今日は、有名な作家先生の書籍が映画化するー…
という事であたしは編集長と共に祝賀パーティーへと足を運んだ。
パーティー開始前の騒がしい会場の中で、あたしはなんとなく緊張していた。
まだまだ新米ではあるが、一応私は雑誌のライターをしている。
そしてあたしはこの仕事をしていて、素敵出逢いもあった。
優しくて、攻められ上手な、彼。 そう、まるちゃん。
彼らの連載のコーナーの担当になったあたしは、何回かの取材を重ねるうちに、まるちゃんに惚れた。そしてまた、まるちゃんもあたしのことを好いてくれたらしい。
そんなわけでこれまでは、何とか周りにはもちろん秘密でやってきた。
が、今回ー…。
なんとまるちゃんが、その映画に主演する事が決まったのだ。すると当然彼も祝賀パーティーには参加する。そしてあたしは、主演のまるちゃんにインタビューをすることになってしまった。今までは、言ってしまえばホームだった。しかし今日はアウェイだ、普段の取材とは雰囲気が違う。世間を揺るがす話題作の主演俳優にインタビューをするのだ。あたしは、怖いのだ。なんらかの形でボロが出てしまうのが。いや、もちろんそんな事は無いとは、思うが…。
「それでは、先生お願いします!」
司会の女性が元気良く先生を登場させる。ああ、司会の女の子クマが出来てる、疲れてんのかなあ、って違うわ。余計な事は考えなくていい、これは仕事だ。
「皆々様今日はお集まりいただきー…」
長い長い、とっても有り難いお話が始まる。
乾杯まで…20分掛かるだろうか、いやもう少し短めにお願いしたい。
しかし、あたしの願い虚しく先生のお話は約30分にも及んだ。
そしてあたしは、編集長と共に挨拶周りをして、まるちゃんへの取材の時間を待つ。
「おお、すみませんね~。」
「いえ…」
「結構道が混んでてね、時間掛かってしもうてー…あ、編集長!今日のスカートむっちゃ似合ってますねー。」
「そうかしら?」
「ええ、ほんまに似合ってますって!なんですのん、その目は…」
「んふふ、まるちゃんは乗せ上手ね。」
「いやいやいや~。」
「はい、じゃあ取材始めましょう。あ、ここからは貴女よろしくね、あたし別の用事あるから。」
「はい、分かりました。お任せ下さい。」
とりあえず、普通に挨拶は終了。沢山の人が彼に向かってフラッシュをたく。その一つ一つのカメラにしっかり笑顔を魅せるまるちゃん。
順調にインタビューは進む。
「おっしゃ、これでインタビュー類は今日は終わりやんな・・・ あー、なんか調子悪いねんなー。」
「え?大丈夫ですか?」
「さっきお腹空っぽやのに、お酒呑んだからな…」
「忙しいですものね。どうしましょう、少し休ませてもらったらー…この後丸山さん舞台に上がらなければならないでしょう?」
「うーん、ちょっと外の空気吸ってきてええかな?」
そういうと、彼はあたしのスーツのすそを軽く引っ張った。
そして小声であたしに言う。
「・・・。」
「お前も一緒に外きいや。」
「は?」
「今なら大丈夫や。」
「無理。」
「誰も見てへんって。」
「…5分だけ。」
「ん、」
彼の言うことなら仕方がない。どうにもこにも、彼には甘い。
ひねくれれば、あたしも外に空気を吸いに行くだけだ。
もわっちい会場を抜けて、外に出る。
たいそうな入り口を後にし、あたし達は外に出た。
「ふう~。ああ、ぶぶ漬け食べたいわ~」
「調子悪いの嘘でしょ、」
「おん、そんなん当たり前やん。こういうスリルも素敵やと思わん?」
「・・・。」
「っふ、なんや今日緊張しとったやろ~?」
「だって、外で仕事するの初めてだし、ボロが出たりして、なんかややこしい事になるのもいやだしー…でも仕事だし…」
「別にそんな気にせんでも大丈夫や。」
「油断禁物!」
「ははは、そうやね。あ、そうや。」
「なに?」
「緊張の解ける魔法かけたるわ~。」
「どんな?」
「はい、目え瞑って?」
「もう…」
