親子eighterはじめました。~母はなにわ男子も嗜みはじめました。~

AmBitiousも応援中!真弓のタケ垣にタケ立て掛けたのはタケ立て掛けたかったからタケ立て掛けたのです。

好きになった人がタイプ~懲りないワタシ、なんでやねん!~

2010-11-16 00:48:53 | 妄話
このお話は妄想から生まれた物語です。実在する人物や団体とは無関係です



*はじまり*


♪ Dancin’ to the music,baby  Wanna take you higher ♪


今、お気に入りのバンドの歌が最近の私のアラームだ。

これは一緒に寝ているにはとても不評だ。



おはよう、おはよう。ちょ、お前な~、朝からあのアラーム音は無いやろ~。

どうして?

やかましいやんけ~。

あれ位の感じでテンション上げないと起きられないんだもん。

俺も目が覚めてまうからさ~・・・もっかい寝直すのもな~。

・・・・・・

ちょ、何で無視しとんねん!

自分だけ疲れてるみたいな言い方して。

忙しいねん。

私だって忙しいよ。

何がいな!エイトかて夜泣きもせんと、最近は朝までぐっすり寝とるやん。

そうだけど・・・。

何や、寂しいんか?がはははは!仕事が出来る男を亭主に持ったら、多少の寂しさはしゃあないやんけ!!

ちょっと前までは二人でゆっくり話す時間もあって、疲れた~って甘えたら、頭をナデナデしてくれたのにね。今はもう、まずは、何でやねん!二言目には何がいな!トドメの言葉は知らんがな!!

ほんだら、わしゃわしゃしたるで!

せっかくセットしたのに止めてよ。

なんでやねん!止めてって。お前がしてほしい、言うたからやないかい。

エイトとも遊ばないとアナタの顔忘れるわよ。

ほんでも仕事が忙しくてしゃあないねん。

そのうち、テレビに出てくるゴリラを見てパパって言うかもよ、ね~エイト!

お前、そんなネタどこで仕入れとんねん!朝からもう、お前のしょうもない愚痴に付き合ってる時間なんて無いねんぞ~。

行ってらっしゃい!!

おいおい、まだ行くって言うとらんぞ。

早よ、会社へいってまえ~!!

今日はママは御機嫌ナナメやぞ~、エイト~気ィつけや~。

ウホウホ言ってないで、早よ行け!ボケェ~。



二つ年下のと結婚したのは2年前。

元からラブラブだった訳じゃないけど、子供がうまれてからは私は家事と育児、は仕事で忙しい。

ねえ、エイト。パパみたいな男になっちゃダメよ。エイトは優しくて思いやりがあって・・・ママの理想の男性に育て上げるんだもん!

ママの理想はね・・・・。

これがよくよく考えてみると、私自身も私の理想がどんなタイプなのかが、まだ判らないのだ。

これまで好きになった人は、みんな違うタイプで誰一人として共通点を見出せないのだ。

好きになった人がタイプ・・・それが原因なのか愛や恋では痛い思い出ばかりだ。






*初恋・幼稚園*

私の初恋は幼稚園の年長さんの時。同じクラスのだった。

お弁当の時間に向かい合わせの席になった時の事。

は私のお弁当をじーーーーっと覗き込んでいた。

なあに、どうしたの?

から揚げ、ええな。うまそうやな~。

ひとつなら、あげるよ。

わ~、ありがとう!めっちゃうまい!

そうでしょう!ママのから揚げ美味しいんだから。



ねえ・・・。

ん?

チュッ

さっきのから揚げのお礼のチュウね~!


から揚げの油が付いたままの唇でほっぺにチュウしてきた

ママのから揚げを天使の様な笑顔で食べて、食後にお礼のチュウをしてきたが私の初恋の人だった。

それからは、お弁当の時間になって、から揚げが入っていると私も嬉しかった。

ひとつ、ちょうだい。

いいよ。

それが二人の合言葉になっていた。


夏休み明けの最初のお弁当の時間。

とは違うグループになってしまったけれど、ママはちゃんと私のリクエスト通りに、から揚げを入れてくれていた。


でも、後ろのグループから聞こえてきた合言葉・・・


ひとつ、ちょうだい。

いいよ。

は別の子から、から揚げをもらって、油でベトベトな唇で、その子のほっぺにチュウをしていた。

私の初恋はあっけなく終わった。

ちなみに彼の弟も同じ様に、から揚げをもらってはお礼にチュウをしていたっけ。



*片思い・小学生~中学生*


本当の意味で恋をしたのは、小学校の高学年だった。

クラスというよりは、学校の人気者だった

だれにでも優しくて、ムードメーカーだったは、いつだって皆の中心で笑っていた。

5年生で初めて同じクラスになって、嬉しかったな~。

と同じ係りや委員会はいつだって、彼目当ての女子の希望が殺到していた。

じゃんけんも弱く、クジ運の無い私は、そんなチャンスに恵まれる事もなく、あの日もみんなの輪の中心で笑っているを見ているだけだった。

クラスのお楽しみ会で、ドッジボール大会があった時に彼の投げたボールに当たった・・・接点はそれ位しか無かった。

運動会のフォークダンスも、あと二人という所で曲は終わった。



ただのクラスメートとして彼を思い続けて二年が経って、卒業間近の教室はサイン帳が飛び交っていた。


これ、書いてくれる?

