保護猫活動する隠居爺の野菜作りとスキーの日記そして病気の記録

冬場の60日以上はスキー、夏場はそのための体力作り&自給用野菜作り、そして保護猫活動と病気の記録も綴ります。

新品部品使用と「リサイクル部品+たたき出し板金」の価格を比べると・・・。

2008年05月19日 | クルマ販売と板金修理の実録
ディーラーで見積ったというお客様がご来店になり、当店での見積もり依頼を受けた。

全て新品部品を使用して総額約15万円だという。


たぶん内訳は

リアゲート部品代  4万円  交換工賃  2万円
リアバンパー部品代 3万円    塗装代 4万円  ガラス交換 2万円

合計15万円 てな感じかと思う。


新車ディーラーは基本的に新品部品を使用しての交換作業を前提に数字を出す。

私も14年間のディーラー勤務の間に整備部門のフロント受付を約5年経験した

が、それに基づく全くの独断と偏見で推測するにその理由は2つ考えられる。


1つは、今でこそディーラーも僅かではあるが自社工場を持つようになったが、か

つてはほとんどが板金塗装を丸抱えで外注に出していたため、どの位の破損ならば

修理で対応できるのかの判断が付かない等、フロントマンの根本的な知識が不足

していることだ。

この知識不足は我々その道のプロから見ると、一般の消費者のレベルとほとんど

変わらないと言ってもあながち過言ではないほどはなはだしい。それはそうで

彼の職歴は“元整備”で、だいたいは自社工場の整備士の中からちょっと気の

利く者が任命される。国家資格の整備士は当然「整備」を学んで資格を取得して

いるが「板金塗装」は私の知る限りその科目にない。

もともと車のメカ整備、修理と車体の板金塗装は全く別物なのだ。その良い例が

油分の扱いを見ても判る。整備や修理にオイル、グリス、潤滑油等の油は必ず

必要で頻繁に使用するが、板金塗装に油は不要だ。そりゃたまに板金作業で緩ま

ないネジを外す時などは使うこともあるがその程度で、それどころか塗装作業に

なると油どころか“油分”でさえ塗装の大敵となる。塗料を全てはじいてしまう

のだ。だからもし1つ屋根の下で両方の作業をする工場などではかなり気を使わ

ないと支障をきたすことになる。

この知識不足は、たたき出し板金で作業した仕上がり具合を想像できないから

お客様からのクレームを恐れ安全な新品交換作業を勧める結果をもたらす。



2つ目は部門に与えられる売り上げ目標達成のためだ。自ずと金額は高くなるのだ

からその方がいいに決まっている。ディーラーのフロントマンが頭の中でお客様の

懐具合を考える余裕はまずない。

だいたいからほとんどのサービスフロントと称する整備受付は、現場の整備士と

納まったばかりの新車の異音だの不具合だの、1000キロ点検だの3年後の

初回車検だののお客様の間に立って忙しく、自分で凹ましたお客様の価格交渉に

応じているヒマなどない。

丸抱えで中間マージンで30~50㌫儲け、部品は自分の所から供給してお客様に

は定価で売るのだから10~20㌫儲かり、新品を使うことでクレームの率を下げ

られ、万が一クレームがあっても外注先を呼びつけて再修理させればよく、その上

売り上げ金額がノスのであれば、そこに中古部品を使ったりたたき出しの修理で安

くして差し上げることを考える必要はない。

もともとお客様が「凹ましたので直して!」と電話をする先のほとんどは担当の営

業マンなのだからフロントマンは営業マンと話せばそれで済む。価格は営業マン経

由でお客さんに伝わり、直すか直さないかの返事もそこから来るだけの話だ。

この営業マンとの結び付き度合いは新車が納まって日が浅いほど強く、年数が経つ

につれ希薄になるのが一般的だ。だから長期間乗り続けたり中古車で手に入れた車

を凹ませてディーラーに持ち込んでも、普段の習慣から出てくる概算の数字は全て

新品部品使用の金額だ。



とにかく新車ディーラーのサービスフロントは多忙だ。

私の経験上、2度とやりたくないポジションの1つに挙げられる職種なのだ。



それでは実際に新品部品を使わない修理だといくらになるのか。

画像の破損はよくあるパターンで「バックの際にポールを見落としてガツン」だ。

このバックドアの凹みならば充分に修理は可能で、交換は全く必要ない。

これを「交換」と見積もるのはさすがにディーラーだ。



バックドア修理  5万円

リアバンパー修理 3.5万円

合計  税込み8万9250円

完成は24日(土) 

即刻ご納得いただき車を置いていかれることとなった。













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