卒業式を間近に控えたある日、ファーストフード店で友達がきれいなイラストを見せてくれました。「俺、この人の絵が好きなんだ」という友人のフライヤーには二人が手にしている脂ぎったハンバーガーとはおよそ似つかわしくない人物画が描かれているのでした。その独特の画風は、僕が見たフライヤーがゲームの広告だと気付かせるまでに数日を費やさせることになります。今にして思えば
天野喜孝氏の手による
『ファイナルファンタジー』のアートワークとの出会いでした。
偶然の出会いから何年もの時を経て、今や携帯電話でも『ファイナルファンタジー』を楽しむことが出来ます。何度か手持ちの携帯電話で
ファイナルファンタジー モバイルに登録はしてみたものの、画面のフォーマットがオリジナルと異なるせいかどうも興が乗らず、中途半端なところで退会を繰り返していました。少なくとも月額500円の初期投資が必要で、大してゲームを楽しむことなく延べ何ヶ月も登録し続けていた訳ですから、
PSPの移植版を購入した方がどんなにお得だったことでしょう。そんなことを元旦に思い立ち、早速近くの家電店に足を運ぶことにしました。一年の計は元旦にありといいますが、先が思いやられるスタートですね。
正直、
PSP版『ファイナルファンタジー』にはあまり期待していませんでした。「所詮昔のゲームの焼き直しなんだし」という感覚ですよ。ただ、いざPSPにUMDをロードして電源を入れてみると、予想を遙かに上回る感動が得られました。
当たり前ですが、昔とはハードウェアが違いすぎます。画像にしてもBGMにしても、オリジナルを踏襲しながらも現代のハードウェアスペックを活かした作りとなっていて、同じタイトルとは思えないクォリティです。フィールド画面にしても2Dながらも立体感のある絵作りになっていますし、キャラクタの描写もドット絵のようで精緻な描写に変わっています。音質の良さなどはオリジナルと比べものになりません。
また、原作の据え置き型ゲーム機を前提としたものとは異なり、携帯型ゲーム機で小刻みに遊ぶことを考慮してか、ゲームデザインも変更されているようです。セーブ機能も便利ですし、キャラクタがレベルアップするペースも昔に比べて早くなっているようでテンポ良くゲームを楽しむことが出来ます。まさに僕のようなオッサンが昔の思い出に浸るにうってつけですね。
もしPSPがありながら久しく『ファイナルファンタジー』をやっていない方は是非お試し下さい。