「魔法まで321…」
なんとなく分かってたけど…唇に触れた唇。ちゅっ、と音を立てて離れるかと、思ったのにまだまだ御口達はご挨拶したままだ。嗚呼、酸素を忘れたい。でも、あたしは今仕事を抜けてきている身なのだ。駄目よ、駄目よ、駄目よ。何してるの。早く早く早く早く。嗚呼、あたしったらなんていけない子。誰かに見つかったらどうしよう。でも快楽優先?いやいや、仕事仕事。でもやっぱりあたし人間。理性なんかどっか捨てちゃえ。
色々な感情があたしを、取り巻いて消えた。
気付けばあたしは、ホテルの一室に居た。少しの記憶はある。我ながら?熱い夜だったとでも言っておこう。
少しして分かったのだが、どうやら世間的には 過労により貧血を起こした新米雑誌記者を、見つけて救ったまるちゃん、ってことになってるらしい。
もちろん、これは見せかけの嘘であるが。
よく考えれば、あたしはくだらないことに囚われていたようだ。
恋は自由だ。
隣に優しく寝息を立てて、眠る彼の横顔を見ながらそんなことを考えて、あたしはまたまどろみの中へと吸い込まれていった。
*あとがき*
どうもこんばんは、無性に妄想がしたくなったので、妄話として書いてみました。
主人公ちゃんに自らを当てはめて読んでいただくことも出来ましたでしょうかね。
以前読んだ本のフレーズに 「邪悪なくして快楽なし」 という言葉があったのですよ。
そこから妄想してみました。はい。何処までも妄想が広がりますね。
嗚呼、きみくんに会いたいヨウ。でも毎週生声が聞けるなんて贅沢よね、そうよね。あたしは満たされているわ
。ヨウ素の元素記号は確か… I だったわね。
I love YOU!!
では、ばいのばいのばーい!
追記でコメ返です。
みーちゃん∞さんへ。
240秒の「わたし鏡」感想…。本当にあの人(母)って面白い人ですよね。ええ、でも安田君のお陰で今が素敵なようなので…本当に良かったと思いますね~。
ご予約承りました。発送まで少々お時間掛かりますので、しばしお待ちをー…笑
とまとさんへ。
ご予約承りました。そうですね、アポイントメントを取るのには、少してこずりましたが…ええ、承諾してもらえました。ただ彼(あの曲がり角さん)の方の都合により、記事になるのは少し後になりそうです。
優奈さんへ。
ご予約承りました。
ドMな母によるドMなペーパー丸ちゃんの観察及びドSな娘によるドSな村上教官の観察を読んでくださったのですね、有難う御座います。なんだかんだで両極端な者同志は相性が良かったりしますからね~。はい。
那智ちゃんへ。
母は母なりの面白い目線で、映像を楽しむようです。
那智ちゃんも那智ちゃん独自で感じる事が沢山あるでしょう?
さゆきさんへ。
ほんっと彼らってすごいですよね。一時停止をどんな場面でしても、完璧な絵になっているのですからね~。
章ちゃんに対する母の痛い重い想いには、我が母ながら感心します。笑
のゆさんへ。
嗚呼、生の琉我を聞く事が出来なかったのですね。心中御察し致します…。
わたしも近くに来るメンバーよりも、遠くの横山裕を見る派の人間です。まったく歌ってなかったり、ふらふらふらふらしていたり、気まぐれに投げちゅーしたり…遠くても可愛らしいそのひとつひとつの動作を見逃したくはないですもの。
本当にあの琉我は圧巻です。迫力が段違い。全身に電気が駆け巡るようなそんな衝動があたしを突き抜けましたよ…ええ。
カット割だとか、確かに細かく言うと贅沢なのかも知れませんね。でも、応援するものとしてー…希望があるのは、当たり前ですよ~。
長いコメント有難う御座いました。とってもうれしかったですよ。またまたどうぞ。
皆々様、コメント有難う御座いました。花粉症の人かわいそうですね。あたくしは花粉症では御座いませぬ。でも気持ちは分かります。鼻をもぎ取って、洗ってしまいたいでしょう。
というわけで… Luv U ...