おお、ええよ。いつ俺んとこに持ってくんのか、ずーっと待ってたんやで~。

翌日、彼が書いて来てくれたサイン帳を見てドキドキした。


運動会ではフォークダンスが踊れなくて残念でした。

もしも踊れたら、君の手を一番強く握ったのにな。



私はからのページを誰にも見せる事なく、手提げにしまい込んでそれ以降宝物にした。

同じ中学に入学してからも、は変わらず、その人柄と容姿も手伝ってか益々モテていた。

私はからのサイン帳に特別な思い入れがあり、中学に入ってからもが好きだった。

中学2年の時の宿泊研修の時・・・・

クラスの女子の間で、誰と誰が付き合っているとか、誰が告白したとか恋話で盛り上がっていた。

当然、が誰の事が好きなのかという話題になった時。

アイツの卒業ん時のサイン帳、ウケルよね~。

ああ、あれね!!

フォークダンスの時は、君の手を誰よりも強く握ったよ!

でしょ!?アイツさ、☆★が好きなんでしょう?


☆★は顔は可愛いけど、性格は最悪で同性に嫌われる典型的なタイプの女子だった。

思春期の恋とは不思議なもので、私はこの夜を境に、に対する好意も興味もすっかり無くなってしまった。




*憧れ・高校生*



高校に入学した私は、分かりやすくちょっとワルな先輩に憧れた。

新入生の歓迎会でバンドを組んでギターを弾きながら歌っていただ。

にはファンクラブも存在しており、私は迷うことなくその仲間に入っていた。

体育祭でも文化祭でも仲間たちと一緒にキャーキャー騒いでいるのが楽しかった。

そして、そんな私たちに対して、愛想を振りまかないが最高にかっこいいと思っていた。



バレンタインが近づいたある日の事。

みんなでチョコレートを渡そうかと相談していた放課後。

一人の子が話し始めた。

あの先輩、毎年いっぱいチョコレート貰うから全部捨ててるって噂があるよ・・・。それに他の学校に彼女いるみたいだし。

捨てられるなら、チョコは止めにしようと皆で決めて、抜け駆けは無し!と約束をした。


しかし私は友達を裏切って、抜け駆けをした。

ちょっと後ろめたい気持ちもあったけれど・・・。

中学時代にモテていた女子はみんなこんな手を使っていたし・・・。


私はにバレンタインのプレゼントを渡そうと、一人準備していた。

バレンタインの当日、の家までチョコを届けようと自転車を走らせていた。

家に着く前に、公園のトイレで髪を梳かして、ちょっっとだけメイクをして・・・そう思って公園に入っていった。


・・・・ん?

あっ・・・・。


なんて事!!自転車で飛ばして来たから、髪はボサボサだし風は冷たかったから鼻は赤いだろうし。

抜け駆けしたバチが当たったと思った瞬間だった。


の周りには小学生が集まっていて、紙袋の中を皆で覗き込んでいた。

どれでも好きなの持ってってええから。

小学生たちは紙袋に群がっていた。


おい・・・。

・・・はい。チョコ捨ててないんですね。

当たり前や。全部は食べられへんし…捨てるのは悪いやろ、気持ち入ってんねから。

お兄ちゃん、ありがとう。

俺から貰ったって話したらアカンで。あっ、お前もな~。

はい。

そんで、お前は何しとんねん?

あっ、これを渡しに先輩の家に行こうと思いまして・・・。

途中でトイレを我慢できなくなったんか?ははははは。

あっ、いえ、違います。

なんでもええわ。お前もチョコ持ってきたんか・・・。

これは・・・さきいかと柿ピーです。

・・・俺な、甘いもの苦手やねん。これなら食えるわ。さんきゅ!

それじゃ、さよなら。

待って、送っていくわ。寒かったやろ。

大丈夫です、ありがとうございます。


あんなやさしい顔、初めて見たかも。、いい人なんだ。

帰り道の冷たい風は気にならない位、私の心も体も上気していた。


それからは、時々・・・

今日は公園におるから。

とこっそり教えてくれた。

時々公園で話すだけで嬉しかった。

そして、いつも自転車での帰り道で思うのだった。

抜け駆けして良かった!が甘いものが嫌いだって事、リサーチしておいて良かった!

女は時として、強かに生きなければと思うのだった。



*つづく*