有率は13年の24%から低下傾向が続き、21年に2割を割り込んだ。
➡︎コロナ禍からの正常化が進んでも海外旅行市場は恢復していない。
日本のパスポートはビザ(査証)なしで渡航できる国と地域の多さから「世界最強」ともいわれる。英コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズの「パスポート指数」は日本が190で2位につける。
外国訪問の選択肢が限られる途上国や新興国の人たちに比べ恵まれた状況にもかかわらず、日本人のおよそ6人に1人しかパスポートをもっていない計算になる。
取得低迷の要因として挙がるのが経済的な理由だ。円安や渡航先の物価上昇を受け、海外旅行を余暇の選択肢から外した人が増えたとみられている。留学費用も高騰している。
意識の変化もある。JTB総合研究所の早野陽子主席研究員は「コロナ禍で海外に行けず、国内の観光地でも十分楽しめると分かったことも影響したのではないか」と語る。
「アジアの新興国と比べても若い世代が海外での活躍を目指す意識が低い傾向にある」とも指摘する。学生らが国際感覚を身につける機会の減少による国際競争力の低下に懸念を示す。
米国際教育研究所(IIE)によると、23〜24年度に米国の大学などに在籍した日本人はおよそ1万4000人で、コロナ禍前の18〜19年度より22%減った。
外務省が統計をとり始めて以降、最も新規発行数が多かったのは1996年の638万冊だった。10年間有効なパスポートの発行が始まった時期だ。バブル期の90年前後は400万冊を超える規模だった。
日本政府観光局(JNTO)によると24年に3687万人の外国人が日本を訪問した一方、日本人の出国は1301万人だった。コロナ禍前の半分ほどの水準にとどまっている。
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