介護保険 生活援助(訪問介護)の時間区分変更で利用者もヘルパーも大変!
4月から「生活援助」(掃除・調理・洗濯など)時間削減
「60分未満と60分以上」→「45分未満と45分以上」
「60分程度と90分程度」→「20~45分程度と60~70分程度」に
介護保険は介護報酬の改定で4月からヘルパーが買い物や掃除・洗濯・調理などを行なう「生活援助」の「時間区分」が変更されました。基準時間は3月までは「60分未満」と「60分以上」で分けていましたが4月からは「45分未満」と「45分以上」になりました。
「60分→45分に短縮された」 Aさん(女性)はこれまでヘルパーさんに60分で生活援助サービスを受けていましたが、45分にしなければならないと言われ、お風呂の掃除を削りました。
Bさん(男性)は今までどおり60分だが利用料が上がるのではないかと心配しています。
「90分→60分に削られた」
実際の生活援助の時間は3月までは「60分程度」と「90分程度」でした。ところが4月からは「20~45分程度」と「60~70分程度」になりました。Cさん(女性)は90分だった生活援助が60分に削られました。
利用者の自立支援に大切な生活援助を削ってはならない
――ある介護福祉士は語ります。
「ヘルパーは利用者の身体状況や気持ちの変化を確認します。時間が減るとそうしたことが置き去りにされてしまう」「一緒に調理をするのも利用者の自立支援ですが時間がかかるためできないのは心苦しい。」
介護保険の給付抑制
生活援助の時間はなぜ減らされたのか・・・
それは国が介護保険の給付を抑制しようとしているからです。
「90分程度」がなくなったため「60~70分程度」に減らす事業者が出ています。
「60分程度」を「45分程度」に減らす事業者もいます。「45分程度」を午前と午後の2回行い「90分程度」を維持する方法もありますが利用料は上がります。
厚生労働省「従前時間は可能」
4政令市 「一律短縮は指導」
全国から利用者からの苦情が広がり厚生労働省も「従前のような60分程度や90分程度の生活援助は提供できなくなるのか→従前時間の提供は可能」とするQ&A(質問と答え)を出しています(3月16日)。また「ヘルパーの時間が短くなって、掃除ができなくなった」「今までどおりの時間でやってもらったら自費を徴収された」など全国で利用者からの苦情が広がり、わかっているだけで4つの政令市(名古屋、川崎、大阪、広島)が、事業者に、一律の時間短縮や不当な時間制限は「指導」「監督」の対象になるとの通知を出しています。新潟市も「注意」を促す通知を出しています。
川崎市は、一律60分を超える場合の自費徴収扱いは「指導・監督の対象」になると事業者に通知しました。
60分を一律に45分に制限するのは「介護保険制度の基本理念を損なうもの」
名古屋市の通知は、介護報酬改定は「60分や90分の生活援助中心型のサービスが提供できなくなるものではない」と述べた上で60分を一律に45分に制限するのは「介護保険制度の基本理念である利用者の自立支援を損なうものとして不適切」「指導の対象になる」としています。
事業所は報酬カット
政府・厚生労働省は生活援助の介護報酬の上限を「60分以上」2910円から「45分以上2350円に引き下げたままです。これでは「90分程度のサービス」提供は、事業者の持ち出しになります。
国に時間短縮・介護報酬切り下げの撤回を求めていきます。利用者と事業者みなさんのご意見をぜひお寄せください。