なんにもないこと

このごろ、なんにもないことがどれだけ大事か、それを強く思います。
音楽活動をする自分にとっても、子育て、子どもが育つということにおいても。

自分の目的や目標に向かうとき、いろんなアプローチの仕方があります。
誰かが本に書いているやり方、身近な先輩や先生に教わる方法・・・。
ともすると、自分流のアプローチの仕方だと遅々として進まないとか、無駄だとか、拙い場合があります。
でも、そんな拙さからこそ、後で振り返れば、一番学ぶことが多いと思うんです。
自分にしかないやり方が自分を一番高めてくれる、成長させてくれると思います。

自分の子ども時代を思い出しても、空想から始まったことって、本当に素敵なひとときでした。
だから、小さな子どものおままごとひとつ見ても、こんな時間が一番ゆたかなんだよな・・・と、しみじみ思います。
理屈じゃなく、本当にしあせなうつくしい時間だと思うんです。

みなさん、だれでも幼いころ、空想遊びをしたと思います。
ごっこ遊びも基地遊びもそうです。

私は、そんなに遊びがうまい子ではなかったけど、歌を通して自分の世界を広げたことはたしかです。

幼稚園ぐらいだったか、いつどこで覚えたのかわからない曲の美しさに生き生きする心もちを覚えた記憶があります。
四季のうた、なみとかいがら、ちいさい秋、ペチカ・・・そのころはこんな歌が好きでした。

小学生になり、田んぼの真ん中の小学校、いろんな歌が百も載ってた小さな本が私のお気に入りでした。
前後に人がいないことを確認して、田中の一本道を大きな声で歌って帰りました。
もっと歌いたいときには、何往復もしました。
ドナドナ、おぼろ月夜、エーデルワイス、竹田の子守唄・・・
高学年では聖子ちゃんからアイドルへと変わり、その後、自転車通学になってもニューミュージックなど、ずっと歌いました。
思春期には行きや帰り、泣きながら歌って通学したこともあります。
なんにもない、だれもいない田んぼという場所が私に歌う時間をくれて、中学生までは友だちの少なかった私の、心を満たしてくれました。
歌が私を支えたり、心を整えてくれたりしました。

なんにもない場所には、空があるんです。
無いことが有るになるわけです。
ないから生み出されて行くわけです。
ないって、本当に素晴らしい始まりなんです。
(子どもにゲームを与えて、ないという時間を奪ってはいけない・・・。)
なんにもない地平線が見える場所に生まれたことに感謝した時期がありました。
きっとこの空みたいにうつくしい未来が待ってるんだと、十代の私には思えたからです。

このごろ、箏を弾いてみんなで童謡を歌う会などを開くと、みんなで歌えるしあわせを感じます。
そして、そんな歌を今の子どもたちはどれぐらい知ってるんだろう・・・と思います。
来月には赤い鳥が歌っていたという「赤い花　白い花」を歌おうと思っています。
この曲をどこで覚えたのか、全然わかりません。
流行ってたころには生まれてないし。
そうやって、どこで覚えたのかわからないのに頭に、心に残って行くのが歌の素晴らしさです。
ある絵本に合わせて、「草原情歌」もいつか歌おうと思っています。
これだって、どこで聞いたのか、全然記憶にありません。
母が時々歌っていたこともありました。

シンガーソング・ライターになりたいと宣言して、歌を歌う活動ができたらうれしいと思っていましたが、忘れられて行きそうな曲を一度でもいいから、子どもたちの耳に通してもらいたいと思うようになりました。
子どもにとっては、自然と同じくらい音楽は大事なものです。
理屈はわからないけど、私はそう思います。

道具がありすぎて、新たなものが生まれにくくなっている。
大人も子どももそうだと感じます。
なんにもないことを大事に、自分流の音楽活動をまた、夏休み明けからして行きます。
秋には駅前コンサートの応募準備や、もし私を必要として下さる方がいたら、その方たちのために箏を弾きます。
大人になっても、おばさんになっても(笑)、ご縁って本当に人生を左右して行きますよね。
しあわせなご縁のつるが、どんどん伸びて行きますように・・・☆

写真
実家の前の公園、子どものころとは木も遊具も様変わりしているのに、昔そこにあったねむの木の種が残っていたのか、生えていることをこの夏、発見！
暑い夏にねむの木にいろんな空想を乗せたことがなつかしい・・・。

そうそう。今度歌う「赤い花　白い花」、情感たっぷりに歌おうと思っていたけど、
山本潤子さんの淡々と歌う歌が、はないちもんめ、などのわらべうたのような郷愁を感じさせてよく、私もその歌い方を少し取り入れて歌ってみるつもりです。
掲載させていただきます。
http://www.youtube.com/watch?v=fgLMAjH2Fh4