パエ-リャ

木製カトラリ-

ボホ-ル紀行 (26)

2016-07-01 07:28:40 | Weblog

何が気になったかと言うと、ヤシの木の形だ。いわゆる油やしの木は、ずんぐりむっくり

していて、ボルネオでは嫌というほど見てきた。 樹高は5mほどで、普

通のヤシの木との違いは、その実の部分の形状にある。 小さな実が多数集まって出来ていて、その中にパ-ムオイルが含まれている。

 これが普通のヤシの実で、中にはポカリスエットが入っている。油やし実の完熟した状態は

                          こんな感じだ。

コタキナバルに住む、アングロフレンチの友人は、この完熟状態を知らせる特殊なセンサ-システムをプランテ-ションに売り込んで儲けている。彼自身もコタキナバタンガンの近くにプランテ-ションを持っているので、一度見せてもらったが、規模に圧倒されてしまった。

完熟か、未熟かに関わらず、油やしの実は上からドロ-ンで観察しても葉っぱに隠れて見えないとのことで、だったら下からロボットの目でみれば良いのではと言ったら、下からでも普通は見えないと言われたので、この画像は特別なのだろう。

ヤシの木は2種類しかないと思っていたが、実際にはニッパやしも含めて5,6種類あるみたいで、コタキナバルのウオ-タ-フロントには、とてもヤシの木とは思えないような大木が生えてい

る。 丁度こんな感じだ。

ボルネオの主要道路脇には、完熟した油やしの実が車にひかれて繊維質の部分だけがパサパサになって沢山落ちているので、慣れないとウサギほどの大きさの小動物の死骸に見える。気になったので、何回か車を止めて見たけれど、すべて油やしの実だった。

いわゆるヤシの木のイラストでは、本物でも同じだが

、頂上付近にだけ葉が茂り、

                  その葉の根元に実がついている。

                         

だから、もしかして、そのような形は今見ているような伐採作業を成長過程で絶えず行なわないと、出来上がらないのでは、と突然不安に思ったのだ。 この上の幾つかの画像を見ていると、あまりにも整然と頂上付近にしか葉っぱがないのが矢張り不思議だ。

仮に、成長過程で葉っぱが自動的に落ちるなら根元に大量の枯れた葉っぱがあるだろうが、見た覚えがない。

なので、他のヤシの木を見回してみると、すべて同じ形をしているし、無数にあるそれらがすべて剪定された結果だとはとても思えなかった。かといって、今見たヤシの木が殊更に車の通行に危険なほど道路に近いわけでもなかった。

同じような位置に、ヤシの木は他にも沢山あったし、結局、何のための作業だったのかは判らないままだ。道路から同じような距離にある他のヤシの木すべてにも同じような作業をするなら、理由はわからなくても、なんとなく納得できるが、その特定のヤシの木だけだった、作業は。

実は、数メートル離れたところでは同じような作業が行われていて、ヤシの木より細い、明らかに南国の広葉樹で、同じように作業員が取りつき、枝葉をナタで切り落としていた。

         
違いは、30mの延長用電源コードを持っていて、最初にてっぺんまで登り、そこの枝にコードを引っ掛けて途中まで降りて来て、その位置で足場用のくさびを幹に刻み始めたのだ。少なくとも最初はそのように見えた。

このようなくさびはヤシの木にも数メ-トル置きに刻まれていて、足休めに使われる。 問題は、その作業員がくさびをどんどん拡大していて、傍から見ていて今にも幹が折れてしまう程、深い切り込みを作っていたので、はらはらしながら見守っていた。よく、認知症の庭師が自分の乗った枝の根元を切ってしまうような、危なっかしさがその作業にはあったからだ。

結局、作業員は降りてきてしまった。そして、その直後に、地上にいた別の作業員が数人でコ-ドを引っ張るので幹は地上から5mほどの所で簡単に折れてしまった。

太さは10cmほどの木だ。高さだってヤシの木ほどでもない。上のほうで切ってしまうなら、何も登らないで根元から倒せばよいだけでは、との思いがあった。何故、その高さで切るのか、切って何が得られるのか、不思議だった。

最初は、近くに何軒か民家があるので、延長コ-ドのこともあり、臨時に村祭り用の照明でも用意しているのだと思っていたが、まったく理由がわからない。

現場監督には理由を聞かなかった。特に車の通行の邪魔になるわけでもないし、幹の途中で切ってしまって何を得られるのか、まったく判らないまま、セビリヤ目指して先に進むことにして現場を離れた。