昨日、旧新津市にある新関小学校を見学してきました。
新関小学校は、新潟市で一番古い木造校舎の小学校。
現存する校舎は昭和13年竣工で築72年も経っています。
それが、今秋に解体される事になりましたので、最後の見学会を建築士会の新津支部の方々が企画して下さいました。
外装は、何度か張り替えされていると思いますが、シルエットは正に昭和。
ただし、昭和なんですけど、当時の近代建築の様式を取り入れた外観はとてもモダンな印象です。
ちなみにこの校舎の建築費は¥67,700だったそうです。1か月のアルバイト代みたいな・・・。
72年間、毎日生徒が磨き続けた廊下はピカピカに輝いていて、もちろん傷や補修の跡もあるんですけど、古いという印象よりは趣のある印象の方が強いです。
この辺が無垢材の良さですね。
この使いこまれて丸くなった柱や額縁どうですか。
ナチュラルユニバーサルデザインとでも命名しますか。
黒板のチョーク入れもかわいらしいです。
なぜか床の間があります。
柱は木造、小屋組みのみ鉄骨で、母屋とそれより上の屋根下地は木。
構造がデザインとして成立していますよね。
見せる構造は、どんな意匠デザインよりも勝っていると思います。
私も小学校の1,2年と中学校の1年を木造校舎で過ごしたので、その頃を思い出すとても良い見学会でした。
解体は残念ですが、生徒はいつまでも忘れない事でしょう。
色々な問題があるけれど、こんな建物が取り壊される事は悲しいです。
玄関横の深い陰をつくる銀杏?や今も進行中の削れた額縁、凹んだ真鍮の戸手・・・。
この写真当ブログにも使って良いですか?なんか訴えたいそんな気にさせるショットです。
学校は地域の避難所でもあるので、老朽化に伴う建て替えはやむを得ないと思いますが、本当に残念でなりません。
ちなみに「新校舎も木造で」と地域からの要望が強かったみたいですが、行政と折り合いが付かず非木造で竣工検査を控えている状態でした。但し、パーツ単位で材料を移設したり、外観デザインを継承したりと旧校舎のオマージュは誰もが持っているようです。
また、この建物の印象もとても強いものでしたが、それと同じくらいに生徒が全員笑顔で「こんにちは」と挨拶をしてくれたのは、とてもうれしく、これも木造校舎のおかげかなと、勝手に美化して喜んでいました。
画像ですが、使っていただいて構いません。それぞれが重要文化財にはない、とても素朴で、ありのままの形だと思います。
これが木の良さですよね。