1月31日、「2020その先の足立へ 合言葉は、安心・安全。」と題した、足立区の令和2年(2020年)度予算編成のあらましが発表されました。
一般会計予算は、前年度より115億円多い2980億円となり、6年連続で過去最大を更新しました。
これは、綾瀬小学校をはじめとする小学校3校・中学校2校の改築、「江北健康づくりセンター(仮称)」の建設、日本共産党が繰り返し要望し続けてきた、小・中学校の体育館への今年夏までのエアコン全校設置などの投資的経費が増えたことや、新たな認可保育園開設に伴う運営助成費増による扶助費の増加、4月からの「会計年度任用職員」制度の開始に伴う人件費増が主な要因です。
一方、区が積み立てている基金(財政調整基金や特定目的基金など)の令和元年(2019年)度末の見込残高は1740億円となり、前年同時期比で120億円増えて史上最高額を更新しました。
安倍政権が昨年10月に消費税の税率を10%に引き上げてから、家計の消費がいっそう低迷し、新たな消費不況を招きつつあることが明らかになっています。
増税後に発表された各種の経済指標では、家計の消費支出が昨年10月・11月と2ヶ月連続で前年同月比マイナス、内閣府の景気動向指数も直近の11月まで4ヶ月連続の「悪化」、11月の商業販売額は前年同月比6・5%減であり、昨年のスーパーの売り上げも前年比で4年連続のマイナスです。
民間の信用調査機関「東京商工リサーチ」がまとめた企業の倒産統計では、昨年1年間で1千万円以上の負債を抱えての倒産企業件数が11年ぶりに前年を上回りました。
日本銀行が先月初めに発表した3ヶ月ごとの「生活意識に関するアンケート調査」では、個人の景況感も6期連続で悪化しています。
今こそ、足立区が自治体としての責任を果たし、暮らしを支えるための予算措置を図ることが求められますが、今回示された予算のあらましでは、区内の経済状況について「小売業では業況の悪化傾向が若干強まって」いるとしながらも、昨年9月に東京都信用金庫協会が実施したアンケート調査で、「6割を超える事業者が『どちらともいえない』『わからない』と回答して」いることを理由に「現在のところ大きな影響は顕在していません」という、区民の生活実感からかけ離れた認識を示しています。
また、税制改正の影響で令和5年(2023年)度以降、年間149億円の減収が見込まれることや、人件費や公共施設の更新経費の増加が見込まれることから「(区財政は)依然として予断を許さない状況」と財政の厳しさを強調しています
基金についても今後、取り崩しによって残高が減少する見込みであることから、機会を捉えて必要な積み増しを行うとしています。
区は、直営で行った方が経費も安く済む戸籍や国民健康保険、保健所の窓口業務を民間企業に委託する「外部委託」を引き続き行っていくとしている他、「20年は持つ」と言っていたデジタルサイネージ(ビュー坊テレビ)を約2億8千万円かけてすべて更新し、1ヶ所あたり約8万円で実施している児童館の見守りサービスと同様のサービスを1ヶ所あたり54万円もかけて20ヶ所の学童保育室に導入するなど、ムダ遣いを続けていく姿勢です。
こうしたムダ遣いを直ちにやめ、「高齢者への紙おむつ支給の要件緩和」「介護保険料・利用料の負担軽減」「区独自の教職員採用で35人学級の拡大」「学校給食費の無償化」「コミュニテイバスの増便や新規路線開設」などを行うべきです。